バンズの定番「スリッポン」の魅力に迫る。チェッカーボード柄の由来も解説!|コラム

発売前にXでお知らせ!

このスニーカーの追加情報や購入方法を発売前に公式Xでポスト中!

バンズの定番「スリッポン」の魅力に迫る。チェッカーボード柄の由来も解説!|コラム 1枚目 via: vans

バンズの定番「スリッポン」の魅力に迫る。チェッカーボード柄の由来も解説!|コラムについて

時代によって移り変わるスニーカーのデザインの中で、最もシンプルなモデルは何だろうか? ナイキのエアフォースワンやアディダスのスタンスミスをイメージする方も多いだろうが、極限までデザインを削ぎ落とした形としては"スリッポン"をまず挙げるべきだろう。

その中でも、ストリートの定番として変わることなく愛されているのが「バンズ」のスリッポンだ。今回はそんな同ブランドの一足を紹介する。他のスニーカーにはない魅力を持ったモデルなので「まだ足を通したことがない…」という方はぜひチェックしてみてほしい

目次

スケーターが愛したオーダーメイドのデッキシューズ。「オーセンティック」がバンズの原点

まずはバンズの歴史を軽くおさらいしておこう。創業は1966年。ポール・ヴァン・ドーレンとジム・ヴァン・ドーレンの兄弟とその仲間たちによってカリフォルニア州アナハイムに設立された。会社名は兄弟の名前を冠した「ヴァン ドーレン ラバー カンパニー(Van Doren Rubber Company)」だ。

「家族全員にオーダーメイドの靴を」。そんなブランド初期のスローガンからも見て取れるように、当初はオーダーメイドのデッキシューズのみを提供していた。会社の敷地内でシューズの製造から販売までを一貫して行っており、客は色だけでなくアロハシャツやドレス、学校の制服などに合わせてそれぞれ好きな生地を指定できたという。

via:vans

敷地内のショップのオープン時に訪れた客は12人。色や生地を指定して作った一足を数時間後に受け取りに来る形だったという

via:vans

好みの生地でのカスタムを薦める当時の広告。ちなみにバンズのUSサイトでは現在も定番モデルを中心にカラーなどのカスタムが可能

カスタムのベースとなったデッキシューズの品番は「#44」。のちに「オーセンティック」と呼ばれることになる一足だ。他社のデッキシューズよりも厚手のキャンバスを使用し、ゴム製のソールも分厚く作られていたため、カリフォルニアのスケーターの間で評判になるのは時間の問題だった。

創業10年後の1976年にはそんなスケーターたちからのフィードバックを形にした「エラ」をリリース。スケート時の衝撃を吸収するためのパッドをオーセンティックの履き口に配したモデルとして知られている。

ちなみにそのアイデアをバンズに進言したのは、ステイシー・ペラルタとトニー・アルバ。当時、大人気だったスケートチームである"Zボーイズ(Z-BOYS)"の主要メンバーである2人の声をシューズ作りに取り入れたことは、スケートシューズカンパニーとしてのバンズの立ち位置を確立していくための第一歩だったと言えるだろう。

via:vans

客の各々がカラーをカスタマイズする流れを汲んだ2トーンカラーが印象的なエラ
70年代、カリフォルニアを襲った干ばつによって空になったプールでスケートするという全く新しいスケーティングスタイルを編み出したのが“Zボーイズ”だ

その翌年には側面に"ジャズストライプ"と呼ばれるストライプをあしらった「オールドスクール」を世に送り出した。当初はBMXライダー向けのモデルだったが、スケーターからの評判がよかったため、トゥのディテールを改良してリリース。

今のバンズのイメージを決定づけるサイドのストライプに加えて、耐久性を強化するためのレザーの補強を随所に施した作りが特徴的なモデルだった。オールドスクールの詳細に関してはこちらの記事もぜひチェックしてほしい。

バンズの名作「オールドスクール」の魅力とは? 今も色褪せない"スケシュー"の元祖|コラム

スリッポン人気に火をつけた映画とは? 偶然から生まれたチェッカーボード柄を全米が認知

そして1977年に「#98」としてリリースされたのが今回取り上げる「スリッポン」だ。"スリップ(=滑る)"を語源にするスリッポンは、シューレースや留め具を用いずに足を滑り込ませるだけで履けるシューズ全般を指す。脱ぎ履きが簡便な同モデルは多くのスケーターやBMXライダーが着用したことにより、大いに話題になった。

そしてアクションスポーツ以外のシーンでも同モデルが世に広く知られるようになったのは、一本の映画がきっかけだった。その映画とは、1982年に公開された『初体験 リッジモント・ハイ』。当時の全米興行収入で最高第3位を記録したヒット作だ。

今では名優として知られる若き日のショーン・ペンが、高校生のスケーター役として初主演を果たしたことでも知られている。劇中ではチェッカーボード柄のスリッポンを着用しているだけでなく、あらゆるシーンでそのスリッポンを大事そうに手にしているのが印象的な一本だ。




映画の裏話として、このチェッカーボード柄のスリッポンは映画会社からの依頼を受けてバンズが提供していたものだったそう。無地のスニーカーを見慣れている当時の観客にとって、市松模様のスリッポンは十分過ぎるほどのインパクトがあったはずだ。カリフォルニアの高校を舞台にした青春映画にふさわしい一足という制作側のオーダーにバンズ側が見事に応える結果となった。

via:amazon

同作のサウンドトラックのジャケットでは俳優陣のカットを使わず、スリッポンそのものを全面に押し出したデザインが採用されていることからも当時の影響力の強さがうかがえる

ちなみにバンズの代名詞とも言えるチェッカーボード柄は、実は偶然の産物だったというエピソードが存在する。ある顧客が真っ白いバンズのシューズをチェッカーボード柄にペイントしているのをたまたま見かけたデザイナーが、オフィシャルのカラバリに採用したのが誕生のきっかけだったという。

なお、黒と白のマス目を交互に配置するチェッカーボード柄は単なる幾何学模様というだけでなく、黒人と白人の共存を志向する意味合いも含んでいる。バンズはその理念を実現するためにコミュニティへの直接的なサポートにも余念がない。2019年にはチェッカーボード基金を設立。誰もが公平に創造性を発揮できる機会がある社会を目指して、各非営利団体にこれまで1000万ドル以上の寄付を行っているのは意外と知られていない事実だ。

シュプリーム、ステューシー、ダブルタップス、etc… コラボが活発化していく90年代以降

スリッポンの人気を決定づけた『初体験 リッジモント・ハイ』が公開された1982年から時計の針を巻き戻すと、スケートシューズとしての性能をより向上させた「Sk8-Hi」をリリースしたのが1978年。振り返ってみると、同ブランドの定番として知られるオーセンティックやエラ、オールドスクール、スリッポン、Sk8-Hiは70年代にはすべて出揃った格好になる。

80年代に入ると、数多あるアクションスポーツのカテゴリーに細分化したモデルを展開し過ぎた結果、1984年に一度は経営破綻してしまうが、その3年後には1200万ドルの負債を見事に完済。コストは徹底的に削減してもシューズ自体の品質は落とすべきではないというポール・ヴァン・ドーレンの指揮が実り、バンズは再び表舞台に返り咲く。

"世界一のスケートボードシューズ"と銘打った70年代後半の広告。同ブランドのキャッチコピーである「型破りな、普通じゃない」を意味する"OFF THE WALL"の合い言葉も浸透していく

1991年、グローバルなシューズブランドとして新たな舵を切った同社はアメリカ株式市場のナスダックに上場。スケートボードだけでなく、サーフィンやBMX、さらには音楽シーンも巻き込むことで、あらゆるユース層からの支持を獲得していく。

また、同ブランドが他ブランドやアーティストとのコラボレーションに力を入れ始めるのも90年代以降だ。1996年にはあのシュプリームとの長期パートナーシップを締結。当時、ソーホーにオープンしてまだ2年足らずのスケートショップに過ぎなかったシュプリームとの永続的な取り組みを決断したのは、異例だったはずだ。

2003年にはファッションシーンをより意識した"ヴォルト バイ バンズ"のラインを発足させる。その翌々年にリリースされたマーク・ジェイコブスとのコラボは従来のバンズ着用者と違う層にも訴求することに成功した。それ以降もステューシーやアンダーカバー、ダブルタップス、パームエンジェルスなどファッションシーンを牽引するブランドとのチームアップを現在に至るまで重ねている。

また限られたショップのみで展開される"バンズ シンジケート"のラインも当時のヘッズを虜にした。そのコラボ相手はシュプリーム周辺のジェイソン・ディルやルーク・メイヤーから、タイラー・ザ・クリエイター、スイサイダル・テンデンシーズなどのアーティスト勢に至るまでストリートシーンの重要人物ばかりだった。スターウォーズやディズニーなど万人に愛されるコンテンツとのコラボも展開する一方、ストリートの狭い層にピンポイントで届ける巧みなバランス感覚も同ブランドならではの個性と言えるだろう。

どんなコーディネートにもハマる汎用性が魅力。色選びで迷うならチェッカーボード柄がおすすめ!

上述のとおり1977年に誕生したスリッポン。今ではバンズのアイコンシューズとしてオーセンティックやオールドスクールなどの他モデルに劣らぬ人気を誇っている。その魅力はやはり着脱が容易なこと、および他に類を見ないほどデザインがシンプルなことの2点だ。特にコーディネートのテイストを問わずに合わせやすい汎用性の高さはバンズのスリッポンならではの魅力だろう。

現在のインラインのカラーリングは5色展開。ブラックに関しては通常のブラックカラーに加えて、ミッドソールやステッチに至るまで黒で統一したオールブラックもラインナップされている。直球でブルーデニムに合わせたくなるネイビー、または清潔感あふれるホワイトも捨てがたいが、最もバンズらしい個性を放つのはやはりチェッカーボード柄ではないだろうか。

via:vans

1977年の発売当時「#98」と呼ばれた「クラシック スリッポン」。エラと同じくパッド入りのライニング、甲にフィットする側面のエラスティックゴム、ラバー製のワッフルソールなどのディテールが特徴。シンプルな形なので、コラボモデルの場合は他モデルよりもグラフィックが際立ちやすいのも魅力だ。¥ 7,150 (税込み)

ともすればシンプル過ぎる印象になりがちなスリッポンだが、黒と白のマス目を交互に組み合わせたチェッカーボード柄はコーディネートにほどよいアクセントを加えてくれる。デニムやワークパンツとの相性はもちろんいいが、変化を付けるなら上品なスラックスのハズしとしても機能するだろう。

イメージとしては、2016年10月にオバマ大統領によって開かれた最後の公式晩餐会に招待されたフランク・オーシャンの着こなしが参考になりそうだ。ホワイトハウスを訪れた彼がネイビーのスーツに合わせていたのもチェッカーボード柄のスリッポンだった。

本人はあまり注目されたくなかったのか「こういう場所に来るのは初めてだったから」と報道陣に答えるのみだったが、他のシューズチョイスでは表現できないニュアンスのコーディネートに仕上がっている。邪推かもしれないが、トランプ政権に移行する前の端境期だっただけに、彼なりのメッセージを足元のチェッカーボード柄に込めたような気もしてしまう。真相はどうだったのだろうか。

2017年SSのシュプリーム×コム デ ギャルソン シャツのルック。インパクトがあるコーディネートのハズし役としての使い勝手は抜群だ

シュプリームからオールマイホーミーズまで。いま気になるスリッポン8選

最後に今気になるスリッポン8種も紹介しておこう。コーディネートのまとめ役を期待するなら、シンプルなデザインのインラインモデルがおすすめだが、アクセント効果を狙うなら多彩なデザインが揃うコラボモデルも要注目だ。よりしっかりした作りのインラインとしては、創業当初のスペックを現代的に再現したアナハイムコレクションという選択肢も視野に入れておこう。

Vans Classic Slip-On "Triple Black"

画像

黒好きにはうれしいオールブラック仕様のスリッポン。ピスネームとヒールパッチ以外をすべてブラックで統一したシックなカラーリングなので、モードっぽいスタイリングに合わせてもハマるはず。カラフルな色のディッキーズのワークパンツを穿いたときの引き締め役として選んでもよさそうだ。

スニダンで詳細を見る

Vans Clasic Slip-on 98 DX Anaheim Factory "Check"

画像

パッと見はインラインと同じだが、より凝った作りになっているのがアナハイムコレクションの特徴。よりヘビーなキャンバス地を使用したアッパーの質感、ツヤのあるフォクシングテープの風合いなどはヴィンテージ感たっぷり。2023年に生産終了したので、まだ在庫が市場に残っているうちに手に入れておきたい。

スニダンで詳細を見る

Supreme × Vans Slip-On Hole Punch Denim "Blue"

画像

大胆なクラッシュ加工のパターンが印象的な20SSのシュプリームコラボ。ベースとなっているのは、よりスケートに適したプロモデル仕様のスリッポンだ。デニムパンツと合わせるのはもちろんだが、太めのチノなどと合わせたら間違いなくかっこいい一足。

スニダンで詳細を見る

Vans Slip-On Reissue 98 SP "LX TDC Green/Multi"

画像

TOKYO DESIGN COLLECTIVEがゲストに迎えたのはSSZのディレクター加藤忠幸氏とUNLIKELYのデザイナー中⽥慎介氏。メッシュ地を採用したアッパーをメインに、リフレクターやスウェードの素材を随所に散らして仕上げた新感覚スリッポンだ。ローテクともハイテクとも形容できない独特のバランス感覚がクール。

スニダンで詳細を見る

All My Homies × Vans Slip-On "Navy"

画像

日本のヒップホップシーンで確固たる支持を集めるラッパーのZORNが率いる「All My Homies」とのコラボは職人が着用する作業靴からイメージした一足。深みのあるネイビーのアッパーとブラックで統一したソールの掛け合わせが印象的だ。ヒールに刺繍された「株式会社オールマイホーミーズ」のロゴもいい感じ。

スニダンで詳細を見る

Wacko Maria × Vans OG Slip-On LX "Classic White Records"

画像

オールドレゲエやラテンミュージックに造詣が深いワコマリアらしいスリッポン。どこかレトロなタッチのレコード柄が雰囲気抜群。音楽好きに履きこなしてほしい一足だ。3色展開。

スニダンで詳細を見る

Liberaiders × Vans Classic Slip-On 98 DX "Black"

画像

旅の要素を色濃く感じさせるストリートブランド、リベレイダーズがベースにしたのはアナハイムコレクションのスリッポン。ブラックのスウェードとブルーのキャンバスのコンビネーションは直球でかっこいいと思わせてくれる組み合わせだ。アッパーにさりげなく刺繍した折り鶴もいいアクセント。

スニダンで詳細を見る

Pilgrim Surf+Supply × Vans Slip-On "Balsam Green"

画像

バンズとの息の合ったコラボを定期的に発表しているピルグリム サーフ+サプライ。都会と自然を行き来するライフスタイルを提案する同店ならではのナチュラルな雰囲気が魅力的。絶妙な発色で仕上げた2トーンのスウェードはスリッポンを大人っぽく履きたい方にこそピッタリ。

スニダンで詳細を見る

おわりに

スリッポンをリリースするシューズブランドはいくつもあるが、スリッポンと言えばバンズが真っ先に浮かぶのは筆者だけではないはずだ。単なるシューズブランドの枠を超えて、着用者が愛するカルチャーをサポートしてきた積み重ねこそが同ブランドのクールなイメージを支えている。個人的な推しはやっぱりチェッカーボード柄。まだ試したことがない方はぜひ一度足を通してみてほしい。

その他スニーカーの記事

▶極上の履き心地が味わえるニューバランス「1300」!その特徴と人気モデルを解説|コラム
▶最高のウォーキングシューズ「ニューバランス『880』」。その魅力と人気モデルを紹介|コラム
▶ニューバランスのおしゃれなレディーススニーカー10選!定番からコラボまで人気モデルを紹介|コラム

新着投稿

みんなの投稿をもっと見る

写真や雑談を投稿

今日の人気記事

新着記事

この記事を見ている人は、こんなスニーカー・アパレルも見ています