コインランドリーで撥水効果が復活? 都内初の”モンベル撥水コース”の効果を検証!|コラム

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コインランドリーで撥水効果が復活? 都内初の”モンベル撥水コース”の効果を検証!|コラムについて

ここ数年、ぐっと人気が高まってきたシェル系のジャケットやダウン。実はそれらのアウター類に施された撥水加工の効果は"着用するうちに失われていく"という事実をご存知だろうか。そんな効果を回復させるために発表されたのが「Baluko Laundry Place(バルコ ランドリープレイス)」と国内アウトドアブランドの「mont-bell(モンベル)」が共同開発した"モンベル撥水コース"だ。

今回、都内初の導入だというコインランドリー「バルコ ランドリープレイス 代々木上原」を訪れてそのサービスを実際に体験してきた。撥水効果が落ちたアウトドア用品を簡単にメンテナンスできる"モンベル撥水コース"とは? 手持ちの冬アウターの手入れを怠っているという方はぜひチェックしてほしい。

目次


撥水機能が低下する原因は?天敵は"摩耗"と"汚れ"

そもそもナイロンやポリエステルといった化学繊維の生地を使用したアウターのメンテナンスは難しいというイメージを抱いている方は多いはずだ。水に弱いイメージがあるダウンジャケットはなおさらだろう。

しかし今回の"モンベル撥水コース"の対象となるのは水洗いおよび乾燥機の使用が可能な衣類と寝袋全般。ウインドブレーカーやレインウェアはもちろん、冬場には必須のダウンジャケットも対象としているのが特徴だ。環境に配慮したメンテナンスを施すことで、日常的に着用しているアウトドア系のアウターを長く使ってもらうことを目指しているという。

「アウトドアブランドがリリースするようなアウター類は埃や雨風を防ぐために着るものなので、どうしても着用するうちに摩耗したり、汚れが溜まることによって撥水加工が落ちてしまうんです」

そう話すのは「バルコ ランドリープレイス 代々木上原」の店長を務める岡田さん。まずはアウトドア系アウターの撥水効果が落ちてしまう理由を解説していただいた。

お話を伺った人

岡田優梨亜さん

株式会社OKULABが運営する「バルコ ランドリープレイス 代々木上原」の店長。クリーニング師やジーンズソムリエの資格を活かし、幅広い衣類のケア方法を日々発信している

「摩擦の一例としてリュックをよく背負う方であれば、荷重がかかるストラップ部分などは特に生地が摩耗しやすかったりします。また汚れが付着した場合、撥水加工の上に汚れが載ることになり生地本来の撥水機能は発揮されなくなります。専門的な用語としては"撥水基"と呼ばれる分子レベルの突起が『立っている状態』が理想的なのですが、摩擦によって生地の撥水基が倒れたり、汚れが撥水基を塞いでしまうと本来の撥水機能は弱まってしまうんです」

「その撥水基は熱を加えることで再び立たせることができるんです」と話す岡田さん

自宅で洗濯して汚れを取り除いた後、コインランドリーの乾燥機を利用して乾かすだけでも一定の撥水機能の回復は見込める。ただ"モンベル撥水コース"は汚れだけでなく、摩耗によって失った撥水機能も回復できるのがポイントだ。

「"モンベル撥水コース"の目的は、日々の使用で溜まった汚れをしっかり落とし、生地本来の機能を復活させること。さらにそこに新たな撥水剤を使用し、熱を加えて定着させて撥水性を付与するという2つの目的があります。摩耗が進んだ生地は元々の撥水加工そのものが取れてしまっているので、そういうアイテムには"モンベル撥水コース"は特に効果的です」

洗濯した後、モンベルの撥水剤に浸け置いて乾燥させる"モンベル撥水コース"(1700円/税込み)。一度にできるのは薄手のダウンであれば3着ほど。計65分に設定されている

"モンベル撥水コース"に適したアイテムとは?

そんな"モンベル撥水コース"が効果を発揮するのは、あくまでも定期的に使用しており撥水効果が薄れてしまったアイテムに限られるという。つまり「新しく購入したアウターの撥水性をさらに強めたい」といった意図での利用はコースのコンセプトに合致しないそうだ。

「汚れたり、撥水機能が落ちてしまったアウターなどのメンテナンスを目的としたコースです。まだ撥水加工が落ちていない新品のアウターの撥水機能をさらに強固にしたいから利用するというのはおすすめしません。やはりその生地に最初から付いている撥水加工が一番合っているからです。撥水加工が摩擦や汚れによって取れかけてきたなという時に利用していただければと思います」

編集部がサンプルとして持参した3着。今年購入してまだほぼ着ていないストーンアイランドのライトウェイトフードダウン(左)、数年前に古着で購入した90sのザ ノース フェイスのヌプシジャケット(中)、去年に購入してから高い頻度で着ていたが特にメンテナンスをしていないECWCSのGEN1型パーカー(右)まで、各々の状態はさまざまだ

今回の場合、新品で購入してから数回ほどしか着用していないストーンアイランドの一着は「わざわざコースを利用する必要性はあまり高くない」と岡田さんはアドバイスしてくれた。

「お持ちいただいたストーンアイランドのダウンには洗濯機で洗える旨の表示があるので、コースの利用自体は問題ありません。ただ、さきほどお話ししたように元々の撥水加工がまだしっかり効いていますし、数回着た程度なら汚れも溜まっていないはずです。今回のコースを利用する意味は正直あまりないのかなと。一方でノースフェイスのダウンは全体的にくたびれた感じがありますし、撥水加工も弱まっているので頃合いだと思います。ECWCSのシェルはある程度の撥水機能は維持されているようですが、結構な頻度で着用したということであれば一度洗ってもいいかもしれません」

ストーンアイランドのダウンは水を玉状にコロンと弾く感じだった。現状の撥水具合は問題なし
生地の上で水滴がべたっと拡がる感じがあったのはノースのヌプシ。撥水効果が弱まっているようだ
玉状に弾いている箇所もあるが、水滴が拡がっている箇所もあったECWCSのシェルJKT

撥水剤の定着温度と生地のダメージは比例。60℃の低温乾燥で両立

今回はザ ノース フェイスのヌプシジャケットとECWCSのシェルジャケットの2着で効果を試していく。機器に投入する前に注意したほうがいい点はあるのだろうか。

「まずフロントのジップはすべて閉めて、それ以外の付属ポケットはすべて開けておいてください。ポケットを閉めてしまうと、水が溜まって脱水が不十分になる可能性があります。裏返すかどうかは『裏面と表面のどちらがより汚れているか?』を判断して決めてください。裏地に汗などの汚れが付いているのが気になる場合は裏返す、表地が汚れている場合はそのまま洗濯していただければと思います。また、付属品がついている場合は洗濯中に擦れて他の衣類や生地を痛めてしまう可能性がありますので、裏返してください。外側の面の方が撥水効果は高くなりますので、撥水効果を重視したい場合は裏返さないようにするのがおすすめです」

ポケットのジップは開けておく。ヌプシジャケットは表地の襟元や袖口の汚れが気になったので裏返さずに洗うことにした
マジックテープがある部分は留めておくのもポイント。マジックテープの硬い面が露出していると洗濯槽内で他の生地を痛めてしまう可能性があるからだそう。なおECWCSも裏返さず表面のままにした
機器に投入してコース開始。ヌプシジャケットは裾のドローコードの突起部分が洗濯機の排水孔にはまってしまう可能性があるので、念のため洗濯ネットに入れた

ここで"モンベル撥水コース"の詳しい工程をチェックしておこう。洗い・すすぎ・脱水までの工程は普通の洗濯と同じだが、その後に撥水剤の定着はどのように行われるのだろうか。

「脱水が終わったら、モンベルの撥水剤が機器内に注入されます。普通のすすぎとはまた少し違う回転で機器をゆっくりと6分間動かしながら、撥水剤と水を混ぜた水溶液がアウター全体に浸透するように回していきます。その後は60℃ほどの低温乾燥で35分間乾燥します。熱をかけて乾燥することで撥水剤がしっかり衣服に定着しますし、先ほどお話しした撥水基を起こす効果も生まれます」

"モンベル撥水コース"で使用されているのは市販もされている「モンベル撥水剤(O.D.メンテナンスはっ水剤)」。スプレータイプよりもムラなく全体に加工しやすい浸け置き専用の撥水剤。フッ素不使用のため、環境負荷が少ないという

一般的にコインランドリーの乾燥温度は70℃ほどが標準とされるが、なぜ“モンベル撥水コース”は60℃の低温乾燥に設定されているのだろうか。

「65℃や70℃など私たちもいろいろな温度を試しました。単純に温度が高いほうが撥水剤は定着しやすいです。ただ、同時に生地へのダメージも考慮する必要があると。きちんと撥水剤を定着させつつ、生地への負担も抑えたベストなバランスとしてバルコでは機器からの排気温度が60℃以下に収まる温度に設定しています」

「またシェルとダウン両方に対応したコースなのですが、シェルは本当にすぐ乾くのに比べて厚みのあるダウンは乾きにくい。ダウン基準で設計してしまうとシェルへのダメージがとても大きくなってしまうので、悪影響が出ない乾燥温度と時間に設定しているという理由もありますね」

そのため、分厚いダウンを乾燥させたい際はコース終了後に一度確認して、再度追加で乾燥するほうがいい場合もあるそうだ

撥水性だけでなく、ダウンのロフト感も回復。手持ちのアウターを長く着るために

手軽なスプレータイプや浸け置きタイプなど撥水剤自体はいろいろ市販されているが、アウトドアブランドとコインランドリーが手を組んで最適化されたコースを用意してくれるのは心強い。2023年の9月に導入したという「バルコ ランドリープレイス 代々木上原」での反応はどうなのだろうか。

「ありがたいことに話題にしていただいているので、モンベル撥水コースを目指して来店される方は多いですね。『今着ているアウターをこの場で撥水加工して着て帰りたい』と言って試された方もいらっしゃいました(笑)。コースを体験されたお客様の中には洗う前より色が鮮やかになったという声もいただきます。また、ダウンであればダウンパック内の湿気が飛ぶ効果もあるので、着用感が軽くなったとおっしゃる方もいらっしゃいます」

コース終了後のECWCSのシェルJKT。利用前はところどころ水滴が拡がる箇所もあったが、全面が玉状に水を弾くようになった
ノースのヌプシジャケットもこのとおり。多めの水を垂らした際も染み込む気配がなくなった
同じカットでビフォーを撮り忘れたので分かりづらいかもしれないが、ダウンのボリューム感も見違えるほどアップ。色味もワントーン明るくなった

特に私物のザ ノース フェイスのヌプシジャケットに関しては、コース利用前はやせた感じが気になり着用する機会が減っていた一着だったが、この仕上がりならまた気持ちよく袖を通せそうだ。バルコ ランドリープレイスとモンベルの二社が"モンベル撥水コース"に込めた意図を身をもって体感できる機会となった。

「お客様にも『ちょっと汚れてきたし雨も染み込みやすくなったからもう着れないと思っていたけど、またこの一着を着て出かけられる!』と喜んでいただいています。ひとつのアウターをより長く着ていただくことを目指して始めたサービスなので、そういう感想をいただけると取り組んだ意義があったなと思いますね。今後は大阪エリアでも展開できるように準備を進めているところなので、関西圏の方はもう少しお待ちいただければと思います」

まとめ

新しいアウターを手に入れる楽しさはいろんなショップで味わえるが、手持ちのアウターが蘇る体験をさせてくれるスポットはまだまだ多くない。気になる方はぜひ「バルコ ランドリープレイス 代々木上原」を訪れてみてほしい。

Baluko Laundry Place 代々木上原
住所:東京都渋谷区上原3-29-2
TEL:03-6407-8415
営業時間:24時間(セルフランドリー)、9:00-20:00(クリーニング・洗濯代行・カフェ)
定休日:なし(年末年始・夏季休業あり)
Balukoについてもっと知りたい方は『今日もバルコで』も要チェック

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