ハットの種類を詳しく解説!ストリートと相性抜群の11種がズラリ|コラムについて
新しい帽子を探している時によく分からなくなるのが、帽子の種類の名前とそのバリエーション。例えば「いま流行りのバケットハットとサファリハットはどう違うの?」といった疑問を抱いている方は意外と多いのではないだろうか?そこで本記事ではストリートウェアとの相性を考慮しつつ、巷でよく見かけるハットの種類を整理して解説していくので、ハット選びの際は参考にしてほしい。
TEXT:杉山遼人
ストリートファッションと相性のいいハット11種
1.バケットハット
via:stussy
バケツを逆さにしたような形から名前が取られた「バケットハット」。基本的にはクラウン(帽子の山の部分)のトップが平らなものを指し、ブリム(帽子のツバ部分)の幅は比較的短く、やや下向きに付くものが多い。
メンズ、レディース問わずにいま最も旬の形と言って差し支えないだろう。アイテム名としては「クラッシャー」と呼ばれることもある。元々はアイルランドで、漁師や農民が雨除けとして被っていたものが由来とされる。
素材はコットンのツイル地が主だが、ナイロンやレザーを用いたものも。夏であれば麦わらやラフィア素材、冬にはニットやフリース素材など、季節感を加味して使い分けるのも洒落ている。ハイブランドの中では、再生ナイロンを採用したプラダのバケットハットがスマッシュヒットしたのも記憶に新しい。
90年代にはオアシスやザ・ストーン・ローゼズなど、UKロック界隈のミュージシャンが好んで着用していた。彼らのようなスタイリングを目指すなら、トラックジャケットやアノラックを合わせると雰囲気が出る。もちろん、よりデイリーにオーバーサイズのフーディーやシェルジャケットに合わせてもサマになるハットだ。
似合いやすい顔の形は、面長タイプやホームベース型のタイプ。面長タイプだと顔の長さが強調されてしまうため、浅く被れるバケットハットのほうが似合いやすい。ホームベース型のタイプの方はブリムが長いものや、全体的にボリュームがあるものを選ぶと、顔とのバランスが取りやすい。
2.サファリハット
via:wtaps
バケットハットと基本的な形状はよく似ているため区別は難しいが、見分けるポイントはクラウンの側面。「サファリハット」にはブランチループ(カモフラージュのために木の枝などを引っかけるため)と呼ばれるベルトが側面に付く。また、風で飛ばされないためのあご紐が付属する場合もあるので、それらのディテールの有無でバケットハットと区別すればOK。
別名は「アドベンチャーハット」「ブーニーハット」「ジャングルハット」「ブッシュハット」など。ストリートで支持されるブランドのサファリハットとしては、定期的にリリースされる「WTAPS(ダブルタップス)」のジャングルハットなどが挙げられる。
バケットハットと比べると、ブリム幅はやや長めの傾向。アウトドアやミリタリーのテイストが強いためラフに見えやすい特徴があるが、コーディネートにストリートのニュアンスを足したい時にはおすすめのハットだ。素材のバリエーションとしては、オーセンティックなコットン地か、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維を用いたものがよくリリースされる。
似合いやすい顔の形はバケットハットと同じく、面長タイプやホームベース型のタイプだ。ホームベース型のタイプの方は、ブリム幅が広いものを選ぶようにすると、顔のエラが目立たちにくくなるため、帽子選びの候補に入れておくといいだろう。
3.メトロハット
via:override
「メトロハット」は丸型のクラウンに短めのブリムが付くハットの総称。幼稚園や小学校の制帽に採用されることが多いため、子どもっぽいイメージもある形だが、まっすぐ水平にかぶることで大人のメンズらしい印象をキープできる。元々は船の乗組員が被っていたことから「クルーハット」とも呼ばれる。「テニスハット」もほぼ同義だ。
ストリートで愛用されるメトロハットの一例としては、パイル生地を使った「KANGOL(カンゴール)」のバミューダハットはオールドスクール期を彷彿させる名品のひとつ。最近では、豊富な柄が毎シーズン展開される「NEEDLES(ニードルズ)」のメトロハットを街中で見かける機会も多い。
こちらもバケットハットと混同されることがあるが、クラウンのトップが丸みを帯びているか否かで判別する。デニムやカーゴパンツなどのアメカジコーデとの相性がいいのはもちろん、トラックジャケットやトラックパンツなどのレトロなスポーツスタイルとの親和性も高いハットだ。
ほどよくかわいらしさも演出できるため、全身のアイテムがハードになり過ぎた際の中和剤としての役割も期待できる。よりシンプルに見せたいのであれば、クラウンのトップに付く「天ボタン」と呼ばれるパーツがないものを選ぶといいだろう。
メトロハットが特に似合いやすい顔の形は、ずばり丸顔タイプ。顔の縦幅を補う意味では、ややクラウンが高いものを選ぶとしっくりくる。おでこを見せるイメージで浅く被るテクニックも有効。
4.セーラーハット
via:baycrews
大まかな分類はメトロハットにかなり近い立ち位置の「セーラーハット」だが、他のハットでは代替できない独自の雰囲気があるため紹介しておく。アメリカ海軍で伝統的に着用されている背景を持っており、「ゴブハット」と呼ばれることもある。
メトロハット同様、クラウンのトップは丸いがブリムが真下に向かう形状に近いため、目元が隠れやすいのが特徴だ。メトロハットよりもややミステリアスでクールな雰囲気を演出できる。水兵たちはブリムを折り返して被るが、ファッションとしてはそのまま被るのが正解。
ディテールとしては、ブリムの部分に強度を高めるためのピッチの細かいステッチが幾重にも入るのが特徴だ。アメリカ海軍で使用されているものにならって、素材はコットン地のものが多く売られている。
武骨な雰囲気があるハットなので、デニムやミリタリージャケットなどのアメカジスタイルとは相性抜群。ちなみに、1973年に公開された映画『セルピコ』にて、汚職に立ち向かう警官に扮するアル・パチーノが被っていたことでも広く知られるハットだ。完璧なアメカジコーデとして、今でもその着こなしに憧れる服好きは未だに多い。未見の方はチェックしてみて損はないだろう。
メトロハット同様、丸顔タイプの方に似合いやすい。クラウンの高さが出過ぎないように、しっかり深く被るなら面長タイプにもおすすめ。
5.クロシェハット
via:farfetch
「クロシェハット」も厳密な定義が難しいハットだが、メンズ・レディース問わずストリートで着用者が増えているタイプなので紹介しておきたい。
「LOEWE(ロエベ)」のようなハイブランドから、「UNIQLO(ユニクロ)」に至るまでリリース量は増えている。「Stussy(ステューシー)」からもクロシェハット的なニュアンスを持ったニットハットが何度かリリースされていたため、気になっていた方もいるだろう。
クロシェとはフランス語で「かぎ針、かぎ針編み」の意味。元々は大正時代にモダンガール(モガ)と呼ばれる女性たちを中心に流行した背景がある。現代ではコットンやアクリル、ラフィア、ペーパーなどさまざまな素材で編んだニット地のハット全般を指して使われる。形状としてはクラウンが丸く、短めのブリムが付くものが多い。
ニット素材だけに秋冬のイメージが強いが、編み目が粗いものを選べば春夏も着用可能。クラウンとブリムの境目がなく、一体となっているものが多いため、ニットキャップに近いニュアンスもある。日頃ニットキャップを好んで被る方なら、特にトライしやすいはずだ。
クロシェハットが似合いやすい顔の形は逆三角形型タイプ。髪はあまり顔の周りに出さないほうがすっきりした印象になる。ブリムはあまり広すぎないものを選ぶのがいいだろう。
6.中折れハット
via:centotrenta
ハットと聞いて万人が一番イメージしやすい形が「中折れハット」だろう。映画のイメージも強く、『カサブランカ』のハンフリー・ボガードや『インディ・ジョーンズ』シリーズのハリソン・フォードらが演じる役柄と切っても切り離せない存在だ。「ソフト帽」や「フェドラハット」とも呼ばれる。
その名のとおり、クラウンの上部が内側に向かって折れているのが特徴。最もクラシカルな印象になるのはウールのフェルト地を使ったタイプだ。それ以外に、コットンやリネン、麦わら素材のものもよくリリースされる。
そんな中折れハットの原型を作ったのはイタリアの高級帽子メーカー「Borsalino(ボルサリーノ)」とされている。ハットの前方のブリムを下げ、後方のブリムを上げる“スナップブリム”と呼ばれるアレンジも同ブランド発だ。
クラシカルな形のハットなので、カジュアルなコーディネートには一見ハマらないイメージがあるが、デニムやTシャツなどに合わせると意外とハマるハットでもある。2005年に公開されたスケート映画『ロード・オブ・ドッグタウン』の中で、レジェンドスケーターであるジェイ・アダムズ役を演じたエミール・ハーシュの着こなしはその好例。ミリタリーシャツとデニムの上下に、ヨレた中折れハットを合わせた西海岸らしいラフな着こなしはぜひ参考にしてほしい。
似合いやすい顔の形は逆三角型やホームベース型。顔の下が細い逆三角型の顔にはブリムが狭いハット、ややエラが張るホームベース型の顔にはブリムが広いハットを合わせるとバランスよく見えるはずだ。
7.ポークパイハット
via:tokiyado
「ポークパイハット」はトップ部分が平らなクラウンに短いブリムが付く形状のハット。ブリムが上に向くため、顔の表情がはっきり見えるのも特徴だ。クラウンの端部の縫い目が立ち上がり、真ん中にかけて凹んだ形がポークパイ(伝統的な英国の肉入りパイ)に見えることに由来する。
1940〜50年代にかけてジャズミュージシャンの間で流行したが、特に愛用していたサックス奏者のレスター・ヤングが死去した際には『Good Bye Pork Pie Hat』という曲が彼を偲んで作られたほど。余談だが、2020年に同曲は新鋭のサックス奏者、サム・ゲンデルにもカバーされた。その後、ポークパイハットは60年代のジャマイカでスカやロックステディを聴いていた“ルードボーイ”たちの間で人気を博し、70年代後半のイギリスではモッズやスキンズたちにも愛用された。
元々の素材は主にフェルトで作られていたが、今ではコットンや麦わら素材などで作られることが多い。カジュアルなシーンで気軽に被るならコットン地がおすすめだ。クラウンの高さが比較的低いため、ハットを被っている大げさ感も出にくい。クラシカルなハットに苦手意識がある方でも取り入れやすいハットだ。
似合いやすい顔の形はホームベース型。ややブリムが長いものを選ぶとさらにいいだろう。クラウンの高さがあまりないハットなので面長タイプとも好相性だ。
8.ボーラーハット
via:kawabuchi
1676年に創業した世界最古の帽子店「ジェームス・ロック」のウィリアム・ボーラーによってデザインされたと言われる「ボーラーハット」。あのチャップリンが愛用していたのも同店の一品だ。
丸いクラウンとラウンドしたブリムが特徴で、20世紀半ば頃までロンドンのビジネスマンにとっては必携品だったという。アメリカでは「ダービーハット」、日本では「山高帽」とも呼ばれる。元々はフェルト製のものが多かったが、現在は麦わらやペーパー素材も用いられる。
英国紳士の礼装として使われる背景があることから、正統派のブリティッシュトラッドのテイストでまとめる着こなしが一番に浮かぶが、「Barbour(バブアー)」のジャケットや「FRED PERRY(フレッドペリー)」のポロシャツなどを合わせたカジュアルな着こなしも視野に入れたい。その際はどこかでイギリスらしいポイントを意識すると、ボーラーハットの背景ともリンクしやすいだろう。
似合いやすい顔の形は丸顔タイプと面長タイプ。丸顔タイプは深く被らず、後ろにズラすように被るとサマになる。逆に面長タイプは高さを強調しないよう、目深に被ると似合いやすいだろう。
9.マウンテンハット
via:rays-store
その名のとおり、クラウンの形が山脈のように見える「マウンテンハット」。先に挙げたボーラハットのクラウンをところどころ凹ませたような形状が特徴だ。
正確な由来は不明だが、1982年に「Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)」のショーで披露されたものがよく引き合いに出される。近年のファッションシーンでは、ファレル・ウィリアムスが同ブランドのマウンテンハットをグラミー賞の授与式で着用したことでも話題に。ちなみに、彼が被ったハットはオークションサイトのイーベイにて4万4100ドル(約450万円)で落札された。
ヴィヴィアン・ウエストウッド以外にも「Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)」や「MOUNTAIN RESEARCH(マウンテンリサーチ)」など、パンクスピリットを背景に持つブランドからよくリリースされる。決して多数派ではないが、根強いファンがいる形のハットだ。当然、パンクやモードスタイルとも相性がいい。着こなしのスパイス役として用意しておいてもいいだろう。
ある種の違和感を演出する意図もあるハットなので、似合いやすい顔の形は挙げづらいが、丸顔やホームベース型、逆三角形型などが該当する。顔の縦幅が強調されるため、面長タイプには似合いづらいだろう。
10.ストローハット
via:neweracap
日本語で“麦わら帽子”を意味する「ストローハット」。麦の茎を日に干し、ひも状に組んでから縫い合わせて作られる。素材の特性上、軽量で通気性に優れているため春夏向けのハットだ。
近年は麦わらだけでなく、椰子の葉や麻、紙などの素材を使って編んだハットを総称してストローハットと呼ぶことが多い。取り扱いやすさを重視して、ポリエステルなどの合成繊維が使われることもある。よく混同されがちな「パナマハット」は中南米のパナマ草を使用したもののみを指す名前なので、また別物と考えるべきだろう。
デザインに関しては、中折れハットのようにクラウンの上部に折り目が入るものが多いが、ボーラーハットのように丸みを帯びたものも展開されている。トレンド感を重視するなら、冒頭に挙げたバケットハット型で探すのもひとつの手だ。
似合いやすい顔の形はストローハットの形状によって、当然変わる。すでに挙げた種類をぜひ参考にしてほしい。
11.カンカン帽
via:maisonspecial
「カンカン帽」は先に紹介したストローハットの一種。元々は水兵や船乗り用だったため、水しぶきで損傷しないようにニスや糊で固めて作られており、叩くと"カンカン"と音がするほど硬かったのが名前の由来。ちなみにカンカン帽は日本だけの俗称で、海外では「ボーターハット」「キャノチェ」と呼ばれている。
クラウンの上部、およびブリムの両方が平らになっているのが特徴。リボンの色は黒が正式とされるが、カジュアルなシーンで被る際は気にする必要はないだろう。麦わら素材だけでなく、ペーパー素材やパナマ草を用いたものも売られている。
日本では大正から昭和初期にかけて流行した経緯があるせいか、数あるストローハットの種類の中でも特にレトロな雰囲気が強いハットだ。昭和リバイバルのムードがある昨今、街中で見かける機会もじわじわと増えている。コーディネートとしては、さらっとTシャツに合わせるだけで洒落て見えるが、開襟シャツを選んでレトロなテイストを強調させるのもいいだろう。
似合いやすい顔の形は面長タイプやホームベース型のタイプ。クラウンの高さがあまりないハットなので面長の顔との相性はいい。ホームベース型のタイプであればブリムの幅が広いものを選ぶとまとまりやすい。
おわりに
昨今のトレンドを加味しながら、混同しがちなハットを11種類紹介した。何か気になるハットは見つかっただろうか。「いつもはキャップがメイン」という方も、これを機にいろいろなハットに興味を持っていただければ幸いだ。
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