2025年も残すところあとわずかとなった。 今年のスニーカー・ストリートカルチャーを振り返ると、まさに「アニバーサリーイヤーの奇跡」と呼ぶにふさわしい、歴史的な1年だったと言えるだろう。
最大のトピックは、何と言っても「キング・オブ・スニーカー」ことAir Jordan 1(エアジョーダン1)の誕生40周年、そしてハイテクスニーカーブームの火付け役であるAir Max 95(エアマックス95)の誕生30周年という、2つの巨大な節目が重なったことだ。ナイキはこの記念すべき年に、過去のアーカイブを単に復刻するだけでなく、現代の解釈や驚きのコラボレーションを加えて再構築してみせた。
伝説的カラーの復活、アニメ作品との現実を超えたクロスオーバー、そして裏原宿カルチャーとの再会──。毎週のようにビッグニュースが飛び交い、ワクワクが止まらなかった2025年。本記事では、今年リリースされた膨大なアイテムの中から、特にファッションシーンに巨大なインパクトを与えた「2025年を代表する10アイテム」を厳選。それぞれのリリースがなぜ重要だったのか、その背景にあるストーリーと共に振り返っていきたい。
AJ1 誕生40周年は、過去の名作にフォーカス
2025年、スニーカーシーンの中心には常にエアジョーダン1があった。40周年の幕開けを飾ったのは、やはりこの一足だった。
Nike Air Jordan 1 High 85 "Bred" (2025)
記事を見る2月にリリースされたのは、マイケル・ジョーダン氏の伝説を象徴するカラー、"ブレッド"。NBAから着用を禁止されたというエピソードを持つこの配色は、"シカゴ"と並ぶシリーズの象徴だ。今作では、従来のモデルよりも重厚なレザーを使用するなど、1985年当時のディテールを忠実に再現した"85"仕様での復刻となった。2月の複数回にわたる発売機会はいずれも争奪戦となり、40周年の熱狂を決定づけた一足である。
Nike Air Jordan 1 Retro High OG "Black Toe Reimagined"
記事を見る同じく2月には、通称"つま黒"が特別な仕様で蘇った。当時のプロモーション写真を再現したデザインとなっており、アンクル部分にはウイングロゴではなく「AIR JORDAN」の文字が刻まれているのが最大の特徴だ。さらに、マイケル・ジョーダン氏の「My Very Best, Michael Jordan」というメッセージもデザインされており、ファンの心を掴んだ。
UNION × Nike Air Jordan 1 Retro High OG "Chicago/Shadow"
記事を見る3月・4月には、名タッグ「UNION(ユニオン)」とのコラボレーションが登場。過去の名作コラボのデザインを踏襲し、今回は"シカゴ"と"シャドウ"というAJ1屈指の名カラーをドッキングさせた。アンクル部分の青いステッチや「UN/LA」タグなど、ファン垂涎のディテールは健在。同時発売のアパレルコレクションと共に、春のストリートを席巻した。
Travis Scott × Fragment design × Nike Air Jordan 1 Low OG "Sail/Military Blue"
記事を見るそして11月、アニバーサリーイヤーのクライマックスとして登場したのが、トラヴィス・スコット氏と「Fragment(フラグメント)」によるトリプルコラボの新作だ。今もなお絶大な人気を誇る2021年の名作のDNAを継承しつつ、今作ではリバーススウッシュに鮮やかな「ミリタリーブルー」を採用。内側のスウッシュをホワイトに変更することで、よりクリーンで洗練された印象に生まれ変わった。
AM95 誕生30周年は、伝説の復刻と名コラボが台頭
Air Max 95(エアマックス95)の30周年は、ファッションだけでなく、アニメやデニムといった、世界的に人気で異なるカルチャーとの融合が際立った。
Levi’s®︎ × Nike Air Max 95
記事を見る7月・8月、老舗デニムブランド「Levi’s®︎(リーバイス)」とのコラボレーションが実現した。アッパーのレイヤードパネルをデニム生地で構成し、切りっぱなしのフリンジ加工を施したデザインは圧巻。クラシックブルー、ブラック、ホワイトの3色展開で、着用するほどにジーンズのような経年変化を楽しめる「育てるスニーカー」として話題となった。
Yu-Gi-Oh! / 遊戯王 × Nike Air Max 95 QS
記事を見る10月には、世界中のデュエリストを驚かせるコラボが登場。『遊戯王』の作中で城之内克也が着用していた幻のスニーカー「エアマッスル」がついに製品化されたのだ。シュータンの「air muscle」表記や、カードデザインにインスパイアされたグラフィックなど、原作への愛があふれるディテールが満載。付属のコラボトレカ目当てに2足買いするファンも続出した。
Nike Air Max 95 Big Bubble "Neon Yellow" (2025)
記事を見る3月・4月、ついに「イエローグラデ」(通称"イエグラ")が日本国内でも復刻リリースされた。本モデルは国内の一部のショップでゲリラ的に販売され、ファンは熱狂の渦に包まれた。イエローグラデといえば90年代にエアマックスブームを巻き起こし、社会現象になったカラーだが、その人気は当然ながら今も衰えていない。ナイキ公式による本発売は2026年と噂されているが、真相は果たして。その動向に注目が続く。
あの熱狂が再びストリートへ。そして新たな「ウォッチ」の登場
アパレルやファッション小物の分野からは、ワンランク上のスタイルを叶える注目コラボや、往年のファン待望の豪華コラボ、常識を覆す「ウォッチ」が大きな盛り上がりを見せた。
sacai × Levi's® 25SS collection
記事を見る5月には、「sacai(サカイ)」と「リーバイス」による2025年春夏コラボコレクションが登場。「サカイ」の代名詞である「ハイブリッド」な手法を武器に、リーバイスのType I、II、IIIすべてのディテールを統合したジャケットや、テーラードの要素を取り入れたアイテムなどが出揃った。また、ミリタリーのフライトジャケット風のナイロンサテン生地や、サカイ独自のマテラッセツイルの生地を組み合わせたブルゾン2型は、いずれもリバーシブル仕様にて展開され、今も人気が絶えない注目アイテムだ。
Supreme × GOODENOUGH × Nike Air Force 1 Low
記事を見る6月のSupreme 25SS Week15では、裏原宿カルチャーのレジェンド、藤原ヒロシ氏が設立した「GOODENOUGH(グッドイナフ)」とのトリプルコラボが実現。ホワイトレザーにレオパード柄のポニーヘアスウッシュを配し、ヒールには両ブランドのロゴを刻印。裏原ブームを知る世代から若者までを巻き込む争奪戦となった。アパレルアイテムにおいても、往年のファンの熱気をさらに加速させる豪華ラインナップで登場。メジャーリーグで活躍する山本由伸選手がアイテムを着用した様子などが、ファッション界隈で話題となった。
Casio G-Shock Nano 5600 Series DWN-5600
記事を見るそして11月、ストリートシーンに衝撃を与えたのが「指輪になったG-SHOCK」だ。名機DW-5600を約1/10サイズに凝縮しながら、耐衝撃構造と20気圧防水、ストップウォッチ機能まで搭載するという狂気的な完成度。カシオの技術力が生んだ、今年一番の「サプライズ」だったと言えるだろう。スニーカーに負けじと、この時期のファッション界隈の話題を総なめにしたアイテムだ。
おわりに
以上、2025年のスニーカー・ストリートシーンを象徴する10アイテムを振り返った。こうして並べてみると、2025年のヒット作には共通点があることに気づく。それは、単なるカラーバリエーションの追加にとどまらず、すべてのアイテムに「語りたくなる物語」があったことだ。 マイケル・ジョーダン氏の伝説、アニメの中の空想の具現化、デニムを育てる楽しみ、そして技術の限界への挑戦。我々はスニーカーやアイテムを通じて、その背景にあるカルチャーやストーリーを消費し、楽しんでいたのだと改めて実感させられる。
エアジョーダン1の40周年、エアマックス95の30周年という括りは年明けとともに終わろうとしているが、スニーカーの進化が止まることはない。2026年にリリース予定の注目スニーカー・アイテムの情報も続々と入ってくるだろう。次は一体どんな驚きが我々を待っているのか。新しい年も、足元から広がる無限のストーリーに期待したい。
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