メンズのカジュアルシーンにおいて、スウェットやフーディーの利便性は疑いようがない。とはいえ、長く続く冬の最中、当たり前のように手に取るそれらのアイテムに"飽き"を感じてしまう瞬間はないだろうか? かといって、ラフなスウェットに慣れた身にとって、繊細なハイゲージのニットや毛足の長いセーターは取り扱いに神経を使うもの。
そんな"スウェットへの飽き"と、"ニットへの心理的ハードル"の隙間を埋めるのが、「ドライバーズニット」という選択肢に他ならない。今回はスウェットに劣らないタフさを持ちながら、スウェットでは表現できないムードを併せ持つ同アイテムの魅力を探る。
フルジップがもたらした洗練。マルジェラが伝統的な"カミオニュール"を再定義
ドライバーズニットの起源は、欧州の伝統的なワークウェアの系譜にある。フランス語で「Camionneur(カミオニュール=トラック運転手)」と呼ばれるこのニットは、古くから労働者たちの防寒着として親しまれてきた。カミオニュール自体は、プルオーバー型のハーフジップと羽織り型のフルジップの2タイプが混在するが、1990年代後半に「メゾン マルタン マルジェラ(現:メゾン マルジェラ)」が現代的なワードローブとして再定義。
同ブランドがカミオニュールの象徴的なディテールとして抽出したのは、後者の"フルジップ"だった。首元を冷気から保護するための高いネックはそのままに、全開可能なジップを備えることで、体温調節と着脱の容易さを両立。単なる作業着だったカミオニュールは、マルジェラによる極めて合理的な再解釈によって、洗練されたメンズワードローブの定番としての地位を確立し、今日に至っている。ちなみに、俗にカレンダータグと呼ばれ、0から23までの数字が刻印されたネームタグの番号は、メンズのための普遍的なワードローブを意味する"14"に丸が付けられている。
via:maisonmargiela
同アイテムの特筆すべき点は、ニット特有の柔らかなニュアンスを排除したストイックな佇まいにあると言っていいだろう。硬牢さが際立つ厚手のリブ編みは、伸縮性に富むだけでなく、毛玉ができにくいため、スウェットに近いラフな感覚で扱えるのが最大の利点だ。また、垂直に立ち上がる襟はスウェットでは醸し出せない、端正な雰囲気を演出してくれる。取り扱いに気を使わず、一歩抜き出た"大人の余裕"を容易に醸し出せる実用美こそが、現代のカジュアルシーンにおけるマルジェラのドライバーズニットの魅力だ。
via:maisonmargiela
ハイエンドからテックまで。"惰性のスウェット"に代わる厳選15モデル
今回はスニダン編集部おすすめの15モデルもピックアップした。筆頭に挙がる「マルジェラ」の定番は、年齢を重ねるごとに「今の自分にしっくりくる」という不思議な魔力を秘めた一着だが、その他にも魅力的な選択肢は数多い。例えば、「プラダ」や「ジル サンダー」は上質なカシミヤや厳選されたウールを用いて、ドライバーズニット特有の合理性とラグジュアリーな着心地を高次元で融合させている。
ストリートの文脈を愛する層であれば、「シュプリーム」や「ステューシー」、「パレス」の提案もチェックしておきたい。特にWINDSTOPPER®を搭載したモデルは、ニットの表情を持ちながら防風・透湿という機能を備え、日常の利便性においてスウェットを凌駕するスペックを体現してくれるはずだ。「アワーレガシー」や「ストーンアイランド」、国内勢に目を向ければ「ヨーク」や「グラフペーパー」なども、独自のシルエットや加工によって、"ニット=ほっこり"という固定イメージを鮮やかに打ち破っている。この冬は、タフに使い倒せる機能美を体現するドライバーズニットにぜひ袖を通してみてほしい。