ニューエラのキャップはシールを剥がす?剥がさない?それぞれのメリットとデメリットを解説!|コラムについて
ニューエラのキャップを購入するとツバの表に貼られている丸いシール。ニューエラ愛用者の間では「剥がすべきか? それとも剥がさないでおくべきか?」と、よく話題に上る存在だ。
結論を先回りしてしまうと、双方にメリットとデメリットがあるため、万人に当てはまる答えはない。だとしても、剥がす派・剥がさない派それぞれの背景を知ることで、自分に合ったほうを選べるようになるはずだ。“ニューエラのキャップのシールどうするか問題”に悩む方は、ぜひチェックして欲しい。
TEXT:杉山遼人
ニューエラのシールは剥がさないのが主流?その理由とは?
via:neweracap
街中を見渡すと、ニューエラのキャップをシールを剥がさず被っている人をよく見かける。洋服やスニーカーに付くタグは外すのが一般的だが、なぜニューエラのキャップのシールに限って"剥がさない"のが多数派になっているのだろうか?その理由を知るにはニューエラがMLBのサプライヤーとして台頭した後、野球ファン以外からも注目されるようになったという経緯からひもとく必要がある。
そもそも、ニューエラの歴史がスタートしたのは1920年。プロ用のベースボールキャップの製造にいち早く着手し、1954年にはすでに現在の看板モデルであるフラットバイザーの「59FIFTY(59フィフティ)」が誕生していたというから驚きだ。そんな59フィフティがMLBの多くのチームに採用されることによって、1980年代の後半には「応援するチームのキャップを被る習慣」が野球ファンの間で広まった。
そんなニューエラが野球ファン以外からも注目されるようになったのは、90年代から00年代にかけて黄金期を迎えたヒップホップアーティストの存在によるところが大きい。例えば80年代からN.W.Aのメンバーとして活躍していたドクター・ドレーが被っていたのは、ドジャースやホワイトソックスのキャップだった。彼と同じビートメイカーであるデトロイト出身のジェイ・ディラが、自身の遺作『Donuts』のジャケット内で着用していたデトロイト・タイガースのキャップもアイコニックな存在だ。
数あるMLBのチームの中でもひときわ人気があるヤンキースモデルの着用者としては、ジェイ・Zの名前も挙げないわけにはいかない。ブルックリン出身の彼もまたステージの内外問わず、日頃からヤンキースのキャップを愛用しているニューヨーカーのひとりだった。2009年にゲストラッパーとして参加したニューヨーク賛歌『Empire State of Mind』の曲中では「俺はヤンキースの選手以上にヤンキースキャップを有名にしてやった(Shit I made the yankee hat more famous than a yankee can,)」とセルフボーストしているほど。
このように例を挙げればきりがないが、そんなアーティストの姿をリアルタイムで見ていたファンにとっては憧れないほうが難しかっただろう。
特に、相対的に貧困層が多かった黒人たちの間では、ニューエラのキャップは"成功者の証"であり、そんなキャップのツバに付くシールは「正規品であることを誇示するためのディテール」だった。そのため、シールを貼ったままにして着用する行為は、ブラックカルチャーの文脈を理解している姿勢の表れとして黒人やヒップホップ好き以外にも広がり、それが現代まで続いているというワケだ。
ちなみに全くの余談だが、ナイキ×オフホワイトの『The Ten』シリーズの特徴として知られるようになったジップタイも「外して着用するべきかどうか?」がよく話題になる。正規品であることを強調するギミックという意味では、今回のニューエラのシールとよく似た存在だ。ハイファッションの世界にストリートの発想を掛け合わせる手法を得意としていたヴァージル・アブローであれば、そんな論争を誘発すること自体もプロダクトの魅力のひとつとして想定していたのかもしれない。
「Off-White × Nike Air Jordan 1 Retro High The Ten "Chicago"」をチェックするニューエラのシールが持つ意味とは?
via:neweracap
さて、ここで改めてブランド公式によるシールの意味もおさらいしておこう。オフィシャルHPによると「ニューエラのキャップに付くシールはあくまでキャップのサイズ、またはモデル名の表示用として貼付している」とのこと。製造工程の最後において、規定の検品を行った証という意味合いもあるため、シールのみの販売は行っていない。
ちなみに、シールのバリエーションは現在ゴールドとシルバーの2種類がある。それぞれの色の意味として、約1cm刻みでサイズが分かれるキャップにはゴールド、ワンサイズ展開で背面にアジャスターが付くキャップにはシルバーのシールが貼られている。店頭でいちいち背面を見なくても判別できるようになるので、覚えておくと便利そうだ。
剥がす? 剥がさない? メリット・デメリットを検証
via:neweracap
シールを剥がすか、剥がさないかによって変わるメリットとデメリットもチェックしておこう。
剥がす場合のメリット
まずシールを剥がす場合の最大のメリットは、気軽に洗濯できる点にあるだろう。というのも、キャップは表面はきれいに見えても内側の汗止め部分は汚れやすいので、定期的に洗いたい人は剥がしておくのがおすすめだ。また、シールを貼ったままにして屋外で被るとどうしても発生してしまう、シール型の丸い日焼け跡も回避できる。
さらに、シールを剥がすことで見た目もすっきりするので、服装のテイスト問わずにコーディネートに合わせやすくなるメリットも期待できる。上述したようなブラックカルチャー的な背景に対する愛着がない人は剥がしてしまって問題ないだろう。
剥がす場合のデメリット
反対に、シールを剥がすデメリットとしては、購入後に気が変わって手放したくなった際に価値が下がりやすくなることが挙げられる。次の買い手は「シールが貼ってある状態」を求めている可能性があるため、すぐにリセールする予定があるなら剥がさないほうが賢明だ。
また、そんな機会はあまりないと願いたいが、シールを剥がしているとブラックカルチャー好きの人から“こいつ、分かってない”と見なされることもあるかもしれない。ただ、この記事をここまで読んだ読者であれば、シールを貼ったままにする背景は“分かっている”はず。もしマウントを取られるような機会があっても、相手にする必要はないだろう。
その他の選択肢として、やや裏技的だが「剥がしてツバの裏に貼る」という第三の選択肢も紹介しておく。あまり見かけないやり方だけに、ひと味違うスタイルを実践したい人にはおすすめだ。国内のヒップホップアーティスト勢としては、世田谷を中心としたクルーのKANDYTOWNの面々やサイプレス上野などが実践しているようだ。
おすすめアイテム3選
最後におすすめのアイテムをいくつか紹介する。
TEXT:スニダン編集部
Supreme $1M Metallic Box Logo New Era® "Black"
ストリートファッションの分野でトップを走り続ける「シュプリーム」とのコラボアイテム。前面にはお馴染みのボックスロゴを、背面にはミリオンダラーを意味する刺繍を配したスペシャルな一品だ。
スニダンで詳細を見るNEW ERA x RIEHATA x atmos pink 9FIFTY Logo Cap "Blue"
ダンサー/振付師として活躍するリエハタ氏を含む、トリプルネームで製作された「9FIFTY」。右サイドに記された、手書き風の「Riehata」ロゴが可愛らしい。
スニダンで詳細を見るA BATHING APE x MLB x NEW ERA New York Yankees 59Fiftiy Cap "Yellow"
イエローをベースに、日本が世界に誇るブランド「ア ベイシング エイプ」のシグネイチャー「BAPE CAMO」を施したキャップ。フロントにはMLBの人気球団「ニューヨーク・ヤンキース」のロゴが。
スニダンで詳細を見るおわりに
結局、シールにまつわる背景さえ知っていれば、剥がすのも剥がさないのもいずれもアリ。筆者的には「シールは貼ったままにするのが暗黙の了解」と強要するようなムードが未だにあるとすれば、ややナンセンスのように感じてしまう。90年代から時計の針がずいぶん進んだ今、もっと各々が自由に判断して楽しめばいいのでは?と思うが、いかがだろうか。
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