トラヴィス・スコットはなぜ人気なのか？アーティストとしての功績や人気の理由を徹底解説｜コラムについて
近年、Nike(ナイキ)とのコラボスニーカーのリリースで爆発的な人気を誇っている「Travis Scott(トラヴィス・スコット)」。
HIP HOP(ヒップホップ)好きには説明不要だと思うが、ファッションから存在を知った方の中には、"ラッパー"ということ以外よく知らない方も少なくないはず。
本稿では、トラヴィス・スコットとはどんな人物なのか、アーティストとしての功績、オリジナルブランドについて、注目のコラボモデルなど詳しく解説していく。
トラヴィス・スコットって何者？
via：travisscott
トラヴィス・スコット(本名 Jacques Berman Webster II(ジャック・ベルマン・ウェブスター2世)は、1991年4月30日にアメリカ テキサス州ヒューストンで生まれた。
近年ファッションアイコンとして注目を集めるトラヴィス・スコットだが、アメリカではかなり人気のあるラッパーだ。
一児の父という一面もあり、子どもの母親は、史上最年少ビリオネアとしても有名なKylie Jenner(カイリー・ジェンナー)である。
音楽家系で生まれたトラヴィスは幼少期から音楽に触れることが多く、3歳でドラムセットをプレゼントされるほどの英才教育を受けて育った。2005年頃に父親がドラマーに転身したこともあり、トラヴィス自身もより音楽に打ち込むように。Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)やKanye West(カニエ・ウェスト)などのラッパー兼プロデューサーというスタイルに憧れ、マイクを握りながらビートも制作していたという。
via：Rolling Stone
2008年頃に友人とラップデュオを結成し、何枚かのミックステープを発表したが、目立った活躍を残せずに解散。
その後、テキサス大学サンアントニオ校に通っていたトラヴィスだが、2年で大学を中退。その浮いた学費で機材の購入費や、業界関係者とのコネクション作りのための渡航費に充てていたという。その結果もあり、2012年にカニエ・ウェストのレーベル「GOOD Music(グッド ミュージック)」初のコンピレーションアルバム「Kanye West Presents Good Music Cruel Summer(カニエ ウェスト プレゼンツ グッド ミュージック クルーエル サマー)」のプロデューサー契約を勝ち取ったのだ。
翌年の2013年には、ラッパーT.I.が率いるレーベル「Grand Hustle(グランド ハスラー)」とも同様の契約を交わし、人気アーティストへの階段を登り出したのである。
アーティストとして成功したトラヴィスは、2017年には自身のレーベル「Cactus Jack Records(カクタスジャック レコード)」を設立し、音楽プロデューサーとしても活動を開始。
巧みなセルフプロデュースにより、ファッションアイコンとしても世界中から注目を集め、音楽の域を超えた「若者文化の象徴」となったのだ。
世界中で高い評価を得る音楽とライブ
via：travisscott
2013年のデビューミックステープ「Owl Pharaoh(オウル ファラオ)」と、翌年の2ndミックステープ「Days Before Rodeo(デイズ ビフォー ロデオ)」を経て、2015年に待望のデビューアルバム「Rodeo(ロデオ)」をリリースしたトラヴィス。
このデビューアルバムが、全米アルバムチャートでは3位を、全米ラップアルバムチャートでは1位を獲得。既にこの時、彼の代名詞にもなっているローファイながらオートチューンを多用したスペーシーな"トラヴィスサウンド"を確立しており、たった1枚のアルバムでラップファンたちからの信頼を得たのだ。
2016年にリリースを迎えた2ndアルバム「Birds in the Trap Sing McKnight(バーズ イン ザ トラップ シング マックナイト)」は、1年にも満たない制作期間ながら見事全米1位を獲得し、ツアーではライブが盛り上がりすぎてトラヴィス自身が逮捕されたり、1回の公演で同じ曲を14回も演奏するという世界記録を打ち立てたりと数々の伝説を残した。
わずか2枚のアルバムで全米屈指のラッパーとしての地位を確立したトラヴィス・スコット。
この勢いは止まらず、2018年8月にリリースされた3rdアルバム「Astroworld(アストロワールド)」は全米初登場1位を獲得しただけでなく、初の全米No.1シングル「Sicko Mode(シッコ・モード)」も生み出し、2010年代を代表するマスターピースとなった。
さらに、このアルバムのタイトルとなっている、トラヴィスが13歳の時に惜しまれつつ閉園した地元の遊園地を「Astroworld Festival(アストロワールド フェスティバル)」という音楽フェスとして蘇らせたことでも注目を集めた。
その後も、2019年10月にリリースした「Highest in the Room(ハイエスト イン ザ ルーム) 」、2020年4月にKid Cudi(キッド・カディ)とタッグを組んだ楽曲「The Scotts(ザ スコッツ)」、2020年9月にM.I.A.とYoung Thug(ヤング・サグ)を迎えてリリースした「FRANCHISE(フランチャイズ)」が立て続けに全米初登場1位を記録。
"1年間で3曲が全米シングルチャート初登場1位を獲得した初のアーティスト"という偉業を成し遂げたのだ。
2021年11月に開催した「Astroworld Festival」で死亡事故を起こしてしまったことで、第一線から身を引いていたが、現在は復帰しており、4thアルバムの「Utopia(ユートピア)」もリリース予定だ。
トラヴィス手掛けるカクタス・ジャック
トラヴィス・スコットのコラボアイテムなどで、"Cactus Jack"(カクタス ジャック)というロゴマークが入っているのを見たことがある方も多いだろう。
カクタス ジャックは、トラヴィス自身が設立した音楽レーベルであり、トラヴィス自身が手掛けるオリジナルファッションブランドでもある。
自身の楽曲や自らのレーベルから発表される楽曲に合わせて発売されるアイテムがほとんどであり、トラヴィス・スコットの精神である「自由やオリジナリティ」が表現されているブランドだ。
発売されるアイテムのほとんどが限定販売となり、世界各国でプレ値で取引きされるほど希少性の高いアイテムが数多く存在している。
注目のコラボモデル
これまでに、さまざまなファッションブランドや企業などとコラボレーションを行ってきたトラヴィス・スコット。リリースの度に多くのHIPHOPファン、ファッションファンを賑わせ、業界を盛り上げてきた。
その中でも、多くの注目を集めたコラボモデルをいくつかご紹介していく。
McDonald's(マクドナルド)
大手ファストフードチェーン店のマクドナルドとのコラボレーション。飲食店のマクドナルドをトラヴィス流にアレンジを効かせたアパレルや、アクセサリー、フィギュアなどがラインナップされ、大きな話題を読んだ。
DIOR(ディオール)
人気ハイブランドであるディオールとカクタスジャックのコラボコレクション。
DIOR × Nike Air Jordan 1(ディオール × ナイキ エアジョーダン1)発売時のモデルにも起用されたトラヴィス。事件により発売が延期されていた本コラボだが、2022年7月に待望のコラボコレクションがリリースされた。
FORTNITE(フォートナイト)
ゲームの世界でもトラヴィス・スコットは人気を博したことがある。オンラインゲームFORTNITE(フォートナイト)とのコラボにて、トラヴィスのコスチュームからゲーム内で使えるツール、そしてバーチャルコンサート"Astronomical(アストロノミカル)"を配信。20億円以上の売り上げを生み出した歴史上屈指の仮想空間ライブとなった
Playstation(プレイステーション)
SONY(ソニー)のゲーム機"Playstation(プレイステーション)"とのパートナーシップでは、トラヴィス本人が2020年に新発売されたプレイステーション5の紹介映像のナレーションを担当。また、世界24足限定でNike(ナイキ)とのトリプルコラボのDunk Low(ダンクロー)を展開した。
Nike・Air Jordan(ナイキ・エアジョーダン)
2017年12月の初リリースから、頻繁にリリースしているナイキとのコラボスニーカー。Air Jordan(エアジョーダン)シリーズとのコラボや、Fragment(フラグメント)とのトリプルコラボなど、数多くのコラボモデルを展開している。唯一無二のデザインや希少性の高さから、リリースの度に激しい争奪戦が行われる人気コラボだ。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアジョーダン1 レトロ ハイ OG
初めてのAir Jordan 1(エアジョーダン1)とのコラボモデル。反転したスウッシュとトラヴィスらしいカラーリングが魅力的な名作モデルだ。カルト的な人気を博す一足であり、このモデルをきっかけにスニーカーヘッズになった人も少なくない。
トラヴィス・スコット×ナイキ エアジョーダン1 ロー
ハイカットモデル同様リバーススウッシュを採用したローカットのエアジョーダン1。2019年7月20日、SNKRSにてゲリラリリースされたモデルとなる。ヒールに位置する赤い"ウイングロゴ"や"スマイリーフェイス"がアクセントとなった一足だ。
トラヴィス・スコット × フラグメント × ナイキ エアジョーダン1 ハイ "ミリタリーブルー"
"キング・オブ・ストリート"と称される藤原ヒロシ率いるブランド"Fragment"(フラグメント)とのトリプルコラボモデル。ベースには、エアジョーダン1のプロトタイプカラーとして知られる白基調のカラーブロックを採用している。お馴染みの"リバーススウッシュ"を配した一足は、SNKRSとGOD SELECTION XXX(ゴッドセレクション XXX)のみでの国内展開だった。
トラヴィス・スコット × フラグメント × ナイキ エアジョーダン1 ロー
こちらも、前項と同じく藤原ヒロシ率いる"フラグメント"とのトリプルコラボモデル。フラグメントらしいブルーカラーとトラヴィスコラボのデザイン性がマッチすることで、唯一無二の存在感を放っている。こちらはハイカットモデルと異なり、名カラー"ブラックトゥ"に近しいカラーブロックを採用した一足だった。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアジョーダン1 ロー "リバース モカ"
先にリリースされていたブラウンカラーのエアジョーダン1を反転させたようなモデル。ブラウンスウェードとホワイトパーツを組み合わせたモデルは、リーク時から多大なる注目を浴びていた。レザーとスウェードの異素材の組み合わせが独特な風合いを生み出している。
トラヴィス・スコット × ナイキ ウィメンズ エアジョーダン1 ロー OG "ミディアム オリーブ"
2023年4月に発売されたウィメンズモデルのエアジョーダン1 ロー "Medium Olive(ミディアム オリーブ)"は、トラヴィスとエアジョーダン1コラボの最後の一足になると噂されているモデル。"リバースモカ"カラーを思わせるホワイトのオーバーレイとオリーブカラーのスウッシュがアイコニックな一足だ。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアジョーダン1 ロー OG SP "ブラック ファントム"
トラヴィスコラボとしては異例のワントーンカラーを採用した一足。気品のあるブラックとシャープなシルエットが抜群の相性を見せるエアジョーダン1だ。ヒールに虫のアイコンが刺繍されており、プロモーションでも昆虫を思わせるポスターが公開された。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアジョーダン4 カクタスジャック
ジョーダンシリーズの中でも屈指の人気を誇るエアジョーダン4を採用したコラボモデル。ブルーのヌバック素材を採用したアッパーにレッドのアクセントが加わり、コラボならではの特別感が感じられる一足となっている。ちなみにこのカラーは、ヒューストンを本拠地にしていたアメフトチーム"Houston Oilers(ヒューストン・オイラーズ)"からインスパイアされたもの。
トラヴィス・スコット×ナイキ エアジョーダン6 "オリーブ"
Michael Jordan(マイケル・ジョーダン)が初優勝を飾った時に着用していたことで知られる"エアジョーダン6"のコラボモデル。ベースカラーには、トラヴィスらしいアースカラーの"オリーブ"を採用し、ギミックとしてサイドにポケットを搭載。アウトドア感溢れる一足は、近年のトレンドとも合致したものとなっている。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアジョーダン6 "ブリティッシュカーキ"
前項のコラボエアジョーダン6と同様の作りに、毛足の長いスウェード素材を採用したモデル。ミッドソールやシュータンは、暗闇で発光するグローインザダーク仕様で仕上げた。色味が程よいブラウンアッパーや、ソールから覗く赤い"Air(エア)"ユニットもポイント。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアジョーダン33 NRG "カクタス ジャック"
マイケル・ジョーダンの33代目シグネチャーモデル"エアジョーダン33"とのコラボ。アースカラーである"カーキグリーン"を採用し、バスケシーンにも映えるモデルとなっている。シュータンに大きくデザインされた"CACUTUS JACK"ロゴがコラボ感を助長する一足だ。
トラヴィス・スコット × ナイキ SB ダンク ロー
ナイキのスケートボードラインNike SB(ナイキ SB)とのコラボモデル。人気のDunk Low(ダンク ロー)をペイズリー柄やロープ調のシューレースで遊び心を加えたデザイン。ペイズリー柄を剥がすと新たな柄が現れるというギミックも仕込まれている。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアフォース1 ロー (AF100)
2017年、"Air Force 1"(エアフォース1)の誕生35周年をセレブレイトしたキャンペーンにて世界のアーティストとコラボするキャンペーン"AF-100"が展開。同プロジェクトにトラヴィス・スコットも名を連ねた。本作は、トラヴィスのグリルをイメージしたカスタムデュブレや着脱可能なスウッシュを搭載。シンプルながらもゴージャスな一足に仕上がっている。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアフォース1 ロー "セイル"
前項の"AF-100"と同じギミックを搭載したエアフォース1。前回がホワイトアッパーだったのに対し、本作ではセイルカラーのアッパーを採用。落ち着いた色味の一作は、日本国内での発売はなく、海外のみの展開だった。
トラヴィス・スコット×ナイキ エアフォース1 ロー "カクタスジャック"
彼の出身地であるヒューストンに実在した遊園地"ASTRO WORLD"(アストロワールド)から着想を得たエアフォース1。これまでのコラボエアフォース1と異なり、パッチワークを思わせるカラフルな一作となっている。取り外し可能なシュータンのジッパーパーツやヒールのスナップボタンなど多くのギミックが搭載されている。
トラヴィス・スコット × ナイキ エアマックス1(3カラー)
|
|
多くの注目を集めながら販売延期となり、その後、無事リリースとなったことで知られるAir Max 1(エアマックス1)。リバーススウッシュのデザインに、トラヴィスらしいアウトドア感溢れる丸紐を採用したモデルだ。SNKRSで発売された"CACT.US Brown(カクタスブラウン)"カラー、"CACT.US Gold(カクタスゴールド)"カラーに加え、SNKRSでは未展開の"Wheat(ウィート)"カラーも発売された。
トラヴィス スコット × ナイキ エアトレーナー1 (2カラー)
|
|
上記のエアマックス1と同日発売となったエアトレーナー1。エアマックス1同様にアウトドア感あふれるモデルとなっており、ヒール部に位置するポケットや、アッパーに取り付け可能なシュラウドなどを搭載している。オリジナルモデルと異なる素材感を用いるなど、大胆なアレンジを加えた一足だ。
トラヴィス・スコット×ナイキ エアマックス270 "カクタストレイル"
ヒールに大容量の"エア"を搭載したエアマックスシリーズ"エアマックス270 ENG"をベースにした一足。歩きやすさはもちろん、トラヴィスコラボらしくデザイン性も追求している。イエローソールなどによって味のあるデザインを演出しており、ヴィンテージ感を漂わせる一足となっている。
ちなみにトラヴィススコット × ナイキ コレクションでは、スニーカーだけでなくアパレルも多数リリースしている。気になる方は、ぜひ下ボタンをクリックしてほしい。
また、トラヴィスはここまで紹介したコラボプロジェクトの他にも、日本を代表するブランド「READYMADE(レディメイド)」や、グラフィティアーティストの「KAWS(カウズ)」など、幅広いジャンルとのコラボアイテムをリリースしている。今後も、ナイキとの新作コラボスニーカーの発売や、人気ブランドとのコラボコレクションが期待できるため、目が離せないだろう。
おわりに
トラヴィス・スコットという男がどんな人物なのか、なぜ人気が高いのか、お分かりいただけただろうか。
アーティストとしてはもちろん、ファッションアイコンとしての活躍も、凄まじいことがわかっただろう。
一度は第一線から退いてしまったトラヴィスだが、延期されていたコラボモデルの発売や、アーティストとしての活動も再開しているため、今後も彼の活躍ぶりに注目していきたい。
関連記事
▶Travis ScottがNike Mac Attackとのコラボモデルと思われる新作を着用か▶ChicagoカラーのTravis × AJ1を映画『AIR/エア』の監督 ベン・アフレックが着用
▶【Travis Scott × Nike】2022年発売モデルを振り返ろう！
▶ついに発表！ナイキスニーカーの人気ランキングTOP35！
▶2022年上半期 ナイキスニーカー お気に入りランキング BEST10
