マルジェラ、ストーンアイランド…なかむが語る「ストーリーのある服」に惹かれる理由について
ファッションYouTuberとして、圧倒的な知識と情熱でファンを魅了し続ける、なかむ。今回、スニダンで私物抽選販売を行うにあたり、彼のファッションの原点とも言えるマルジェラとの出会いについて深く語ってもらった。その出会いをきっかけにして、今回出品されるSTONE ISLAND(ストーンアイランド)やHERMES(エルメス)といったブランドにも、彼の探究心は向けられたようだ。なかむが思わず袖を通したくなるそれらの服に共通するポイントとは?
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なかむ
YouTube:なかむ
Instagram:@nakamu_64
TikTok:@nakamu_64
2017年からYouTubeチャンネル「なかむ」を運営。ファッション層に広く認知を得ており、YouTubeのチャンネル登録者は17万人を超える。また、ブランドバイヤー、セレクトショップのオーナーを経て、現在では都内で3店舗展開するブランド古着「Brooch」の社長を務める。

マルジェラと偶然出会って、その魅力にどんどんハマっていった

ーなかむさんはYouTubeを始め、ブランドディレクターなどマルチに活躍されています。現在はどのような活動をメインにされているのでしょうか?
今は代官山、中目黒、表参道に店舗を構える「ブランド古着Brooch」の代表をやりながら、ファッションをより多くの人に楽しんでもらえるための発信をしています。その中の一番大きなものがYouTube。元々YouTubeは、そのお店のPRのような形で2017年にスタートしました。だから、最初の頃はYouTubeの名前も「なかむ(ブランド古着Brooch)」だったんです。
ー当時のYouTubeを見ると、Brooch代官山店の店頭で撮影されていますよね。
今考えるとありえない環境ですね(笑)。店頭でちょっと撮影して、編集して上げるというのを繰り返していました。お店のPRではあったんですが、「個人のYouTubeとしてやっていいよ」と言われていたので、途中で名前を「なかむ」に変更しました。そこから5年くらいYouTubeの撮影を続ける中で、自身のセレクトショップを運営したりと、並行していろいろな活動をしたのですが、結果的にブランド古着Broochに戻り、代表をまかせてもらえるようになったという形です。
YouTubeを始めた当初の動画は、なかむさんが当時勤めていたBrooch代官山店の店頭で撮影されていた。
ーさまざまな経験を経て、最初にいた古着屋の代表になるというのは面白い経歴ですよね。ファッションは昔から好きだったんですか?
ファッションに興味を持ったのは高校からだったんです。中高の6年間はずっとテニスをやっていて、「テニスでご飯を食べられたら良いな」と思って、本気で打ち込んでいました。だけど、実力が足りず、続けるか悩んだ結果テニスをやめたんです。でも、テニスを取られたら何もなくなっちゃって...。何か打ち込めるものはないかなと思って、いろいろ探していた中で、一番ハマったのがマルジェラのコレクションでした。
ー「なかむさん=マルジェラ」という印象がありますが、ファッションにハマったきっかけもマルジェラだったとは知りませんでした。
いっぱいあるブランドの中で唯一ずっと好きなブランドがマルジェラなんですよ。でも、本当にその出会いはたまたまで。昔のアーティザナル*っぽい、すごく変わったコレクションのショーを見つけたんです。何かこれ変だな、面白いなって感じで、マルジェラに引き込まれていきました。だから、ファッションに興味を持つきっかけとしてよくある、モテたい、モテるために...みたいな気持ちは全くなかったですね。モノとして向き合った結果、純粋にマルジェラを好きになったという一面のほうが大きいです。
*世界中から集めた古着やオブジェを解体し、職人の手仕事で新たな服へと再構築する、メゾン マルジェラの真髄とも言えるコレクション。その圧倒的な創造性と希少性から数々のファッションフリークを虜にしている。
YouTubeでは活動当初から現在に至るまで、なかむさんのマルジェラ愛が伝わる動画が数多くアップされている。
ー初めて買ったマルジェラのアイテムは覚えていますか?
今はもう手放してしまいましたが、初めて買ったのはエルボーパッチの付いているブルーのニット*。しかもサイズはXL。今は古着だとXLは高いですが、当時は一番安かったんです(笑)。古着屋で5,000円くらいで買って、それをありえないくらい着てましたね。それで徐々にバイトを頑張って、初めてマルジェラの店舗で買ったりして、マルジェラの服がどんどん増えていきました。
*ブランドを代表するアイコンの一つ。本来は補強のための実用的なディテールであるレザーパッチを、デザインのアクセントとして昇華させた。上質なニットの柔らかな着心地と、肘のスエードレザーがもたらすコントラストが魅力。
ーなかむさん自身はマルジェラのどういった部分に惹かれていますか?
マルジェラはこだわりのある、変わったアイテムが多いけど、そこまで着るのは難しくはないと思っていて。例えば、「インサイドアウト(裏返し)」のアイテムも変わっているけど、意外と着られる。マルジェラには、一見ちょっと変わってるけど、実は着やすいというアイテムが多いんです。僕のまわりで「マルジェラを嫌い」という人は一人もいないんですけど、そういうところが理由なのかなって思うし、自分が一番好きな理由でもありますね。あとは「匿名性」ですね。当時はマルタン・マルジェラ自身が顔や声を出していなかったし、ミステリアスな部分に惹かれたっていうのは確実にあります。

ーちなみに2008年頃にはマルタン・マルジェラ本人がブランドから退いてしまいますが、それ以降のマルジェラについてはどう思いますか?
どっちか2択で選べと言われれば本人期ですが...ただ、それ以降も良いですよね。2009年からジョン・ガリアーノさんがデザイナーに就任する間の期間は、デザインチームが担当しているんですけど、やっぱり本人の下でやってきた人たちなので、マルジェラのDNAを感じさせるデザインが多い。今のMM6にもそれに近いものを感じているので、最近はMM6をよく買ってますね。
ーその後、ジョン・ガリアーノが就任してからは大きく変わりましたよね。
ガリアーノさんが就任してからは、ガラッといろんなことが変わりましたよね。タグを前に出したり、4つタグがデザインに使われたり、タビのメンズや、5acというアイコンバッグみたいなものも出たり...。ちゃんとビジネスもやるようになって、そのバランスがすごい上手い。ちゃんと、マルジェラ好きな人に刺さるものも出してくれますしね。価格帯はめちゃくちゃ上がりましたけど(笑)。その頃から、マルジェラがよりマスに有名になったというか、ラグジュアリーブランドみたいな認識になった印象です。そして、そろそろ後任であるグレン・マーティンスさん(元Y/Project、現DIESEL)の初のコレクションが発表されるので、それも楽しみですね。
特に思い入れ深いアイテムは、マルジェラの名作「ハの字ライダース」
ー今回なかむさんの私物抽選販売では、多くのアイテムを出品していただきます。ラインナップを見るとやはりマルジェラが多いですが、その中でも特に思い入れが深いものはありますか?
今回の出品キャンペーンでいうと「ハの字」ですね、やっぱり。ハの字のライダースは家に7着あって、この赤(ボルドー)も44、46のサイズ違いで2着持っています。これは09年のアイテムですが、ちょっとタイトなのでもう手放してもいいかなと。

メゾン マルジェラを象徴する、不朽の名作「5ジップ レザージャケット」。フロントに斜めに走る2つのジップが「ハ」の字に見えることから、その愛称で親しまれている。存在感と着やすさを両立した、時代を超えて愛される一着。
ー「ハの字ライダース」はマルジェラの名作アイテムの一つですよね。ハの字の魅力は何だと思いますか?
いつ着てもシンプルにかっこいいところ。ライダースはハードルが高いように見えますが、それはダブルの方だと思うんです。ちょっとゴツゴツしくて男って感じがするじゃないですか(笑)。でも、シングルのライダースはどこか中性的で、若い方やレザーを着たことがない方でも着やすい。ハの字は、その着やすさもありつつ、身頃と袖先に合計5本のジップが付属するデザインがすごくかっこいいです。

ー昔からあるのにデザインが古くならないですよね。
実は「ハの字」は、マルジェラのメンズコレクションが始まった最初期から出してるんですよ。そこから、今に至るまで定番として展開されるほど大成功したアイテム。やっぱり、バランスが上手なんでしょうね。ジップが5本も付いていて、目立つはずのデザインなのに、そこまでしつこさを感じない。存在感はあるんだけど、どこかしおらしい。この中性的な感じが、マルジェラ全体を通しての魅力だと思いますね。
ー他にも今回の私物抽選販売の出品アイテムの中で、思い入れの深い服はありますか?
これはマルジェラじゃなくてエルメスなんですけど...(笑)。マルタン・マルジェラが携わっていた頃のエルメスのアイテムです。かぶりのレザーシャツになっていて、髪の長い女性が絡まないようにかなりネックが空いたデザインになっています。

1997年から2003年にかけマルジェラが手掛けた、通称「マルジェラ期」のエルメス。メゾンの伝統と脱構築的な哲学を融合させ、”究極の普段着”と評される数々の名作を生んだ。
ーエルメスのレザーということも相まって、生地も仕立ても美しいですね。
この頃のエルメスは「マルジェラ期だから価値あるぞ」みたいなテンションで話されることが多いんですけど、当時の評価はあまり良くなかったんです。マルジェラの奇抜さや、アンチモードのデザインをエルメスで見れる!ってみんな思ってたけど、蓋を開けてみればかなりシンプルなデザインだったので、あまり評価されてなかったんですよ。それが今になって再評価されているのが皮肉だし、面白いなっていう。

ーこれはいつ頃に出たものなんですか?
マルタン・マルジェラがデザイナーだったのが、97〜03年なのでその間に出たものですね。5年くらい前に古着屋で買って、動画にもした、かなり思い出深いアイテムです。でも、もう着ないので今回出品することにしました。
手放すのが惜しい?Pコートの中で唯一かっこいいと思う「ストーンアイランド」の逸品

ーマルジェラのお話を伺っていると、なかむさんは語りどころのあるブランドに惹かれているような印象を受けます。
たしかに。言われてみて、初めて気づいたかもしれないです(笑)。
ー背景にストーリーがあるブランドというか。
あ、やっぱりストーリーは欲しいなって思います。語るところが何も無い服はあまり買わないですね...。誰かに話したいわけでもなくて、自分がそれで納得できれば良いんですけど、「こういう理由があって、こういうところが面白くて買う」っていうのは確かにあります。思い返したら、本当ストーリーがあるブランドには惹かれていますね。
ー今回出品されるマルジェラ以外でいうと、ストーンアイランドはまさにそういうブランドですよね。
ストーンアイランドは本当に型数が多すぎて、一言では言い表せないですが...素材から作っているというのがかなり強いですよね。今はハイブランドのような立ち位置ですが、本来スポーツブランドということもあり、昔の年代のものは本当に変わったアイテムが多いんです。あと、マルジェラよりは高すぎないので、とっつきやすいかなと思います。昔のマルジェラは狂気的な値段のものも多いので(笑)。
YouTubeではストーンアイランドの魅力を語る動画も多くアップされている。
ー今回の私物抽選販売ではストーンアイランドも複数出品されますが、その中でもなかむさんが特に思い入れのあるアイテムはありますか?
このPコートです。シンプルにかっこいいんですよ。着たときが本当にかっこよくて大好きで、さっき売るのをやめようかなって思ったほど..。

独自の素材開発と染色技術で知られるストーンアイランドが、ミリタリーの定番であるPコートを再解釈した一着。機能的なディテールと現代的なシルエットを融合させ、アーバンウェアとしてアップデートされた、ブランドの探究心を感じさせるアイテムだ。
ーストーンアイランドのPコートって珍しいですよね?
そうですね。これはストーンっぽくはないデザインが良いなって思います。アイテム自体は80年代〜90年代くらいのものですね。

ーサイズもちょっとゆとりがあって、今っぽく着られそうな感じがします。
Pコートは割とかちっとしたイメージが強いアイテムだから、最近はトレンドにも入りづらいじゃないですか。正直、僕もあまり着ないんですけど、これは唯一生地感とか含めてかっこいいなと思ってます。ライナーも付いていて、取り外しができるのも良いんですよね。「ちょっとモードっぽく着れるストーン」っていうのが個人的にすごく刺さりました。身幅にゆとりがあるので着やすくてめちゃくちゃ良いですよ。我ながらこれが5万はめちゃくちゃ安いと思います。
ーあと、今回の私物抽選販売のラインナップにはルメールもありますよね。このセレクトは少し意外でした。
ルメールのセットアップですね。ショールカラーのジャケットのセットアップで、かなりワイドなゆったりとしたデザイン。まあちょっと色が変わってるんですけど。グレーみたいな色味なんですけど、光に当たったら赤っぽく入るところもあって、生地が面白いです。

日常のためにデザインされた、機能的で洗練されたワードローブを提案するルメール。このセットアップは、柔らかなショールカラーとリラックスしたワイドシルエットが特徴。タイムレスでありながら現代的なムードを纏った、思慮深いデザインが光る一着だ。
ールメールは、マルジェラやストーンアイランドとはまた違った趣のブランドですが、なかむさんから見た魅力は何だと思いますか?
ルメールは「着やすいけど、デザインの奥にしっかりとしたこだわりを感じられる服が欲しい」という気分のときによく買っています。きれいなモードという感じなので、ファッションの入口としても最適だと思います。だけど、ファッション玄人も納得できるデザイン、生地というのが良いんですよね。あと、ずっと人気が衰えないのもすごいですよね。

今回の私物抽選販売では「ちょっと良いもの出すために頑張りました」
ーいろいろとお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。今回これらの大切な私物をスニダンで出品することになった理由を聞かせていただけますか?
今回ありがたいことに、スニダンさんの新しい企画の第一弾に選んでいただいたので、良いものを出さないとなって。それでちょっと奮発しちゃいました(笑)。

ーなかむさんの私物を購入した方へのメッセージはありますか?
特にないのが結論なんですけど...(笑)。まあ本当に欲しいものを買っていただけてると思うので、大事に着ていただきたいですね。
一点モノの愛用品を手に入れよう!なかむ私物抽選販売は7/14まで開催中

ファッションディレクター「なかむ」の私物が購入できる抽選キャンペーンが7月8日〜14日まで開催!現在「なかむ」のプロフィールページで20点以上の私物アイテムが公開されているので、気になるアイテムを見つけたら抽選に応募してみよう。また、今回の私物抽選販売のラインナップをなかむ本人が紹介しているYouTube動画もアップされているので、そちらも併せてチェックしてほしい。
なかむ私物抽選販売/アイテムラインナップ
なかむ私物抽選販売/キャンペーン詳細
抽選期間 | 2025年7月8日(火)〜14日(月)23:59 |
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当選発表日 | 2025年7月16日(水) |
当選者数 | 各アイテム1名様 |
参加条件 |
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注意事項 |
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