"エアマックスデー"直前!名作モデルと共に振り返るストリートファッションに与えた影響とは|コラムについて
3月26日は1987年にNike(ナイキ)が初めてのAir Max(エアマックス)、"エアマックス1"を発売した日。
伝説の幕開けとなったこの日は、2014年以降"エアマックスデー"と称され、アニバーサリーイベントや新作がリリースされる、ファンには見逃せない1日となっている。
そこで今回、来たる当日に備えて、これまでにリリースされてきた"エアマックス"の名作と共に、このモデルがストリートファッションにどれほどの影響を与えたかを振り返っていく。
また、最後には今年登場する予定のニューモデルの情報もあるのでお見逃しなく。
伝説の幕開け、初代モデルの"エアマックス1"
アスリートのためのシステムがファッションへと舵を切る
via:sneakerlab
元NASA(ナサ)の技術者だったマリオン・フランク・ルディが宇宙飛行士が被るヘルメット構造の技術を応用し、空気をベースにしたクッションシステムを考案。これこそが、ナイキが誇る"エア"の歴史の始まりだ。
1978年には、彼のアイデアを基に、初のエア搭載シューズとして"エアテイルウィンド"をリリース。ハワイのホノルルマラソンで鮮烈なデビューを飾っている。が、ここまではあくまでランニングシーンでの話。
そして1987年に登場したのがこの"エアマックス1"だ。
同ブランドが誇る伝説のデザイナー「ティンカー・ハットフィールド」が手掛けたこの一足は、ソールからエアが見える"ビジブルエア"を搭載。前例がなく画期的なデザインは大きな話題となり、以降ナイキがリリースするスニーカーデザインの礎となっているのは周知の事実。
まさに機能性とデザインが高次元で両立されたことを世に知らしめたスニーカーとなった。アスリートのためのエアクッショニングシステムを搭載した一足だったが、その後そのデザイン性も相まってファッションアイテムとして注目を集めるきっかけとなった記念すべきファーストモデルだ。
名作のひとつと数えられる"エアマックス90"
一歩先ゆくハイテクなアッパーが魅力
via:sneakersnstuff
モデル名が示すとおり1990年にリリースされたのがこの一足。
1987年にリリースされた"エアマックス1"、その後1989年の"エアマックスライト"に続く3代目のモデルに位置付けられている。
実は発売当初は"エアマックス3"としてデビューしたのをご存知だろうか?
あまりにも有名なこのモデルを改めて解説していくと、一番のポイントは旧モデルよりも大きくなったビジブルエアをTPUパーツで覆い、強調していることだろう。
また、発売当初はadidas(アディダス)、Reebok(リーボック)など各ブランドが誇るスポーツシューズが、そのデザインのよさによってヒップホップアーティストに取り上げられたり、さらなる高機能化によってファッショナブルなアイテムとして日本でもじわじわと注目され始めてきたタイミング。メインストリームはまだバスケットボールシューズが人気だった時代。
この一足は、アッパーにさまざまなパーツを組み合わせて時代を先取るハイテク感をアピールしており、当時の流行の一歩先を見越した仕上がりになっていた。
一大ムーブメントを巻き起こした"エアマックス95"
発売当初は全然売れなかったというから驚き
via:thesolesupplier
スニーカー好きなら一度は耳にしたことがあるであろう"エアマックス狩り"。今では考えられないそんなワードが世間に広まったのもこのモデルがきっかけだ。
エアマックスシリーズの中で、日本ではもっとも有名といっても過言ではない"エアマックス95"が誕生したのは1995年。
アッパーの段差は筋肉の隆起、アウトソールは背骨という、「人体構造」をモチーフにした一足は、これまでのナイキのシューズとはまったく異なるデザインをしており、ナイキのアイコンであるスウッシュもヒール外側に控えめに刺繍されているのみ。
カラーリングも、これまでの主流だったホワイトやブルーといった爽やかなカラーリングではなく、当時のスポーツシューズではあまり用いられることがなかったグレーを基調にネオンイエローを差し色にした斬新なものだった。
デザイナー「セルジオ・ロザーノ」が手掛けた"エアマックス95"は、実は発売前に社内で"このカラーリングでは売れない"と反発を受けていたり、実際リリース当初は売れ残ってしまったりと騒がれることはなかった。
それがファッション界隈のクリエイターや木村拓哉などの著名人の着用、雑誌での紹介が重なると大ブレイク。インスタグラムなどのSNSがまだ発達していないこの時代、最新のトレンドとして紹介されたこのスニーカーは、一躍大人気となった。
正規販売店の在庫はあっという間になくなり、並行輸入品が持ち込まれどんどんプレミア価格に。10万円、20万円はザラで、中には30万円を超えて販売するショップもあった。
それによって、冒頭でお伝えした"エアマックス狩り"という言葉も生まれたというわけだ。
この一足を皮切りにハイテクスニーカーブームが幕開けをすることとなる。
近未来を感じさせる"エアマックス97"
そのデザインソースはなんと日本にあった
via:scmp
そんな伝説の一足が登場したわずか2年後にリリースされたのが"エアマックス97"。
緩やかな曲線美と近未来的デザインは、なんと日本の新幹線や高速道路からインスピレーションを得たものだというのだから驚き。
この背景には"エアマックス95"の異常とまでいえるブームが巻き起こった日本への注目があったからだと推測できる。
このスニーカーを生み出したデザイナーは「クリスチャン・トレッサー」。彼がナイキに在籍していたのは1996年から1997年のわずか10ヶ月というのだから驚きだ。
さて、そのデザインを見ていくと初代エアマックスではヒール側の一部のみだったビジブルエアは、ミッドソールのほぼ全面に搭載されるようになっていることがわかる。見た目が革新的になったのはもちろん、これによりクッショニングが大幅に向上。より一層、歩きやすい仕上がりになっている。
そして注目すべきは、この近未来アッパーだ。"サイバーマックス"の異名を持つこのスニーカーの代名詞でもあるこの部分。デザイナー曰く"エアユニットに向かって広がる放射状のラインは水面のような池に落ちる水のしずくをイメージした"とのこと。
また、シューレースが隠されたデザインになっているのも見逃せない。今でこそ珍しくないデザインだが、このようなデザインに初めて挑戦したのもこのスニーカーだ。
初代登場から30年。革新的な"エアヴェイパーマックス"
二人のデザイナーのうち、ひとりは日本人!
"エアマックス1"が登場してから30年経った2017年。この記念すべきタイミングでリリースされたのがこの"エアヴェイパーマックス"だ。
"エアマックス1"が登場してから30年経った2017年。この記念すべきタイミングでリリースされたのが、"空気(エア)の上を走る"というコンセプトを持った"エアヴェイパーマックス"だ。
この簡単なようで非常に実現が困難だったデザインは、完成するまでになんと7年もの歳月が費やされている。また驚きなのが1980年代に既にこのアイデアがあったかもしれないという点。
"エアヴェイパーマックス"の特徴的なソールの原型に非常に酷似した六角形のエアが搭載されたこの"エアマライア"という靴は1981年に新しいエアのプロトタイプシューズとして開発されていたが、完成せずにお蔵入りとなり、リリースされることはなかった。
そんな難しいデザインに関わったのは2名の若きデザイナー、「南 哲也」と「ザカリー・エルダー」。デザイナー南が考案したコンセプト、デザイン案をザカリーがサポートする形でプロジェクトは進行し、完成へと至った。
この靴のシンプルな構造は見た目のみならず、さまざまな点で評価されている。
特に接着剤やミッドソールなど、今までスニーカーを製造する際に当たり前に必要としていた材料、工程を一気に省くことができるようになったのは革新的だった。
これによりシンプルで、無駄なコストや材料を省いた靴づくりが可能になり、さらなる高収益化を目指せるようになったのだ。今振り返れば、この靴はサステナブルやエコなファッションへの第一歩だったのかもしれない。
2023年、3月26日にリリースが予定されているモデルをチェック
数多くの見逃せないモデルがあるエアマックスシリーズから、代表的な5モデルをその時代背景と共に振り返った。
最後に、今回のエアマックスデーにリリースが予定されているモデルをチェックしていこう。
ナイキ エアマックス1 OG "ビッグ バブル"
via:kicksonfire
"エアマックス1"が発売される1年前に、試作品として生産された今作。"ビッグバブル"と名付けられていることからわかるように、通常よりも大きなビジブルエアが搭載されている。
ナイキ エアマックス パルス "ファントム/ハイボルテージ/ホワイト/リフレクティブシルバー"
via:Nike
"エアマックス270"のビジブルエアをアップデートし、搭載した新モデルの"エアマックス パルス"。二重になったスウッシュなど、トレンド感のある軽快な仕上がりになっている。
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