カスタムフィギュア作家・SIVELIA氏を支えるサンプリングのカルチャー 裏原ブームを通った者だけが持つ「分かり合える"なにか"」 について
2023年9月2日のグランドオープンに向け、さまざまなブランドやアーティストとのイベントを開催してきた「HYPE DROP」(新宿・歌舞伎町)。今回は「HYPE DROP -THE BOX-」の第一弾アーティストとなるカスタムフィギュア作家・SIVELIAさんと、HYPE DROPのクリエイティブディレクター/ヘッドバイヤーNEOとの対談の模様をお届けする。
NEO 単独インタビュー記事はこちら今回インタビューした人
カスタムフィギュアアーティスト
新潟県出身。現在、東京を中心に作品を発表。デザインは全て独学。ファッションのグラフィックデザインを主として活動する傍ら、古いオモチャやジャンクパーツ等の不要になった素体を加工し組み合わせた立体コラージュとしてフィギュアを製作。90年代後半からの裏原宿カルチャー全盛の東京で自身が体験してきたストリートアート、カルチャー、ファッションに色濃く影響を受けている。アートフィギュア作家として正式に活動を始めたのは2020年後半からではあるが、現在は国内人気はもとより海外のアートフィギュアコレクターからも支持されている。
HYPE DROPクリエイティブディレクター/ヘッドバイヤー
東京生まれ。学生時代にモデルとして活動を行い、卒業後に渡英。帰国後は役者などさまざまな道を模索するも再びファッションの世界へ。ヨーロッパを中心に活動し、パリのランウェイや展示会でバイイングなどを学ぶ。帰国後はブランド海外営業や、フリーランスのディストリビューターやコンサルタントを経て、都内セレクトショップにてバイイングやマネージメント業務に従事。2023年、HYPE DROPのクリエイティブディレクター/ヘッドバイヤーに就任する。
プロスキーヤーを目指して上京するも、怪我で引退して裏原宿のショップスタッフへ

ーまず、お二人の自己紹介をお願いします。
SIVELIA:カスタムフィギュアアーティストのSIVELIA(シベリア)と申します。フィギュアをイチから作るワケではなく、元ある素体から「どうカスタムするか?」というのが作風です。
NEO:HYPE DROPのクリエイティブディレクターとヘッドバイヤーを務めている、NEOです。
ーありがとうございます。いま少し伺いましたが、SIVELIAさんの活動について詳しく教えていただけますか?
SIVELIA:現在は…といっても、正式にアート作家としてデビューしてから丸2年くらいなんですけど。いまは必死になって知名度というか、人に見てもらう活動をメインにしています。
NEO:カスタムフィギュアの活動はまだ2年なんですね。
SIVELIA:そうです。でも作り始めたのは10年以上前で。例えばアパレルの展示会とかでレジの隣にある「OPEN・CLOSE」を示すフィギュアとか、あぁいうのを身内で作ってたんです。いま45才なんですけど、やっぱりガンプラとミニ四駆の世代で(笑)。基本的に、自分のスキルはそこら辺から鍛えられたんじゃないかなって思ってます。
ーなるほど。
SIVELIA:美大を出てるワケでもないし、服飾系専門学校に通ってたワケでもない。粘土をこねて何か作れもしない。本当に"我流"というか、他ができないままでカスタムが上手くなっちゃった。その結果、これ(カスタムフィギュア)が作風になっちゃった。それ以外、何もできないんです。
ーあるインタビューで「小・中学校の美術の成績が良いだけの人間だった」というお話をされていましたね。
SIVELIA:小学校低学年からコンテストに作品を出してたんですけど、中学3年生までずっと"金賞"とか"銀賞"でした。でも、実家は新潟の米農家で「それじゃ食っていけない」ってなったときに、自分はスキーができたのでプロのスキーヤーとして東京に来ちゃったんです。
NEO:それって、おいくつの頃ですか?
SIVELIA:15才です。でもプロのスキーヤーになる予定で来たんですけど、19才くらいで怪我して辞めちゃって。

ーその後、どんなお仕事をされていたんですか?
SIVELIA:ちょうどそのくらいの頃に「裏原ブーム」がきて、アパレルのショップがポツポツとでき始めてたんですよね。それで夜はバーテン、昼はショップスタッフみたいな。だからアパレルやデザインに関わり始めたのは、そこからですね。
ー最初はショップスタッフさんとして、店頭に立たれてたんですね。
SIVELIA:そうです。でも当時の裏原ブームの頃って「ショップスタッフがデザインもやる」みたいなのが、けっこうあったんですよね。そんな感じで自分もグラフィック教えてもらったり、店頭で販売したりしてました。あとは絵が描けたんで、そのTシャツを作って売ったりさせてもらってましたね。
NEO:なるほど。
SIVELIA:その後にキャラクターライセンスの会社に入って、スケーターのMark Gonzales(マーク・ゴンザレス)さんのお店のグラフィックを担当させてもらったくらいから、裏原系の人たちと仲良くなって。だから、あのブームで裏原宿をかけずり回ってた"成れの果て"が自分です(笑)。
作品作りの背景にある、裏原宿のサンプリングカルチャー

ーNEOさんも、以前のインタビューで「そのくらいの時期にファッションに目覚めた」ってお話されてましたよね?
NEO:そうですね。年代が近いので、自分も裏原宿ブームには乗ってました。だからSIVELIAさんとは、どこかですれ違ってたかもしれません(笑)。
SIVELIA:それこそ、いま自分のファンの方とお話すると「絶対、同じ日に同じ店に並んでただろうな」とか。「A BATHING APE(ア ベイシングエイプ)になかったらBOUNTY HUNTER(バウンティハンター)までダッシュしてた」とか、そういう時代なんで(笑)。
NEO:正に私も朝早くから近場で待機して、OPENと同時に走ったりしてました(笑)。本当に懐かしいですね。
SIVELIA:自分は「UNDERCOVER(アンダーカバー)」が好きで、いまだにこういう格好をしてるんですけど。だからパンクロックとか、鋲ジャンとかパドロック(南京錠)とか、そういうカルチャーが好きだっていうのがカスタムにも表れてます。
ーNEOさんもパンク好きだとおっしゃってましたね。
NEO:そうです、好きですね。
SIVELIA:昔の原宿って夏でも鋲ジャンの人とか、モヒカンの人とかいっぱい居ましたよね。
NEO:確かに。でもいまは本当に居なくなりましたね。
SIVELIA:まだ「Worlds End(ワールズエンド)や「SEDITIONARIES(セディショナリーズ)」が今よりも買いやすかった頃です。下手したら30年くらい前ですかね。そういうカルチャーにガッツリとハマっちゃってたタイプです。
NEO:自分と世代も近いんで、その雰囲気って分かるんですよね(笑)。
SIVELIA:だから自分の作風って「おしゃれ」というより「ちょっとイカつく武装させる」っていう感じなんです(笑)。「(フィギュアを)自分が家に飾るなら?」っていうのが作品作りの基本で。「誰かのために」っていうより、ただ単に「自分が飾りたい」。
NEO:うーん、なるほど。
SIVELIA:でも2年くらいエキシビジョンとかやらせてもらったら、ちょっと欲が出てきて。「いろんなところでやらせてもらいたいな」って、やっと思えるようになってきました。最初は本当に必死だったんです。アート業界って"ブラックボックス"過ぎて、分からないじゃないですか。いまだに分からないこともあるから、試行錯誤中ですね。
ーここ2年で「カスタムフィギュアを押し出していこう!」と思われたきっかけって、あったんですか?
SIVELIA:それは単純にコロナの影響で。自分はフリーのグラフィックデザイナーだったんで、仕事がなくなっちゃったんです。それで「自滅する前に田舎に帰ろうかな」って思ってた時に、たまたま応募したコンテストで合格しちゃって。それがきっかけですね。

ーちなみに活動のコンセプトは、先ほどお話にあった「自分が飾りたいモノ」?
SIVELIA:活動というか、作るモノはそうですね。だから、ただ単純に自分の好きなモノを寄せ集めて、立体コラージュにしてる。シンプルにそれだけです。だから特撮怪獣のソフビとかも、好きだけど家には飾りにくい。でもデザインは好きだから、本当は飾りたい。その結果として「飾れるようなモノを自分で作ったら、こうなった」という。
ーなるほどですね。
SIVELIA:だから自分が昔から好きなモノとか、青春時代を過ごした昭和っぽいモノとか。
NEO:当時の裏原宿のカルチャーが、いまのSIVELIAさんを作り上げてるという感じもありますよね。
SIVELIA:そうですね。先輩方…特に裏原宿のカルチャーって「サンプリング」だったじゃないですか。元あるモノをカスタムして、自分のブランドで販売する。そういうことに抵抗感がないんですよね。だから重要なのは「イチから作ってる」ワケじゃなくて「素体を買って、それをカスタムして作ってる」ってことです。その辺りは裏原宿カルチャーの影響をそのまんま受けてますね。
ー作品の元となるフィギュアはどこで購入されるんですか?
SIVELIA:壊れたフィギュアとかジャンク品とかを秋葉原のおもちゃ屋で買ってきたりしてます。あとは不用品を売るサイトを使ったりとか。だから基本的に、誰かが不必要になって売ったモノとか、捨てられたモノとか。
ーそうなんですね。
SIVELIA:だからこれとかも、元は床の間に飾られるような「花台」で。壊れてたのを修理して、マットブラックに塗装しただけなんです。でも意外にカッコいいんですよね。
ーじゃあ、発想としては「古着のリメイク」みたいな?
SIVELIA:ほぼそれです。だから逆を言うと、カスタム元となるソフビとかフィギュアがないと何もできない、なさけない作家なんですよ(笑)。
NEO:大元となる「何か」があってこその作風ですね。
SIVELIA:そうですね。だから「イチから新しいカタチを作って、誰かを驚かせよう」とか「『これって見たことないね!』って言われたい」みたいなのには、あまり興味がないんです。そういうのより「ミロのヴィーナスがイカつくなってるね!」とか、そういうのがいい。
NEO:なるほど。
SIVELIA:「ありそうでなかったモノを作ってるよね」ってよく言われるので、その「ありそうでないモノ」は意識してますね。あとは自分のシグネイチャーカラーがマットブラックなので、このカラーリングにしてカッコいいモノを選ぶようにはしてますけど、基本的には「自分が好きなモノ」です。
好きなのは、武装したモノやカルチャーに寄ったモノ

ーインスピレーションの源泉ってどこにありますか?
SIVELIA:実際に作品に反映されてるかは別ですが、結局、一番好きだったのは「セディショナリーズ」とか。あとは「BLANKEY JET CITY(ブランキージェットシティ)」のファンだったんで、あぁいうカルチャー。それ以外では基本的にオタクだったので、押井守とかはコンプリートしてますし。だから、まだアウトプットできてないのはいろいろあるんですよね、やっと2年経ったくらいなので。これから少し、そういう方向でアウトプットしていきたいですね…怒られなければ(笑)。
ー(笑)。
SIVELIA:自分はちょっと変なモノが好きなんですよね。例えばガンダムに出てくる「バウンド・ドック」とか「キュベレイ」とか。(主人公機の)「Zガンダム」よりも、そっちの方が好き。あとは永野護って人の『ファイブスター物語(F.S.S.)』が好きで。本棚にはパンクロックカルチャーの関連本以外に、ズラッとオタクっぽいのが並んでます。田島昭宇と永野護と押井守。
ーそうなんですね!
SIVELIA:だからガンダムもファイブスターもそうなんですけど、たぶんロボットが好きなんですよね。
ーちょっと変わったロボットというと…例えば「∀(ターンエー)ガンダム」とか?
SIVELIA:いや、(∀ガンダムをデザインした)シド・ミード方面じゃなくて。『ガンダムセンチネル』に出てきた「Sガンダム」とかが好きです。ちょっとマニアックなんですけど(笑)。
ーじゃあ「武装が多めな感じ」がお好きなんですかね?(笑)
SIVELIA:そうです!だから自分の作品も「(スタッズやパドロックをまとった)武装多め」が好きで。本当は(『機動戦士ガンダム0083』に登場する機体)「デンドロビウム」のカスタムもしたかったんですけど、まだできてないんですよ。真ん中(ガンダムが収まる部分)をミロのヴィーナスにして、周りを武装コンテナで囲むとかね(笑)。
NEO:さっき特撮怪獣のお話も出てきましたが、その辺りの作品もガッツリご自身の世代だからお好きなんですね。
SIVELIA:世代ではあるんですけど「作品自体が好きか?」と言われたら、たぶん違っていて。純粋にそこに出てくる怪獣のデザインがピンポイントで好きなんですよね。だからミニ四駆も「アバンテJr.」が一番好きだし、ファイブスターだと「バッシュ・ザ・ブラックナイト」と「ヤクトミラージュ」だけが好きだしで、なんか凝り固まってる。それ以外、あんまり興味ないんです。
ーうーん、なるほど。
SIVELIA:武装したモノとか、カルチャーに寄ったモノがたぶん好きなんです。だから「デザインから見てる」って感じなのかな。子どもの頃はそう思ってなかったけど、無意識にそういうモノをピックしてた。そして、それがいまの作風に表れてる気がします。
NEO:作風に影響を与えてるんですね。
SIVELIA:昔から、好きなモノが変わらなさ過ぎて。だから「お風呂アヒル」も、いろいろある中でこの形が一番好きだから買い漁って色塗ってます。
信用してるのは、自分の中での「なんか違うな」って感覚

NEO:作品を初めて拝見したとき、あまりに塗装のクオリティが高過ぎて「イチから作ったのかな?」って思ったんです。
SIVELIA:コラージュって"ツギハギ"だから、本来なら違和感あるじゃないですか。でも自分は極力、違和感のないコラージュを心がけてます。だからけっこう細かい部分まで見て、違和感のあるものはやらない。
ーなるほど。
SIVELIA:例えばこれも、本来ならネックレスのチェーンってもっと細いし、パドロックももっと小さいはずなんですよ、仮にこれが実物大だとしたら。でもこのくらいの方が、バランスがよく見えるんです。だから「コラージュだけど違和感がないように」っていう、変なやり方。もっとツギハギがあってもいいんでしょうけど、でも「元々あったかのようなコラージュをする」っていうのが、裏テーマとしてあったりします。
NEO:そうなんですね。
SIVELIA:「これって型(かた)から作ってるんですか?」ってよく聞かれます。でも塗装を削ったら、本物のスタッズとか出てきますから。だから同じデザインでも不揃いってあるんですよね。その時に手に入ったパーツで作るので。
ーじゃあ完全な「一点モノ」ですよね?
SIVELIA:同じデザインを複数体作るんですけど、基本的にはそうですね。でも型からやったほうが早いです。ソフビとかって一体ごとに違うんで。たぶん、一番めんどくさいことやってます(笑)。
ー過去のインタビューで「10体作って、世に出せるのは数体」みたいなお話もされてましたよね。
SIVELIA:そうですね、サンプルはめちゃくちゃ作ります。ただ、世に出す時の注意点としては「(配送時の)強度の問題」があるから、10体サンプル作って3〜4体でしょうね。あとは「なんか頭のサイズが変だな」とか、違和感が出ちゃったりするんですよね。だからこれもミロのヴィーナスのボディに対して頭が小さいから、中にプラ板を挟んだりして細かく調整してるんです。でも、細か過ぎて伝わらない(笑)。

NEO:それが伝わらないのって、完成度がめちゃくちゃ高いからですよね(笑)。
SIVELIA:いや、でもまだ"素人工程"だと自分では思ってるんで、もうちょっと上手くなりたいですね。たぶん、終わりはないんでしょうけど。
NEO:そこに満足しちゃったらダメですもんね。
SIVELIA:かといって「真剣にやってるか?」と聞かれれば、本当に遊びみたいな感じなんです。だから「仕事か?」というと仕事のつもりはないんだけど…でも遊びは遊びでも「辛い遊び」ですよね(笑)。
ー大きさによってもバラバラだとは思うんですけど、1体完成するまでにどのくらいの時間がかかるものなんですか?
SIVELIA:ファーストモデルを作るのには、すごく時間がかかります。でも「だいたいこういうデザインにすればいいいな」っていうのが見えてくれば、だいたい1体につき3日くらいですね。
ーなるほど。
SIVELIA:ただ、塗装に時間がかかるんです。自分の作品はマットなブラックが人気なんですけど、この感じになるまでが大変。マット塗装って絶対にムラになるんで、難しいんです。自分、エアブラシとか使わずにハンドスプレーでやってるんです。本当はエアブラシの方がいいんでしょうけど、ずっとプラモの要領で「ハンドスプレーで均一に塗る」って技を身につけて、それでやってきちゃったんで(笑)。
NEO:カスタムの組み合わせは頭の中でイメージされるんですか?それとも実際に組み合わせてみる感じなんですか?
SIVELIA:どっちもやりますね。でも一日それをやって、なんにもならない日もあります。思った通りにいかなかったとか、作ってエキシビジョンに出したものの「やっぱり下げよう」とか。
ーそれはお客さんや周りのアーティストさんの反応を見て?
SIVELIA:いや、自分ですね。それを言葉にできないんですけど「なんか違う」っていう感覚。違うことへの"ザワザワ感"があるってことは、たぶんダメなんだろうなって。だから自分の中での「なんか違うなって感覚」は、信用してるんです。
ー仮にお客さんが「これ、めっちゃいいじゃないですか!」とおっしゃったとしても?
SIVELIA:うーん…ノらないんですよね、作るのが。これが「仕事」じゃなく「遊び」と感じてる部分で。「商業的な方面に行くのか、芸術的な方面に行くのか?」が割り切れてないのかもしれないですね。
裏原宿ブームを通った者だけが持つ「ともに分かり合える"なにか"」

ーではここからはNEOさんに。HYPE DROPグランドオープンのPOP UPアーティストとして、SIVELIAさんにお声がけされた理由を伺いたいです。
NEO:HYPE DROP では「-THE BOX-」といって、毎回異なるアーティストとのコラボレーションアイテムのリリースを通じて「HYPE DROPが持つ、ファッションの世界観とアートの融合を体現する」というプロジェクトがあるんですね。なので常にアンテナを張って新進気鋭のアーティストの方を探していたり、世界的に知られるアーティストの方々とのコラボレーションができないか?といったことを考えたりしてるんです。それであるタイミングでSIVELIAさんのことを知り、実際に作品を拝見してお話させていただきまして。自分と近い年代で共通点もあり、改めて作品を見た時に「確かに」っていう"なにか"を感じたんですよね。「分かり合える」っていうか(笑)。
"I Get Hype!"をキーワードに毎回異なるアーティストと共にコラボレーションアイテムを発信し、HYPE DROPが持つファッションの世界観とアートの融合を体現するプロジェクト。SIVELIA氏のアイテムリリースを皮切りに、アーティストとのコラボレーションを通して、HYPEでExclusiveなアイテムをDROPする予定となっている。
SIVELIA:それがなにか?っていうと分かんないんですけどね(笑)。でもあるんですよね、この世代のなにかが!オジサンくさいかもしれないけど、今とは明らかに世界が・時代が違ってた。だから、あそこを通った人たちには"なにか"があるんです(笑)。
NEO:そうですね(笑)。それで、当時の裏原宿ブームの良さが作品から垣間見えたりする。でも古臭くないし、逆に新しい。25年くらい前のカルチャーを持ちつつも、現代アートとして成立している。そこに魅力を感じて「ぜひお願いします!」とお声がけさせていただきました。
ーそんなHYPE DROP側からのお声がけでしたが、率直にどう思われましたか?
SIVELIA:「スニーカー屋じゃないんだ」って驚きがありましたね。でも「BILLIONAIRE BOYS CLUB(ビリオネア・ボーイズ・クラブ)」や「FACETASM(ファセッタズム)」「F-LAGSTUF-F(フラグスタフ)」とかのカルチャー色が強いブランドを扱うショップだったので、ありがたいなと思いました。
ーなるほど。
SIVELIA:偉そうに聞こえちゃうかもしれないけど、ノンカルチャーのところではやりたくないというか。そういう"分かってる人"が居るところの方がうれしい。
NEO:(SIVELIA氏の作品とショップに)親和性がありますよね。見にくるお客さんも"分かってる人"だと思うので
ー9/2にグランドオープンする、こちらの新宿店ですが。お店自体の感想も伺えますか?
SIVELIA:すごく好きな内装です。基本的に「コンクリ打ちっぱなし」が大好物なので。あと、天井の"剥き出し感"もね(笑)。やっぱりスケルトンの内装っていいなて思うんですけど、それってたぶん「COMME des GARÇONS(コム・デ・ギャルソン)」の影響なのかなって。そういうところも、若い頃に通ってきたものに影響されてる。

NEO:うーん、確かに。
ーではそんなHYPE DROPにご自身の作品が並ぶことについては?
SIVELIA:うれしいのはもちろんです。ただ「大丈夫かな?」って気持ちも、正直あります。自分が(アーティストとして)10年目とかなら自信はありますけど、まだ2年目なんで。去年とか、がむしゃらにやって10kg痩せましたし。
ーえぇ!
SIVELIA:がむしゃらにやりましたけど、でもまだ怖いですね。いまだに自信がね…。自信を持ちたいんですけど、まだ本当に分かってないんですよ。いろんな人に「いいね!」って言ってもらえるのがあと2年も続けば、少しは自信持てるかもですけど。
ーなるほど。
SIVELIA:ただ、自分の中の「こういうのがカッコいいと思う」っていうのが伝わる人が居るんだっていうのは分かったので。それは良かったですね。自分だけじゃなくて「いいね!」って言ってくれる人が居るというのは"救い"ですよ。作家って「売れるか売れないか分からないモノを作る」という恐ろしい商売なので。だから、ありがたい話です。
自身を「変態では?」と思うほどに好きな、作ること

ーでは作品についてもお伺いしたいです。蛍光ピンクのこちらが、HYPE DROPのエクスクルーシブモデル。
「SIVELIA ST&VM MODIFY "FUCHSIA PINK"」SIVELIA:そうです。元からこのカラーで作りたいなと思ってたんで、今回のコラボはいいタイミングでした。そして蛍光イエローの方が、インラインの限定モデルです。通常はマットブラックなので、蛍光カラーは数体しか作らないって感じ。中でも蛍光ピンクの方は、世界中でHYPE DROPのみの取り扱いになってます。
「SIVELIA ST&VM MODIFY "VOLT YELLOW"」ーその一方で、こちらのブラックの作品たちがインラインの通常モデル(の一部)。
SIVELIA:インラインの通常モデルなんですけど、元となるフィギュアが手に入りにくいこともあって、それぞれ1〜2体くらいしか作れないモノですね。
全ラインナップを見るー「HYPE DROP -THE BOX-」の第一弾アーティストとなったSIVELIAさんですが、ラインナップとしては元からお作りになっていた作品の中から、今回のPOP UPに合わせてピックアップしてくださった感じですか?
SIVELIA:そうですね。特撮怪獣モデルの2作品に関しては、新作に近い状態だったのでお披露目したかったというのもあります。あとはスカルの上に乗っかってる作品が4体あって、それは「新宿っぽいかな」って(笑)。
ーなるほど(笑)。
SIVELIA:あとはなんていうか「クセの強いモノ」。「ここ(新宿・歌舞伎町のHYPE DROP)だったらいけるかな?」という感じで、持ってきました。
ーあとはSIVELIAさんではない、別のアーティストさんの作品も店頭のみで販売されるんですよね?
SIVELIA:そうです。こちらは自分を含めた3人で「SVGE」ってグループを組んでる、KAWAGUCHI ELLYさんという作家さんの作品ですね。普段は軍モノの生地で作ってらっしゃるんですけど、自分が「レザーの黒で作ってよ」って無理にお願いして(笑)。それで2体だけ作ってもらいました。黒が好きなんですよね。
ーSIVELIAさんはご自身の作品を「どんな方に買ってほしい」とか「どんな部屋に置いてほしい」みたいな気持ちってありますか?
SIVELIA:いや、ぜんぜんないです。そこはもう、おこがましいですよ。好きなように飾っていただければって思います。
ーちなみに「ご自身が本当に好きなモノ」を作品にされていると思うのですが、時間をかけて作ったそれらが誰かの手に渡る・買われてしまうことへの寂しさみたいな気持ちはありますか?
SIVELIA:そういう気持ちは…ありますね。けど売れないと商売にならない。やっぱり、これを「仕事」にしたいので。いわゆる「(一般的な)仕事」をしたくない人間なんです。本当に仕事がしたくない。でも、これ(カスタムフィギュア作り)なら、どれだけ辛くてもやれる。サラリーマンはできませんでした。そっちの方が時間的には楽だと思うんですよ。作家は締切前は寝られないし。でも、これならできる。
ーお好きだから?
SIVELIA:なんでしょうね?変態なんじゃないですかね(笑)。基本的に「作るのが好き」。
NEO:自分も昔はプラモデルとかけっこうやってて。それこそ「SDガンダム」から始まって、最終的には戦車とかの方面にいったんですけど。あれも本当、寝ずにやってましたね。
SIVELIA:わかります。"沼"ですよね。だから、その延長なんです。
ーNEOさんとしては、そんなSIVELIAさんの作品をどうやって打ち出していきたいですか?
NEO:やっぱり新宿っていうエリアもあってインバウンドのお客さんもかなり多いので、日本の人たちだけでなく海外の方々にも見てほしいなって。裏原宿のカルチャーを知らない欧米の方にも"引っかかる"作品だと思うんです。あとはギャラリーでの展示とHYPE DROPでの展示だと、来る人の属性も変わってくるのかなと。SIVELIAさんの作品って、ファッションとアートの両方の雰囲気を持ってる気がする。だからこそHYPE DROPが打ち出していきたいモノとすごく合致してるので、どんな反応があるのか楽しみです。
ーでは最後に、SIVELIAさんの「今後の展望」について伺えますか?
SIVELIA:いまのところ、自分の作品って25〜30cmサイズの「家に飾れること」を想定したモノが基本だったんです。特に日本の住宅だと、それが一番いいサイズだった。でも最近では海外の展示も増えてきたので、70〜80cmの大型フィギュアも作っていけたらなって。ちょっとずつ大きくなってはいるんですけど、もっと大きな作品を手がけていけたらと思ってます。やりたいことはいっぱいありますが、スキルが追いついてなくて。まだオールドルーキーなので、いろいろ試していきたいです。
店舗グランドオープン&POP-UP STOREの詳細
2023/9/2(土)11:00に、ついにHYPE DROP初の実店舗がグランドオープン。
詳細はこちらまたHYPE DROPアプリにて、SIVELIA氏のアイテム販売を9/2(土)20:00からスタート&HYPE DROP実店舗にて、以下の日程でPOP-UP STOREを開催。
日時:2023/9/2(土)〜17(日) 11:00~20:00
場所:HYPE DROP/東京都新宿区歌舞伎町1丁目1−17 エキニア新宿 1階
HYPE DROPにてアイテムをチェックする