ボッテガ・ヴェネタの新クリエイティブ・ディレクター「マチュー・ブレイジー」とは? 【コラム】について
2021年11月15日、Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)はMatthieu Blazy(マチュー・ブレイジー)が、新クリエイティブ・ディレクターに就任したことを発表しました。これまでもボッテガ・ヴェネタをはじめ、セリーヌやメゾンマルジェラなどさまざまなブランドでその才能を発揮してきたマチュー・ブレイジー。一体、どのような人物なのでしょうか。
彼の経歴、ボッテガ・ヴェネタのクリエイティブ・ディレクターとしてのファーストコレクションの特徴から魅力まで解説します。
Matthieu Blazy(マチュー・ブレイジー)とは?
ボッテガ・ヴェネタの新クリエイティブ・ディレクター就任が発表された「マチュー・ブレイジー」。ファッションの世界でその才能を発揮してきた彼がどのような人物なのか、これまでのキャリアを紹介します。
2021年11月、Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)のクリエイティブ・ディレクターに就任
Daniel Lee(ダニエル・リー)の突然の退任を受けて、ボッテガ・ヴェネタは2021年11月にマチュー・ブレイジーが新しいクリエイティブ・ディレクターに就任したことを発表。マチュー・ブレイジーのデビューコレクションとなったウィンターコレクションが2022年2月にお披露目されました。ボッテガ・ヴェネタのCEO(最高経営責任者)であるBartolomeo Rongone(バルトロメオ・ロンゴネ)は、マチュー・ブレイジーを「才能あふれる人物」と評し、クラフトマンシップと独自のクリエイティビティーがボッテガ・ヴェネタのシグネチャーであることに触れ、彼の就任によって「ブランドが主軸とする価値観を維持しつつ、現代との関連性を高め、ブランドの成長を加速させることができるだろう」と高い期待を寄せるコメントをしています。
マチュー・ブレイジーは前任のクリエイティブ・ディレクターであるダニエル・リーの右腕として、ボッテガ・ヴェネタの革新的で独創的なデザインを作り上げてきた人物です。ダニエルに代わってボッテガ・ヴェネタを牽引する存在となるマチュー・ブレイジーから目が離せません。
以前はBottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)のデザイン・ディレクター
マチュー・ブレイジーは、クリエイティブ・ディレクターに就任する前、2020年にボッテガ・ヴェネタガウィメンズラインのレディ・トゥ・ウェアでデザイン・ディレクターとして活躍していました。バッグやシューズでヒットアイテムを誕生させ、ボッテガ・ヴェネタ人気の復活を支えた人物です。
今回のクリエイティブ・ディレクター就任は内部昇格であり、ボッテガ・ヴェネタの真髄を理解しているマチュー・ブレイジーが今後どんなデザインを発表していくのか注目が集まっています。
Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)以前のキャリア
1984年にパリで生まれたマチュー・ブレイジー。ベルギーのブリュッセルにあるラ・カンブルというファッションスクールを卒業後、デザイナーとしてのキャリアをRAF SIMONS(ラフ・シモンズ)のもとでスタートさせました。
その後メゾンマルジェラのデザイナーを経て、Phoebe Philo(フィービー・ファイロ)がクリエイティブ・ディレクターだった時代のセリーヌのデザインチームに加わりました。2014年にはチーム内でシニアデザイナーに昇格し、確実にキャリアを積み重ねてきました。2016年にはキャリアをスタートさせるきっかけとなったラフ・シモンズがチーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるカルバン・クラインで、デザイン・ディレクターを任されています。
Matthieu Blazy(マチュー・ブレイジー)のBottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)ファーストコレクション
日本時間の2022年2月27日、マチュー・ブレイジーのファーストコレクションがショー形式で発表されました。世界中から注目を集めたファーストコレクションの詳細や注目アイテムなどを紹介します。
概要
デビュー作となるボッテガ・ヴェネタの2022年ウィンターコレクションは、イタリアで行われたミラノ・ファッションウィークで発表されました。現地には女優のJulianne Moore(ジュリアン・ムーア)やアメリカ版Vogueやイギリス版Vogueの編集長など、ファッション界に欠かせない人物が集結。師匠でもあるラフ・シモンズも駆けつけ、ファーストコレクションに花を添えました。2022年ウィンターコレクションを制作するにあたって、「何がボッテガ・ヴェネタを形作るのか」というテーマを追求。前任のダニエル・リーによって生み出されたボッテガグリーンを封印し、ボッテガの根本を突き詰めたコレクションを発表しました。
こだわり
ボッテガ・ヴェネタというブランドの根本を突き詰め、「現在を実体化して未来を呼び起こし、過去の上に造り上げる」という答えを反映させたファーストコレクション。マチュー・ブレイジー自身が未来を感じさせるアートにインスパイアされていることを感じられる未来的な魅力と、ボッテガ・ヴェネタの持つ実用性が融合したユニークなアイテムを発表。また、作り手と着る人のコミュニケーションに重きが置かれ、紡ぎ出すストーリーが着る人に委ねられているのも大きな特徴です。
ブランドの象徴である革を巧みに取り入れ、その多様性を感じさせるアイテムの数々は、大きな期待を寄せてファーストコレクションに駆けつけたファッション界のキーパーソンたちを魅了するに相応しいものでした。
注目アイテム
マチュー・ブレイジーのファーストコレクションとなった2022ウィンターコレクションの注目アイテムを紹介します。実用性を兼ね備えるというブランドの基本を維持しながらも、斬新さのあるアイテムは新生ボッテガ・ヴェネタに相応しい、新しい魅力を感じさせます。新イントレチャート「カリメロ バケット バッグ」
Bottega Veneta Kalimero "Barolo"ボッテガ・ヴェネタ カリメロ "バローロ"

ランウェイのオープニングを飾った2022ウィンターコレクションのキーアイテムです。マチュー・ブレイジーはこのバッグを、レザーを編みこんでいく技法「イントレチャートへの新しいアプローチ」とコメントしており、コレクションのアイコニックアイテムとして圧倒的な存在感を放ちました。
上質なカーフレザーを100%使用し、職人がすべて手作業で編み込んだ縫い目がないデザインが特徴。まさにマチュー・ブレイジーが追求する実用性とラグジュアリーさを兼ね備えたアイテムです。コレクションの冒頭で登場したスタイルのように、シンプルなカジュアルスタイルにも上品さと個性を与えてくれます。
糸を結ぶように、レザーを結んだモチーフ「ノット」を先端にあしらったショルダーストラップはスライド式。ストラップを固定する金具はミューズブラス仕上げになっています。内側には取り外しできるドローストリングキャンパスポーチがついており、お出かけに必要なアイテムをコンパクトに収納できるアイテムです。
ユニセックスバッグで、カラーはブラウン系のバローロ、オレンジ系のコブ、オフホワイトのボーンの3色展開です。公式ストアでプレオーダーを受け付けており、発送は2022年8月31日頃となっています。
スニダンでボッテガ・ヴェネタ カリメロ "バローロ" をCheckする
ヌバック
ウィンターコレクションのファーストルックは、白のタンクトップにゆったりとしたシルエットのデニム、そして新イントレチャートの「カリメロ バケット バッグ」というリラックスラグジュアリースタイルでスタートしました。
注目は新作バッグだけに見えますが、実は服も要注目。デニムに見えるボトムスは、起毛させたヌバッグにトロンプイユプリントを施したアイテムです。マチュー・ブレイジーのレザーへのこだわりが垣間見えます。
「ボッテガ・ヴェネタは実用性を兼ね備えたレザーグッズを中心に取り扱っています。」というマチュー・ブレイジーの言葉を反映させたアイテムは、「何がボッテガ・ヴェネタを形作るのか」という疑問への答えとなりました。上質なレザーを日常で使うカジュアルアイテムに変貌させた才能に驚きを隠せません。
未来派アーティストから着想を得たシルエット

ブランドの根本を重視しながらも、未来を感じさせるアートにインスパイアされていると語っていたマチュー・ブレイジーは、コレクションに100年以上前に活躍したイタリアの未来派アーティスト Umberto Boccioni(ウンベルト・ボッチョーニ)の作品から着想を得たシルエットを取り入れています。ウンベルト・ボッチョーニの彫刻「空間における連続性の唯一の形態」からインスパイアされたシルエットは、彫刻と同じように躍動感のある力強さが再現されています。
背中や裾が風を取り込んだかのようなカーブを描いた独創的なピーコートや、立体的なドレープが美しいスカート、前に向かって長さを出すことで動きを生むクロップドパンツ、計算し尽くされた形に個性を感じるプラットフォームシューズなど、曲線的で斬新なシルエットが提案されました。
鮮やかな差し色
ファーストコレクションはブラウンやホワイト、ブラックといったベーシックカラーを中心としながらも、レッドやパープル、イエローなども取り入れた鮮やかなコレクションとなりました。ベーシックカラーでまとめたルックでも、バッグや靴といった小物に鮮やかな差し色を取り入れ、より印象的に見せています。まとめ
ボッテガ・ヴェネタのクリエイティブ・ディレクターとして、ファーストコレクションを発表したばかりのマチュー・ブレイジー。レザーブランドとしてのボッテガ・ヴェネタの根本的な部分を大切にしながらも、今までにない斬新な発想とシルエットでボッテガ・ヴェネタに新たな風を吹き込みました。
ファーストコレクションで、世界中のファッショニスタを満足させたマチュー・ブレイジーが、これからどんなクリエーションを見せてくれるのか、彼の今後の活躍から目が離せません。