【遊戯王OCG】リミットレギュレーション [2023年1月1日適用] 制限カードに対する大会環境考察について
先日発表された、『遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ』(遊戯王OCG)の2023年1月1日より施行される新制限について考察していきます。 「制限カード」にも、現在の大会環境で活躍していたカードに大きくメスが入りました。 また、新しく制限となったすべてのカードは、この一年で登場したものであり、今季のカードパワーの高さが伺えます。 さらに「禁止」が緩和された昔懐かしいカードもあり、次の環境への変化が大きい改定となっています。
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新規禁止カードをチェック! 準制限カードをチェック! 制限解除カードをチェック!目次
2023年1月1日 制限カード
今回の対象となったのは、以下の11枚となります。
新規で「制限」された6枚
クシャトリラ・フェンリル
クシャトリラ・ユニコーン
ティアラメンツ・レイノハート
深淵の獣マグナムート
六世壊=パライゾス
「準制限」から「制限」へと規制強化された1枚
烙印融合
「禁止」から「制限」へと緩和された3枚
星守の騎士 プトレマイオス
BF-隠れ蓑のスチーム
「禁止」から「制限」へと緩和され、さらにカードテキストが書き換え(エラッタ)となった1枚
「クシャトリラ・フェンリル」「クシャトリラ・ユニコーン」「六世壊=パライゾス」
大会環境でシェア率2位の座にいたデッキ≪クシャトリラ≫にて、初動の役割を担っていたこの3枚が規制されました。
制限の背景考察
「クシャトリラ・ユニコーン」一枚から準備できる、「クシャトリラ・シャングリラ」「No.89 電脳獣ディアブロシス」のコンボが非常に強力で、対策されなければ相手に何もさせない必勝パターンが≪クシャトリラ≫デッキの魅力でした。
クシャトリラ・シャングリラ
No.89 電脳獣ディアブロシス
しかし、あまりにもこのコンボが強力だったことから、「クシャトリラ・ユニコーン」自身と、このカードをサーチする「クシャトリラ・フェンリル」「六世壊=パライゾス」が規制対象に。特に「クシャトリラ・フェンリル」はその汎用性の高さから、「灰流うらら」や「増殖するG」と同様に「まずはデッキに3枚採用するカード」の候補となるほど強力なカードでした。
また「六世壊=パライゾス」も、「クシャトリラ・フェンリル」や、シェア率1位の≪ティアラメンツ≫デッキにおいて「ティアラメンツ・クシャトリラ」を手札に加えられることから、多くのデッキで数枚採用されていました。
ティアラメンツ・クシャトリラ
制限後の環境考察
今回の規制で≪クシャトリラ≫デッキは大きく抑制されて安定性を欠くこととなったため、大会環境でのシェア率はかなり低下すると思われます。
しかしコンボ自体を狙うことはできるため、空いたメインデッキ枠にフィールド魔法をサーチできる「惑星探査車」や、「No.」モンスターのエクシーズ召喚をサポートする「アストラル・クリボー」などを採用すれば、安定性を補完できます。
惑星探査車
また、≪勇者≫や≪P.U.N.K.≫といった別テーマを採用した、新しいデッキタイプの検討も可能です。≪クシャトリラ≫は出たばかりのテーマであることから、次のパックでの強化もあると思いますので、今後も注目です。
「ティアラメンツ・レイノハート」「ティアラメンツ・シェイレーン」
大会環境でシェア率1位の座にいたデッキ≪ティアラメンツ≫にて、初動の役割を担っていたこの2枚が規制されました。
制限の背景考察
「ティアラメンツ・レイノハート」はこのカード一枚から、デッキの核となる「ティアラメンツ・キトカロス」を融合召喚することが可能。また「ティアラメンツ・カレイドハート」の融合素材でもあるうえ、「融合派兵」などによるアクセス手段も豊富である、強力な初動カードでした。
一方で「ティアラメンツ・シェイレーン」は手札とデッキの両方からカードを効果で落とせることから、≪ティアラメンツ≫での初動だけでなく“墓地肥し”を重視したテーマへの出張としても強力なカードでした。
これらのカードによる安定性に加え、「ティアラメンツ・クシャトリラ」という強力な墓地落とし手段を得たことで、≪ティアラメンツ≫はシェアをほぼ独占。そのため、今回の規制対象となりました。
制限後の環境考察
この2枚の規制に加え、デッキの核であった「ティアラメンツ・キトカロス」が禁止カードとなったため、≪ティアラメンツ≫はデッキとして壊滅したといっても過言ではないでしょう。
ただ、≪ティアラメンツ≫は融合のサポートカードとしては優秀な効果を持っていることから、デッキから水族モンスターを落とせる「絶海のマーレ」や、「沼地の魔神王」などの融合代用モンスターを併用すれば、さまざまな融合モンスターの召喚が可能です。
絶海のマーレ
沼地の魔神王
また、≪シャドール≫や≪烙印≫といった他の融合テーマとの混合や、墓地肥しを重視する≪オルフェゴール≫や≪イシズ≫テーマへの出張としても、引き続き使用されそうです。
環境のトップからは陥落すると思いますが、≪クシャトリラ≫と同じ世界線をたどるテーマであることから今後の強化にも期待できるため、まだまだ注目のテーマといえるでしょう。
「深淵の獣マグナムート」「烙印融合」
大会環境で活躍していたデッキ≪烙印ビーステッド≫に採用されていた、この2枚が規制されました。
制限の背景考察
≪深淵の獣(ビーステッド)≫は、その共通効果である「フリーチェーンで墓地の光・闇属性のモンスターを除外することで特殊召喚できる」による、光・闇属性を駆使するデッキに対しての、強力なメタカードとして注目されたテーマです。
環境トップであった≪ティアラメンツ≫が闇属性モンスター群であるため、その対抗策として、サイドデッキには≪深淵の獣(ビーステッド)≫モンスターが採用されることも。
特に「深淵の獣マグナムート」は、デッキから好きなドラゴン族モンスターをサーチできる汎用性の高さから、「ドラゴン族」をメインとしたデッキである≪サンダードラゴン≫や≪ドラゴンメイド≫などへの出張パーツとしても重宝されていました。
そして「烙印融合」は、このカード一枚で強力な融合モンスターを特殊召喚できるだけでなく、融合モンスターの素材に指定された種族・属性のカードをデッキから落とせる、非常に優秀なカードでした。
「深淵の獣ルベリオン」「深淵の獣サロニール」を墓地に送ることが可能な「烙印融合」は、≪烙印ビーステッド≫デッキの初動カードとして採用されていました。
深淵の獣サロニール
しかし最近は≪ティアラメンツ≫や≪クシャトリラ≫の台頭により、あまり日の目を浴びておらず。「両テーマに規制がかかれば、環境上位に食い込むのでは?」と予想していましたが、それを見越してか、≪烙印ビーステッド≫にも規制が入りました。
制限後の環境考察
この規制により、≪烙印ビーステッド≫はサーチカードが減ったことで安定性が下がりましたが、まだまだ大会で戦えるデッキです。
空いた枠には、デッキ・墓地から「烙印」カードを手札に加えられる「スプリガンズ・キット」や、除外することで墓地から「烙印」魔法・罠を手札に加えられる「烙印断罪」を採用し、使用した「烙印融合」を再利用可能なカードが採用候補となります。
スプリガンズ・キット
烙印断罪
「エンシェント・フェアリー・ドラゴン」
テキスト書き換え(エラッタ)の背景
デッキからフィールド魔法をサーチする効果が優秀だった、このカード。何度も特殊召喚することで、お互いのフィールド魔法すべてを破壊しつつ、強力なフィールド魔法を複数使用して大きなアドバンテージを得るコンボが強力でした。
そのため「強力すぎる」と判断されて禁止カードとなっていましたが、この度、効果が「名称ターン1」(「このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない」)に。さらに「同名カードはサーチ不可」にと、ほどよく変更され禁止から帰ってきました。
テキスト書き換え(エラッタ)後の環境考察
このカードはレベル7であることから、星4モンスター+「灰流うらら」で簡単にシンクロ召喚が狙え、強力なフィールド魔法を採用しているデッキも多いことから、大会環境でも良く見かけるカードとなりそうです。
「星守の騎士 プトレマイオス」
緩和の背景考察
このカードに「No.」以外のランク5エクシーズモンスターを重ねて特殊召喚できる効果により、相手の盤面や動きに合わせ、有利となるエクシーズモンスターを相手ターンに準備できる対応力が非常に強力です。
しかしその対応力と、星4モンスター2体とEXデッキの枠があればどのデッキでも特殊召喚できることから、禁止カードとなっていました。
近年の環境ではEXデッキの内容選択が重要になってきており、以前ほど、このカードを使用するためにEXデッキ枠を割くことが容易でなくなってきていることが、緩和の背景だと考察できます。
緩和後の環境考察
星4モンスターを並べることが可能なデッキには、採用が検討できます。しかし先述した通りEXデッキの選択が重要視されていることや、新たにリンク召喚が存在していることから、このカードが活躍していた当時ほど優先度は高くないと考察します。
この効果を使って場に出すことで有用になりそうな候補を挙げるとしても
- 制圧力の高い「サイバー・ドラゴン・インフィニティ」を出せる「サイバー・ドラゴン・ノヴァ」
- バウンス効果が強力な「セイクリッド・プレアデス」
といったように、活躍していた当時と比べて候補に変化が無いことも、優先度が低いと考える理由です。
ただし、出せるカードは今でも強力である事実は変わりなく、今後、新たに強力なランク5エクシーズモンスターが登場すれば、評価がガラッと変わるカードでもあるため、今後の動きに注目です。
「BF-隠れ蓑のスチーム」
緩和の背景考察
トークン生成と自己蘇生する効果がリンク召喚と好相性で、このカード一枚とEXデッキのカード一枚でリンク2~3のモンスターを特殊召喚することができます。
現在では禁止カードの「水晶機巧-ハリファイバー」を使用することで、リンク4モンスターや、強力なシンクロモンスターである「水晶機巧-グリオンガンド」を、この「BF-隠れ蓑のスチーム」一枚で特殊召喚するコンボが強力すぎたため、禁止カードとなっていました。
水晶機巧-ハリファイバー
水晶機巧-グリオンガンド
そんなコンボのキーカードであった「水晶機巧-ハリファイバー」が禁止カードとなり、海外で「BF-隠れ蓑のスチーム」の規制が緩和されたこともあってか、今回、日本においても規制緩和されました。
緩和後の環境考察
このカード一枚で、リンク2~3モンスターの召喚やシンクロ召喚を狙えることに加え、「鳥獣族」であることを活かして≪LL≫や≪鉄獣戦線≫などでの採用が検討できます。また直近で≪BF≫デッキにも新しいカードが登場していることから、今後は大会環境で見かけることが増えそうです。
「心変わり」
緩和の背景考察
対象のモンスター1体のコントロールを得る効果が強力で、長らく禁止カードとなっていました。現在では時代が変わり、このカードほど気軽には使えないものの「コントロールを奪うカード」が増え、対象にとられない耐性を持つモンスターが多くいる今、時代が追いつき、ついにこのカードが制限に戻ってきました。
緩和後の環境考察
下位互換である「精神操作」でさえ、相手のモンスターのコントロールを奪ってそのモンスター効果を使え、さらにリンク召喚の素材にもできることから、有用性の高いカードとされています。となると、上位互換であるこのカードも当然、強力なカードといえるでしょう。
サイドデッキに採用し、相手の不意を付くカードとして「サンダー・ボルト」や「ハーピィの羽帚」といったカードと同様に採用されると思います。
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引用元
yugioh-card.com
権利表記
©スタジオ・ダイス/集英社・テレビ東京・KONAMI