アウトドアウェアの枠を超え、今や世界のファッションシーンを牽引している「The North Face(ザ ノース フェイス)」。2025年には、HYKE(ハイク)、UNDERCOVER(アンダーカバー)、Aimé Leon Dore(エメレオンドレ)など、名だたるブランドたちとコラボコレクションを展開し、例年にも増して注目を集めた。そこで今回は2025年にリリースされたザ ノース フェイスのコラボから、注目度の高かったものを振り返っていく。
「The North Face × HYKE "TNFH" 2025SS/FW collection」
via:thenorthfacejp
「ザノースフェイス」と「ハイク」の共作プロジェクト「TNFH」は、2025年春夏と秋冬で鮮やかな対比を見せた。2月19日に発売された春夏コレクションでは、トレイルランニングに特化。ブランドが誇るストイックな機能性に、ハイクらしいモノトーンのミニマリズムを融合させた。本格的なアクティビティから洗練された都会の日常着までをシームレスに繋ぐ、新たなユニフォームの提案した。
一方、10月8日発売の秋冬コレクションは、東京のランウェイで披露された前衛的なデザインが大きな話題を呼んだ。シアーな素材感のカットソーや、独創的なバランスのショート丈ダウンベストなど、ブラックとベージュを基調としたエレガントなルックを展開。アウトドアウェアを完全に「モード」の域へと押し上げたコレクションだった。
▶︎TNFH ザ ノースフェイス × ハイク SS 2025 コレクション
▶︎ザ ノースフェイス × ハイク "TNFH" 25秋冬 コレクション
「The North Face × UNDERCOVER "SOUKUU" collection Season 4」
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高橋盾氏が手掛ける「アンダーカバー」とのコラボライン「SOUKUU(創空)」は、2025年さらなる精神的な深化を遂げた。このラインの核にあるのは、カオスとバランスの間に存在する「瞑想や静寂」という哲学だ。アンダーカバーらしいエッジの効いたグラフィックや独自のレイヤリング思想が、「ザノースフェイス」の最先端テック素材と見事に共鳴。
複雑なパターンが生み出す唯一無二のシルエットは、ストリートの感性を色濃く反映しつつ、過酷な自然環境にも耐えうる実力を損なっていない。ファッションとしての表現欲求と、ギアとしてのパフォーマンス。この両者を完璧なバランスで体現した、現代の都市生活者に贈る「究極の日常着」と言えるだろう。
▶︎ザ ノースフェイス × アンダーカバー "創空/ソウクウ" コレクション シーズン4
「Aimé Leon Dore × THE NORTH FACE collection」
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都会的な洗練とヘリテージへの敬意を完璧に融合させたのが、テディ・サンティス氏率いる「Aimé Leon Dore(エメ レオン ドレ)」とのタッグだ。ニューヨークのストリートカルチャーを再定義し続ける同ブランドは、今作で1990年代のヴィンテージ・アウトドアの空気を現代に蘇らせた。ヌプシジャケットなどの名作をベースに、ALDらしい絶妙なカラーパレットや素材使いを敢行。
懐かしさと新鮮さが同居するその仕上がりは、単なる復刻の域を超え、現代のシーンにおける「真のクラシック」を提示した。機能美にニューヨークの洗練を落とし込んだ今コレクションは、2025年のTNFを語る上で欠かせない重要なピースとなった。
▶︎エメ レオン ドレ × ザ・ノース・フェイス コレクション
「The North Face × Cecilie Bahnsen collection」
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2025年最も意外性のあるニュースとして世界を揺らしたのが、コペンハーゲンを拠点とする「セシリーバンセン」との初コラボレーションだ。彼女たちの代名詞であるクチュールライクな立体刺繍や、空気を孕むようなフェミニンなボリュームシルエットが、「ザ ノース フェイス」のタフなシェルやダウンに見事に落とし込まれた。
これまで対極にあると思われていた「無骨な機能性」と「可憐な乙女心」の融合。ドレスのように纏えるアウターや、繊細なフラワーモチーフが施されたフットウェアなど、「機能性ウェアは可愛い」という全く新しい価値観を確立した。多くのアウトドア・ファッションの定義を塗り替えた、歴史的なコレクションだ。
▶︎ザ ノースフェイス × セシリーバンセン コレクション
▶︎The North FaceとCecilie Bahnsenのコラボから新作が登場!アイコン「ベースキャンプダッフル」をフェミニンに再解釈
▶︎The North FaceとCecilie Bahnsenが再びコラボ。2025年秋冬コレクション第2弾が10/30発売
おわりに
2025年に展開されたこれら4つのコラボレーションは、単なるブランドの掛け合わせではない。それはアウトドアウェアが持つ可能性を、鮮やかに拡張してみせた。それぞれのコレクションが証明したのは、「ザノースフェイス」の機能性は、あらゆるデザイナーの哲学を受け止める「究極のキャンバス」であるということだ。実用性とファッションがかつてないほど高い次元で共鳴した2025年。手に入れた一着は、持ち主の日常やアクティビティをより豊かに、そして刺激的なものへと変えてくれるに違いない。