今さら聞けない基礎知識!スニーカーとは一体なに?語源や歴史を紹介!|コラム について
一歩外に出れば体の一部とも言えるほど身近な存在、スニーカー。
普段から何気なしに履く機会が多いスニーカーだが、そもそも「スニーカーとは一体なんなのか」について、深く考えてみたことはあるだろうか?
「なぜスニーカーという名前がついたの?」「どんな靴をスニーカーというの?」「スニーカーと運動靴の違いって?」など、きっと知らないことがまだまだたくさんあるかと思う。
また、スニーカーには深い歴史もあり、誕生から現代に至るまで様々な進化を歩んできた。果たして、どのような歴史を刻んで今のスニーカーが出来上がり、各ブランドが立ち上げられたのだろうか。
そこで今回は、そもそもの基礎知識を深める「スニーカーとは」について解説するほか、スニーカーにまつわる歴史を時系列にまとめて紹介していく。
そもそもの疑問!スニーカーとは?
スニーカーの定義
まず最初に、「スニーカー」の定義について確認しておこう。辞書でスニーカーを調べてみると、以下のように記載されている。
今回使用した辞書は、インターネットで幅広く利用されている国内最大級の国語辞典、「weblio国語辞典」から引用した。
ゴム底の布製または皮製のスポーツシューズ。
この説明の通り、ソールをゴム、アッパーを布や皮で構築したスポーツシューズがスニーカーとして定義されている。
ソールは「ゴム」とされているが、アッパー素材に関しては「布製」や「皮製」とされており、明確な決まりはないようだ。
たしかにスニーカーのアッパーには、スウェードやキャンバスをはじめとした様々な素材が使用されている。それに加えて、カラーはもちろんだがミッドソールの厚みや履き口の高さなどもスニーカーによって様々。
このように、一言で「スニーカー」と言っても、定義に基づいた上で豊富な種類のスニーカーが生まれ、人々を魅了している。
スニーカーの語源
「スニーカー」という言葉は、一体何が語源となっているのか気にならないだろうか?
普段からよく使う言葉であるがゆえに、その語源や意味を知ってみたい方もいらっしゃるはず。これを知っておくと、スニーカーに対する愛着がもっと湧くかもしれない。
さて本題だが、スニーカーは英語で「sneakers」と書き、「sneak」は「忍び寄る」を意味する。
1916年にアメリカのKeds(ケッズ)社がゴム底の靴を販売を始めた際、「より静かな靴ということをアピールするキャッチフレーズ」から生まれた言葉が「スニーカー」だと言われている。
スニーカーが誕生する以前は靴といえば革靴だったため、履いて歩くと「カツッ」と音がした。それと反して、スニーカーはソールがゴムで作られているために、その名の通り忍者のように「忍び寄る」ことができる靴として浸透していくこととなった。
履き口の高さが異なるスニーカーのタイプ
スニーカーには、履き口の高さが異なるタイプがあるのをご存知だろうか。デザインや素材だけではなく、履き口の高さにも様々なバリエーションがあるのがスニーカー。Nike(ナイキ)のモデルを主な例として挙げると、「ハイカット」「ミッドカット」「ローカット」がある。
ここでは、「ハイカット」「ミッドカット」「ローカット」の違いを、ナイキの人気モデルであるAir Force1(エアフォース1)を用いて紹介していく。
【ハイカット】
ハイカットは、履き口がくるぶしよりも高い位置にあり、足首を覆うように設計されているタイプ。
足元にボリュームを持たせることができ、ファッション性も抜群。ハイカットはエアフォース1やAir Jordan1(エアジョーダン1)のモデルを筆頭に、高い人気を誇っている。
【ミッドカット】
画像: ナイキ エアフォース1 ミッド '07 "ホワイト"
履き口の高さで言うと、ローカットとハイカットの中間に位置づけられるのがミッドカット。ハイカットよりも少し低い、くるぶしの少し上くらいの履き口となっている。
また、足首のホールド感と足元に適度なボリューム感を持たせることができるのも特徴。重くなりすぎない軽快さも兼ね備えている。
【ローカット】
スニーカーの中で、おそらく最も定番の形とされるであろうローカット。履き口の高さはくるぶしよりも低く、足首の可動域が広いため履き心地の良さや動きやすさの面でも人気を博している。
その軽快さから、多くのスポーツシーンでも重宝されている。
「運動靴」と「スニーカー」の違いは?
本項では、運動靴またはスポーツシューズと、スニーカーの違いについて解説。「どういった違いがあるのか?」「そもそも違いはあるのか?」といった疑問をお持ちの方もいるだろう。これからその疑問を解決していこう。
結論から言うと、「運動靴とスニーカーには、明確な違いはない」。
「運動靴」についてスニーカーと同様に辞書を引いてみると、「運動用の靴。ズックやビニール製で底がゴム張りのものが多い。」と記されていた。 つまり、スニーカー同様にソールがゴムで作られている靴のことも運動靴と呼ぶ。
両者の違いを強いて言うなれば、運動靴は「運動やスポーツをする場合」に着用することが多く、スニーカーは「ファッション性を高める場合や外出する場合」に着用することが多いと言える。
また、スニーカーも様々な運動靴やスポーツシューズをベースに製作されているものが多く、あらゆる機能を備えて作られている。
スニーカーなのに運動もできる機能性を兼ね備えたスニーカー、一体どんなタイプのものがあるか知りたくないだろうか?ここからはそれぞれのシーンに分けて、その代表的なスニーカーを紹介していく。
◼︎バスケットタイプ
画像: ナイキ エアジョーダン1 ハイ OG "パテント ブレッド"
バスケットボールシューズ用に作られたスニーカー。バスケットボールは機敏かつ激しい動きを伴うスポーツのため、足元をガッチリとサポートできるように設計されているほか、 グリップ力や耐久性にも注力されている。
ストリートファッションとの相性がとてもよく、エアジョーダン1を筆頭に人気を博しているタイプだ。
◼︎テニスタイプ
画像: アディダス オリジナルス スタンスミス "ホワイト/グリーン""
テニス用に作られたスニーカー。テニスの歴史が古いこともあり、クリーンな印象のシューズが目立つ。
オフィスカジュアルなど綺麗めコーデにハマるモデルとして、スタンスミスを筆頭にシンプルなデザインのモデルが人気を博している。
◼︎サッカー・トレーニングタイプ
画像: アディダス サンバ OG "クラウド ホワイト/コア ブラック"
多くのアッパーパーツを必要としないモデルが多い、トレーニング・サッカータイプ。テラススタイルと呼ばれるヨーロッパのサッカーカルチャーで流行したバッググラウンドを持つ。
パリコレ参加者など感度の高い着用者が目立ち、ファッショニスタからも注目されているタイプだ。
◼︎スケートボードタイプ
スケートボード用に作られたスニーカー。ボードの上で滑りにくいグリップ力と、衝撃を吸収するためのクッション性に特化した構造となっている。 かかとからつま先まで平らな形状のソールになっていることが多いのがスケートボードタイプの特徴の一つ。
ストリートカルチャーに根付いたファッショナブルなデザインのものが多く、近年の注目モデルが数多く存在する。
◼︎ランニングタイプ
画像: ナイキ エアマックス95 OG "ネオンイエロー/イエローグラデ" (2020)
ランニング用に作られたスニーカー。長距離のランニングに対応できるよう、軽量性やクッション性に特化した性能を兼ね備えている。
日常使いにおいても、快適な履き心地を実感しつつ、足元にスポーティーなファッション性を演出することができる。
◼︎アウトドアタイプ
山登り、キャンプなどのアウトドアシーンを想定して作られたスニーカー。足場の悪い地面や、凸凹した地面でも安定して歩くことができるように工夫されたソールは、 他のスニーカーに比べて硬めに作られている。
様々な天候にも順応できるよう、アッパーに防水素材を使用している場合が多いのも特徴。
◼︎ファッションタイプ
画像: ピースマイナスワン × ナイキ クウォンド1 "ブラックアンドホワイト"
これまで紹介したものと異なり、明らかにファッション性に特化して作られたスニーカー。デザイン性に優れており、個性を演出するのに適している。
モード感のあるスニーカーなど、感度の高い人におすすめできるタイプだ。
スニーカーの種類についてさらに詳しく知りたい方は、 こちらのコラムをチェックしてほしい。
スニーカーには他にも分け方がある?
これまで紹介してきたタイプ分けもそうだが、他にもスニーカーを見ていく上で重要な視点がある。そこで、「ローテクスニーカーとハイテクスニーカーの違い」や「ヴァルカナイズドソールとカップソールの違い」を紹介する。
【ローテク・ハイテクスニーカーの違い】
まずは、スニーカーと関わる上で頻出する「ハイテクスニーカーとローテクスニーカーの違い」をチェック。この"テク"はテクノロジーの略。シューズに搭載された機能やルックスで言い分けることができる。
◼︎ローテクスニーカー
画像: アディダス オリジナルス スーパースター "フットウェア ホワイト/コア ブラック"
薄めのソールにシンプルなアッパーが取り付けられたタイプ。1960年代〜1980年代のシューズに起因するモデルが多く、レトロな雰囲気を醸し出している。
アディダスのスタンスミス、スーパースターや、ナイキのダンク、エアジョーダンなど、定番スニーカーと言われるモデルも多い。
◼︎ハイテクスニーカー
画像: ナイキ エア モア アップテンポ "ブラック/ホワイト" (2020)
ハイテクという名に恥じぬ、多くのテクノロジーが搭載されたタイプ。1990年代〜2000年代にリリースされたモデルが多く、"ハイテクスニーカーブーム"と言われるブームを巻き起こした。
履き心地はもちろん機能美にも優れたデザインで、多くのスニーカーヘッズの心を掴んでいる。
【ヴァルカナイズドソール・カップソールの違い(ソールの製法の違い)】
次によく注目されるのが、ソールの違い。「あれそんなに気にしたことない」なんて人も、意外とデザインの違いで知らず知らずのうちに気にかけているなんて場合も。今回は、スケートボードシーンでよく使用されるシューズをベースにチェックしていこう。
◼︎ヴァルカナイズドソール
画像: シュプリーム × バンズ オールドスクール "ピンク"
ヴァルカナイズドソールとは、"ヴァルカナイズド製法"で接着されたソールのこと。この"ヴァルカナイズド製法"とは、アッパーとソールの隙間に、固まる前の生ゴムを流し込み接着させる製法で、薄いソールを使用するため、地面やデッキの感覚を足の裏で感じやすいという特色が挙げられる。
バンズやコンバースなどがよく用いるソールで、レトロな雰囲気を醸し出すことが可能。
◼︎カップソール
画像: ナイキ SB ダンク ロー プロ "フィラデルフィア・フィリーズ/バラーブルー アンド チームマルーン"
カップソールは、既に靴底の形状をしたソールをアッパーに包み込むようにはめ込み、縫い合わせたりボンドで付ける製造方法のタイプ。そのため、クッション性などに優れるが、ヴァルカナイズドソールと比べると地面の感覚がわかりにくく感じることも。
ナイキSB ダンクなど、アッパーの主張が強い作りが多く、各モデルの個性が表れやすい。
スニーカーとブランド誕生の歴史を辿る
スニーカーは今でこそ私たちの生活において身近な存在となり、様々なデザインやタイプが登場しているが、果たしてそれらをリリースしている各ブランドにはどのような歴史があるのだろうか。
ここからは、主なスニーカーブランドの誕生の歴史に焦点を当てながら、時系列に沿って解説していく。
【1895年】スニーカーの先駆けとなるシューズが誕生
まず覚えておきたいのがこちら。のちのReebok(リーボック)創設者、ジョセフ・ウィリアム・フォスターが、ソールに釘を打ちつけたシューズ「フォスター・デラックス・スパイク」を製作した。
滑ることなく地面を蹴り上げることに特化した、陸上用スパイクとして活躍。これを機に各ブランドが続々と誕生し、スニーカーが世に送り出されていくことになる。
【1906年】New Balance(ニューバランス)創業
via:New Balance
アメリカのボストンにて、アーチサーチサポートインソールや扁平足を直すための矯正靴の製造メーカーとしてニューバランスが創業。
社名の由来はその名の通り、履いた人に"新しい(new)、バランス(balance)"感覚をもたらすというコンセプトに起因している。
【1908年】Converse(コンバース)創業
via:Converse
アメリカのマサチューセッツ州モールデン地区にて、コンバースが創業。コンバースのラバーシューズは、その品質の高さから圧倒的な支持を受け、 1910年には従業員350人を擁する地元の有力企業へと成長した。
【1916年】Keds(ケッズ)創業
U.S.Rubber(U.S.ラバー)が創業したスニーカーブランド、ケッズ。その名前の由来は、「Kids(子ども)」とラテン語で「足」を意味する「Peds」の造語だと言われている。
テニスシューズやバスケットボールシューズを開発し、スニーカーの由来ともなる「静かに忍び寄ることができる靴」をキャッチコピーとして使用。 世界的にスニーカーという呼称を広めていった先駆けとも言えるブランドだ。
【1920年】adidas(アディダス)とPuma(プーマ)に深く関わる、ダスラー兄弟商会が設立
ドイツのニュルンベルク近郊で、兄ルドルフ・弟アドルフのダスラー兄弟が靴製造の会社「ダスラー兄弟商会」を設立。主にルドルフが販売、アドルフが生産を担当したと言われている。
この兄弟が、後の世界的スポーツブランドであるアディダスとプーマを設立することになる。
【1948年】アディダス創業
この年、兄弟の意見対立によりダスラー兄弟商会を解消し、アドルフが「アディダス」を設立。 社名の由来は、アドルフの愛称「アディ」と「ダスラー」をつなげたものからきていると言われている。
【1948年】プーマ創業
弟のアドルフとの意見対立の末、兄のルドルフは「RUDA」という名前のシューズ会社を設立するが、その翌年「PUMA」に社名を変更。
ダスラー兄弟商会が決裂し、アディダスとプーマが創業することになった両者の対立は、当時の街の人々の生活も巻き込んでしまうほど熾烈な競争だったそうだ。
【1958年】Reebok(リーボック)創業
「フォスター・デラックス・スパイク」を作ったジョセフ・ウイリアム・フォスターの孫が会社名を「リーボック」に変更し、創業開始。
社名に使用されている「リーボック」とはアフリカに棲む足の速い動物「ガゼール」の一種のことを指す。 「アスリートに最高のパフォーマンスを発揮させること」に貢献する同社にピッタリなネーミングとしてその名を拡げることに。 この頃にはサッカーをはじめ、ランニングカテゴリー以外にも進出。同社は徐々に総合スポーツシューズメーカーとして認知されていった。
【1964年】後のNike(ナイキ)、ブルーリボンスポーツ(BRS)社が創業
ナイキの創業者であるフィル・ナイトが、オレゴン大学の陸上コーチであったビル・バウワーマンと共同でBRS社を設立。日本からオニツカタイガーのランニングシューズを輸入し、アメリカ国内で販売していた。
【1966年】Vans(バンズ)創業
アメリカのカリフォルニア州アナハイムにて、デッキシューズのメーカー兼ショップとして創業したバンズ。創業者はポール・ヴァン・ドーレンで、ブランド名の由来は「ヴァンとその仲間達」というシンプルかつ馴染み深い意味が込められている。
バンズは、スケートボードをする人々に愛されるスケートボードタイプのスニーカーで人気を獲得。また、ブランドのキャッチフレーズである「OFF THE WALL」は、俗語で「馬鹿げた」「突拍子もない」を意味する言葉となる。そんな言葉をキャッチフレーズに採用する、遊び心満載のブランドだ。
【1971年】BRS社から社名を変更し、ナイキ創業
紆余曲折を経てBRS社が社名をナイキに変更。現在、世界で最も有名なスポーツブランドの一つとして人々にその名を知られるようになった。また、同年にナイキお馴染みのロゴ「スウッシュ」がデザインされたシューズが登場。ナイキの代名詞的デザインとして世界中に浸透している。
【1977年】Asics(アシックス)創業
via:Asics
オニツカ株式会社、株式会社ジィティオ、ジェレンク株式会社の3社が対等合併し、総合スポーツ用品メーカー「株式会社アシックス」が誕生。
アシックスの社名の由来は古代ローマの風刺作家ユベナリスの「Anima Sana In Corpore Sano」という言葉の頭文字から取ったとされている。
上記で紹介したのが、スニーカーの誕生から現在に至るまでの歴史の中で、重要な役割を担ってきた主なブランドの誕生とその歴史だ。
紹介しきれないほどの歴史やエピソードがまだまだたくさんあるが、それぞれのブランドの誕生の歴史を知るだけでも基礎知識が深まるだろう。
これ以降の出来事や、1990年代に起こったスニーカーブームの歴史について詳しく知りたい方は、 こちらのコラムをチェックしてほしい。
まとめ
今回は、「スニーカーとは」そもそもどういったものを指すのか?また、運動靴との違いの有無や、スニーカーとブランド誕生の歴史を解説した。
私たちが普段何気なく履いているスニーカー。100年以上も前に誕生し、そして多くのブランドが立ち上がってきたことを考えると、 やはり人とスニーカーは今も昔も切っても切れない関係にあるのかもしれない。
また、スニーカーには様々なタイプがあることで、普段履かないタイプを着用することで新しい発見があるかも。ぜひこれを機に、スニーカーそのものの基礎知識を深めながらスニーカーライフを送ってみてはいかがだろうか。
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