【ワンピースカードゲーム】ウタでシャンクスを手に入れて「海賊王」に!日本一の月うさぎさんに独自インタビューについて
2024年2月10日に開催された「ワンピースカードチャンピオンシップ2023 日本一決定戦」にて、スニダンのライター・月うさぎさんが優勝し、日本一に輝いた。
今回スニダンでは、3月に行われる世界大会(ワールドファイナル)への出場を控える月うさぎさんにインタビューを実施。日本一決定戦で印象に残った試合から、採用デッキの選択理由、また、これからワンピースカードをはじめる方へのアドバイスや世界大会への意気込みなどについて話を聞いた。
今回のインタビューを受けてくれた方

月うさぎさん
経歴:物心ついたころからカードゲームをはじめ、ポケカ、遊戯王、その他にも様々なカードゲームを20年以上遊んできた生粋のカードゲームプレイヤー。
Youtube Channel「ブルーオーシャン」や、noteでのデッキレシピ解説
、SNSで「詰めワンピ」の公開など情報発信などを積極的におこなっている。
X(旧Twitter):@MdaTaePraty
「優勝できる自信はなかった」日本一獲得の本音

via:ONE PIECEカードゲーム チャンピオンシップ2023 日本一決定戦 - YouTube
─月うさぎさん、この度は「ワンピースカードチャンピオンシップ2023 日本一決定戦」での優勝、本当におめでとうございます!手に汗握る試合の連続で、配信を見ていたこちら側も緊張してしまいました(笑)。
ありがとうございます!正直、1位になれる自信みたいなものは全くありませんでしたが(笑)。優勝できて嬉しいです。
─あっ、自信はなかったんですか。
「勝てないだろうな」と思っていたわけではなかったのですが「絶対に勝てるぞ」といった自信はありませんでしたね。「やれるだけのことはやったので、どこまで行けるか楽しみだ」くらいの気持ちで挑みました。
「1位をとるぞ」ではなく「やることはやった」の姿勢で臨んだ。
はい。最低でもワールドファイナルの権利は取りたいという意気込みはありましたが、そこから先の、1位になれるかどうかについては、やっぱり当日のツキとかもあるじゃないですか。なので「気負わずに行こう」という気持ちでいきました。次の世界大会も、「やれるだけのことはやったので、後はどこまで行けるか楽しみだ」と今は考えています。
カードゲーム歴20年以上の私がワンピースカードを始めた理由
─気負わずに挑んだ結果の取った日本一ということなんですね。そもそも、月うさぎさんはどうしてワンピースカードにハマったのですか?日本一までの軌跡をお聞きしたいです。
カードゲーム自体は、何か理由があったわけではなく、物心付いた時からやっていました。4歳頃から始めたので、歴としてはもう20年以上になります。ポケモンカードから始まり、小学生くらいからは遊戯王にハマりました。
─ワンピースカードはどういった経緯で始められたのでしょう?
実は、僕はワンピースカードゲームのメインデザイナーをやっている「しの」さんのファンで、その情報を見たのがきっかけです。元々ワンピースも好きだったんですが、それよりも「しの」さんが作ったゲームならきっと面白いと思ったのが、カードを始めた動機としては強くて。そこから、色々と研究して今に至るといった感じです。
日本一決定戦で、なぜ「緑ウタ」を選んだのか?

─次は、大会の裏話的なことについて聞かせてください。今大会は「緑ウタ」という、環境にも少ないデッキでの優勝で、驚いた方も多かったと思うんですよ。ズバリ、なぜ「緑ウタ」を選択したのですか?
大きな理由は、8キッドが上位デッキに刺さることです。「青黒サカズキ」に次いで環境に多い「黄カタクリ」や「緑黄ヤマト」、「黄エネル」をはじめとした黄色系デッキが8キッドを突破しにくく、その8キッドを上手く使えるデッキが「緑ウタ」でした。「青黒サカズキ」に対しては7ルフィを絡めた面展開の他に、「私は最強」を使った詰めが刺さりやすく、その辺を上手く使えるのも選定理由でしたね。
─なるほど。8キッドが刺さる環境だと既に分かっていた。
そうですね。今の環境的に、青黒サカズキがトップに君臨している以上、出した瞬間に強い効果を持っているキャラじゃないと処理されてしまうため、大型キャラを採用するデッキが減るという読みがありました。大型キャラを採用しているデッキが減ると、8カタクリなどの大型キャラを対策したカード、赤で言うと、円卓(ラウンドテーブル)などが減り、8キッドが処理されにくいので、「そこが刺さるんじゃないか?」と考えて持っていきましたね。

via:ONE PIECEカードゲーム チャンピオンシップ2023 日本一決定戦 - YouTube
─だとしても、環境に多い「緑黄ヤマト」などを選ぶケースが一般的だと思うのですが、月うさぎさん的には「緑ウタ」だったと。
8キッドを使うなら「緑黄ヤマト」の選択肢もあったのですが、8キッドを使った「緑黄ヤマト」は既に警戒されており、「青黒サカズキ」への勝率が奮わないことがわかっていたので見送りました。その点、「緑ウタ」は8キッド、9ゾロ、10ドフラと大型キャラの選択肢が3つあると思っていて、初見では相手に採用カードがバレにくいのも、選んだ理由になりますね。
─月うさぎさんの中ではしっかりと勝算があったのですね!ちなみに、「『緑ウタ』にする」と決めたのはいつ頃だったんですか?
「本当に確定だ!」となったのは1、2週間ぐらい前です。メモリアルコレクションのリストが出た直後から、「ダメだったら変えるけど、一旦ウタでやろうかな」って思って、結局他のデッキをがっつり練習するようなことはなく、最終的にずっとウタを使い続けました。
─やっぱり、サンジの存在って大きかったですか?
もうデカすぎます。あれがないと、やっぱり安定はしないですね。今までは《Film》の2,000カウンターが1種類4枚しかなかったので、リーダー効果をいくら回しても、2,000カウンターが手札に増えないっていう事があったんですが、《Film》の2,000カウンターが増えたことで、その問題が解決されてやりやすくなりました。世界大会は5弾環境なのでウタを握るかとなると、多分握らないです(笑)。
─配信卓の1回戦目でも出してましたよね。
あれは…事故ってたから、もう出さざるを得なかっただけです(笑)。

via:ONE PIECEカードゲーム チャンピオンシップ2023 日本一決定戦 - YouTube
─そうだったんですか(笑)。あの、先ほど「『青黒サカズキ』が環境トップとして君臨している」と仰っていましたよね。他のデッキ候補として、ご自身が使用する選択はなかったんですか?
それはなかったです。「青黒サカズキ」はゲームプランを自分で組み立てて、そこに相手を誘導するようなデッキだと思っていて、自分がどの対面に対してどういうゲームプランを取ると、勝率が高くなるってことを各対面ごとにきっちり把握していないと、120パーセント以上の出力を出せないって思ってるんですよ。
─なるほど。そのゲームプラン通りに行けないと、勝率が下がってしまうと。
はい。デッキパワーが高いので、研究してなくても他のデッキが出す100パーセントぐらいのことは正直できてしまうんですけど、他の人が「青黒サカズキ」を意識してくる中で、対策をきっちりと返していけるようなプレイングを身につけるためには、各対面に対しても、結構練習量が必要だと思っていて。「青黒サカズキ」が登場したときから使い、研究している人たちと比べると「青黒サカズキ」の練度という意味で、僕はかなりビハインドがあると思っていたので、「青黒サカズキ」は候補に入れなかったです。
最強デッキではない「緑ウタ」を使用するコツ
─今回、月うさぎさんが優勝したことで、「緑ウタ」が増えてくると思います。何か、使用時に気を付けることなどがあればぜひ教えてください。
ゲームプランを自分で選べるため、相手のデッキや自分の手札に合わせてプランを変えることですかね。「緑ウタ」は、『7ルフィなどで展開する』、『8キッドで制圧する』、『「私は最強」で詰める』といった3つのゲームプランを持っているデッキです。相手の動きに対してゲームプランを使い分けていく必要があるので、相手のデッキへの理解と、相手がどんなプレイをしてるかを考えて使わないと全力を発揮しづらいリーダーだと思います。ちなみに、注目を浴びて研究された現在では、青黒サカズキにも勝率が3割くらいで、最強デッキではないと思います。
─最強デッキではないと言いますが、ご自身でtier表を作るとしたら、緑ウタはTier何ぐらいに入ってくると思いますか?
Tier2ぐらいの強さはあると思います。人気かつファンの多いリーダーなんですが、「使いたいけどそんなに強いわけじゃないよね」みたいな風潮は、日本一決定戦前から感じていました。
─でも、スターター2箱とシングルカードを少し買えば良いので、価格も安く済んで組みやすいですよね。
本当にそれが大きくて、SNSなどでも、「最近始めたばっかだけど緑ウタ組むぞ!」みたいな投稿をよく見ます。100パーセント使いこなすのは、さっき言ったようにプランの変更とか、難しい要素もあるんですけど、入っているキャラが麦わらの一味だったり、映画で活躍したウタであったりとか、キャッチーな要素がたくさんあるので、そういう意味では始めやすいデッキだと思います。今回、 「緑ウタ」で結果を残せたことが、ワンピースカード業界全体に対しても良かったことなのではないかなという気持ちはあります。
原作ファン必見の「ウタ」で「シャンクス」を迎えに行く熱いドラマ
─今回の日本一決定戦で配信卓が3回あったと思いますが、配信卓以外でも良いので一番印象に残った試合を教えてください。
最も印象に残っているのは、準決勝でビー選手と当たった時の「青黒サカズキ」戦ですね。「青黒サカズキ」対面は、相手の練度が高いと先手はかなり不利だと思っていて、実際の手札は悪くなかったんですが、勝ち切るためには手札だけじゃなくて、相手の立ち回りとかにも左右されるので正直、先行を取った時はかなり不安でした。
─えっと、ウタ側が先攻だったってことですよね?
そうですね。お互いに後攻を取りたいマッチアップなので、先行で不安だったんです。でも、前日に思いつきで入れたミホークがものすごい活躍してくれました。

via:ONE PIECEカードゲーム チャンピオンシップ2023 日本一決定戦 - YouTube
─確かに!すごく展開していましたよね。
先行3ターン目でウソップ6,000、リーダー6,000からの、ミホーク効果で「ブルック」から「ナミ」まで決まりました。でも、実はギリギリまで「イゾウ」と「ミホーク」ですごく悩んでいたんです。
─イゾウというのは、2000カウンターのイゾウですか?
そうです。2枚の枠をどちらにするか迷っていたんですけど、正直合理的な判断基準ではなくて、「なんかこっちの方が良さそう」くらいの感覚で選んだ、ミホークがとても刺さりました。特に最後は、相手のリソースを削りに行くために、連続攻撃を仕掛けたらそのまま通って勝てました。
─中継を見ている時に、解説の方が「青黒サカズキは意外とカウンター値が低い。」と言ってるのをよく覚えています。
相手がカウンターレスを手札に貯めていたところに、ミホークからの展開で7,000での連続攻撃から8,000での連続攻撃みたいな、「緑ウタ」のプレイングが浸透してないからこそプレイングを誤認させることができました。そういうところまで含めて、やりたいことが全部できた試合だったので記憶に残っています。
─それは印象に残りますね。ちなみに、日本一決定戦の環境でウタ以外の注目デッキなどはありましたか?
こちらもメモリアルコレクションで強化を受けて話題になった、「赤紫ロー」が気になりました。
─ボン・クレーとかの登場でってことですかね?
そうですそうです!あと「キッド&キラー」がやばいです。日本一決定戦の1週間ぐらい前に、「赤紫ロー」を結構前から使っていて、かなり上手い方と対戦させていただく機会があったんですけど、勝てないくらい強くて「乗り換えようかな?」っていう気持ちも湧いたくらいです。ただ、パワーダウン系のカードと除去カード、展開して強い4コストキャラみたいな試合に勝つために必要なものが結構多いんですね。なのにサーチカードがほぼ入っておらず、全てをデッキの上から引かなければいけないため、安定感が心配で、引きの悪さを自分でカバーできない点が嫌でやめました。負けるなら相手のうまさに負けた方が納得ができますし、平均勝率の面で考えても「やっぱりウタかな」という気持ちで、結局は乗り換えませんでした。
─「乗り換えようかな?」との気持ちから、最終的には「やっぱりウタ」と決断して日本一に輝いたのは、話を聞いていてもドラマ性があるように感じました。
そういえば、後から言われて気づいたのですが、 優勝記念品の「シャンクス」を「ウタ」で取ったのは熱いってみんなに言われました。僕もワンピース好きですが、カードゲーマー思考に寄ってデッキ選択をしたので。たまたまなんですけど、話題性的な意味では良かったなと思いましたね。
まずは“楽しむこと”、次に“研究”
─大会の裏話など、たくさんお話いただきありがとうございます!読者の中には、ワンピースカードをこれから始められる方も多いと思います。日本一の月うさぎさんから何かアドバイスがあればお願いします!
これから始める方でしたら、1番大事なのは楽しむことだと思います。結局、楽しくやらずに強くなるのはなかなか難しいですし、多分続けられないので。「これから強くなっていくぞ」と思っている方はnoteやyoutubeなどの情報を見て自分なりの考えを、「この人はこう言ってるけど、こうなんじゃないのか」みたいなことを考えて実戦で試してみる、自分で研究していくことが大切だと思います。
─最後に、世界大会の意気込みを聞かせて下さい!
自信があるかと言われれば…今のところ、裏付けのある自信はないんですが、日本一っていう大きすぎる看板をいただいたので、それに恥じない プレイはしたいなというのと、自信はないけれどもやれるだけのことをやって、他の日本プレイヤーの見本じゃないですけど、他の日本プレイヤーが見て、こうなりたいなって思われるように、恥じない戦いをしたいです。
─月うさぎさん、ありがとうございました!改めて優勝おめでとうございます!!
権利表記
©尾田栄一郎/集英社 ©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション