今ストリートで履きたいアシックスのスニーカー。人気モデル13足を紹介|コラムについて
日本発祥のスポーツブランドAsics(アシックス)。
近年、同ブランドのシューズがストリートで着用されているのを見かける。
なぜアシックスが、ストリートで人気を博しているのか。
その詳細を探るべく、ブランドの沿革と人気スニーカー13モデルをチェックしていこう。
アシックスってどんなブランド?
via:atmos
アシックスの成り立ちは半世紀以上前に遡る。
1949年神戸、鬼塚喜八郎によって、アシックスの大元となる鬼塚株式会社が設立。
設立して一年後、彼らは、会社の苗字と強さを象徴する「虎」を組み合わせ、オニツカタイガーというブランド名を、会社名とは別に設けた。その名を冠するシューズ第一号として、当時のスポーツシューズ製造において最も難しいと言われていた、バスケットボールシューズを製造・リリースする。
そこからのオニツカタイガーの勢いは凄まじく、さまざまなスポーツで世界進出を果たし、同シューズを履いた選手が各大会で活躍するに至った。このことは、のちのNike(ナイキ)であるBlue Ribbon Sports(ブルーリボンスポーツ)が、オニツカタイガー商品のアメリカでの販売代理店を請け負っていたことにも通じている。
ナイキと版権を争ったタイガーコルセア(via:Onitsuka Tiger)
1977年には、スポーツウェアメーカーの株式会社ジィティオ、ニットウェアメーカーのジェレンク株式会社と合併し、社名をアシックスに変更。このことによって、これまで以上に、スポーツウェア製品なども展開していった。
その後、卓越したクッション性を持つ"Gel(ゲル)"テクノロジー採用など、スポーツ選手へのサポートはもちろん、自社アーカイブモデルを軸にファッション業界へも参入。
via:asics
この"ファッション業界参入"については、日本よりも先に海外で人気を獲得したと言われており、名だたるコラボパートナーとの関係構築に至っている。
そのため、海外にアシックスのコレクターがいたり、海外ストリートでの着用者が増えることに。このことは、日本のストリートでの着用者増加にも繋がっているに違いない。
おすすめインラインモデル
ストリートで履かれているアシックススニーカーとはどのようなモデルなのだろうか。
ここからは、ブランドがリリースしてきた人気モデルを7足紹介する。
- ・Gel-Lyte 3
- ・Gel-Lyte 5
- ・Gel-Kayano 5
- ・Gel-Kayano14
- ・Gel-Nimbus 9
- ・Gel-1130
- ・Gel-PTG
■Gel-Lyte 3 OG "Green Yellow" (2019)
アシックスで最も有名なスニーカーと言っても過言ではない「Gel Lyte 3(ゲルライト3)」。1990年に発売されたランニングシューズは、世界に誇る名デザイナー三ツ井滋之によって生み出された。
ゲルライト3は、シュータンが縦に分かれる「スプリットタン」構造を採用。これによって、足のフィット感を向上させるとともに、目を引くデザイン性を兼ね備えることに。チャンキーなルックスも相まって、オリジナルカラーのグリーン/イエロー(掲載モデル)やホワイト/フレッシュコーラル、加えて、数多のコラボモデルも人気を博している。
■Gel-Lyte 5 "Multi"
先に紹介したゲルライト3含むゲルライトシリーズにて、アシックスが誇る名作として知られるのが、このゲルライト5。大元のゲルライトシリーズとは、アメリカで企画された「安定性とクッション性」と「ライト&スピード」を追求したシリーズとなる。
この系譜を受け継ぎ、1993年にリリースされたゲルライト5は、伸縮性に優れた素材でベロとアッパーを一体化した構造を採用。一体感のあるアッパーは、当時のデザイナーが、何度もデザインを描いては捨ててを繰り返したほどこだわったデザインとなる。掲載カラーの"マルチ"は、捨てたデザインを再構築して生まれたストーリーにインスピレーションを受けており、ストリートでも目立つ一足に仕上がっている。
■Gel-Kayano 5 OG "White Black"
ゲルライトと並び、名シリーズとして知られるGel Kayano(ゲルカヤノ)シリーズ。1993年から現代まで続く長寿シリーズだ。ちなみにこの"カヤノ"という名前は、担当デザイナー榧野俊一(かやのとしかず)の苗字に由来しているそう。同シリーズの初期モデルには、近年のダッドシューズブームでも注目を浴びたゲルカヤノ5がある。
全体的にぽてっとしたフォルムを採用しているゲルカヤノ5。メッシュアッパーや主張の強いアシックスラインなど、どこから見てもレトロスポーティーな一足となっている。2000年代に入る直前にファーストリリースとなったモデルとだけあって、1990年代らしい主張するデザインと2000年代らしい流線的なデザインが共存したモデルだ。
■Gel-Kayano 14 "Silver Green"
2008年にファーストリリースとなったゲルカヤノ14は、アメリカ専門誌で賞を受賞するほど優れたランニングシューズだった。また、デザイナーが榧野俊一から山下秀則に変更になったファーストモデルでもあり、ゲルカヤノシリーズにとっても、転換点となったモデルと言える。
近年、2000年代のファッションスタイルを取り入れるY2Kファッションがトレンドだが、このゲルカヤノ14は、その世界観にマッチ。2000年代モデルらしい、近未来感のあるデザインを味わうには、掲載モデルのようなシルバーカラーがおすすめだ。
■Gel Nimbus 9 "Frosted Almond/Black"
先ほど、ゲルライト14の受賞歴をお伝えしたが、実はこのGel Nimbus 9(ゲルニンバス9)も別年度の全く同じ賞に輝いた名シューズ。ラテン語で“雲"を意味する「NUMBUS」を名前に用いたシューズは、その名の通り、軽快な走りを実現するために製作された。
2007年にファーストリリースされたゲルニンバス9は、2008年にリリースされたゲルカヤノ14とリリース年が近いこともあり、近しいデザインを採用。しかし、アシックスラインの形状などが大きく異なり、ゲルニンバス9の方がよりカジュアルな雰囲気を漂わせている。
■Gel-1130 "White/Gold"
「Gel-1000」シリーズの9代目モデルをモチーフにしたGel 1130(ゲル イレブンサーティー)。モチーフモデルがゲルカヤノ14と同年のリリースとなっており、ゲルカヤノ14からインスパイアされた構造を採用している。
ゲルカヤノ14と比べ、アッパーのメッシュパーツの範囲が広いのが、ゲル1130の特徴。これによって、レトロスポーティーな魅力を存分に発揮することに。コーデにメリハリを効かせられるスニーカーは、女性スニーカーヘッズにもおすすめしたいモデルだ。また、Kiko Kostadinov Studio(キコ・コスタディノフ・スタジオ)との協業シリーズ「キコ・キュレーション」でも、よく知られている。
■Gel-PTG "White/Black"
インラインモデルとして最後に紹介するのは、これまでの紹介スニーカーと異なるキャラクターを持つGel-PTG(ゲル PTG)。今回紹介するモデルの中で、唯一のバスケットボールシューズ由来のスニーカーとなる。ちなみにベースモデルとなったのは、1983年に誕生したFABRE POINTGETTER (ファブレ・ポイントゲッター)だ。
アシックスのバスケットボールシューズといえば、2022年に公開された映画「Slam Dunk(スラムダンク)」の登場人物"三井寿"が履いているモデル「JAPAN-L(ジャパンL)」を思い浮かべる人もいるかもしれない。そのモデルと同じように、レトロな外観によって、クラシックな印象を持つのがゲルPTGの良さ。ジャパンLとの違いとして、シューレース部のパーツの構造の違いがあり、外羽根式を採用しているゲルPTGの方が、着用時にカジュアルな雰囲気を醸し出せる。
おすすめコラボモデル
アシックスは、先に紹介したような人気インラインモデルと同様、もしくはそれ以上にスペシャルコラボモデルが人気を博している。
世界各国のブランドが関わった人気コラボモデルを見ていこう。
- ・KITH 10TH × Asics Gel-Lyte 5 "Salmon Toe"
- ・AFEW × Beams × Asics Gel Lyte 3 "Orange Koi"
- ・JJJJound x Asics GEL-Kayano 14 "Black"
- ・Sean Wotherspoon × Asics × atmos Gel Lyte 3 OG
- ・Kiko Kostadinov × Asics Gel-Quantum Zientzia "Dark Grey/Blue"
- ・Awake NY × Asics Gel-NYC "Pure Silver/Gothic Grape"
■KITH 10TH × Asics Gel-Lyte 5 "Salmon Toe"
ニューヨークで始まったスニーカーブティックKith(キス)は、長年アシックスとコラボをおこなってきた名パートナーの一つ。キスを率いるRonnie Fieg(ロニー・ファイグ)らしい、"ベースモデルを活かしたアンニュイな配色"のスニーカーに魅了されている人も多い。
ここで掲載したのは、キス創設10周年を記念したコラボモデル。ここでベースに選ばれたのはゲルライト5だが、実はこのネイビーとピンクの配色は、以前のキスコラボでゲルライト3に配色されていたもの。10周年の節目にあえてコラボのアーカイブカラーも持ってくるところは、ロニー・ファイグらしいセンス溢れる遊び心だと言えるだろう。
■AFEW × Beams × Asics Gel Lyte 3 "Orange Koi"
ゲルライト3の評価を一気に高めたと言っても過言ではない、ドイツのスニーカーショップAFEW(アフュー)、日本のセレクトショップBEAMS(ビームス)が加わったトリプルコラボのゲルライト3「Orange Koi(オレンジ コイ)」。同モデルは、多大なる注目を集めたゲルライト3 "レッド コイ"の続編モデルとしてリリースされた。
発売時に長蛇の列ができたことでも有名な"オレンジ コイ"。ホワイトパーツとオレンジパーツの素材感を変えることで、鯉の鱗を表現し、また、ソールデザインにまで鯉にまつわるデザインを採用している。スニーカーコーデで主張してくれる色合わせということもあり、リリースから5年近く経つ今でも魅力的に映るモデルだ。
■JJJJound x Asics GEL-Kayano 14 "Black"
カナダ・モントリオールのデザインスタジオ「JJJJound(ジョウンド)」とのコラボ。ジョウンドは、もとより業界の著名人から高く評価されるほどミニマルなデザインに長けており、彼らのデザイン性はアシックスの人気モデル「ゲルカヤノ14」にも、もたらされている。
ゲルカヤノ14の流線的なデザインを活かす、シルバーカラーのアッパーを採用。ミッドソールの各パーツの細やかな色の変更など、細部までこだわられたことがわかる逸品だ。スタイリッシュかつ独特な世界観が表れたモデルは、他で探そうとしても意外とない。
■Sean Wotherspoon × Asics × atmos Gel Lyte 3 OG
ナイキとのコラボAir Max(エアマックス)モデルで注目を浴び、今やadidas(アディダス)と多くのコラボモデルを手がけるSean Wotherspoon(ショーン・ウェザースプーン)。ヴィンテージショップのオーナーである彼は、独自の色彩感覚をスニーカーにもたらすことに長けたデザイナーだ。
アシックスとのコラボでは、atmos(アトモス)が加わったトリプルコラボとして、左右で色違いのスペシャルなゲルライト3をリリース。右足の"LA"カラーは「太陽」「青空」「ヤシの木」「花」などのカラーを、 左足の"TOKYO"カラーは「アサガオ」「雷門」「ネオン街」「唐草」などのカラーをベースに配色している。しかも、アシックスラインを付属品の別カラーのものに付け替えられるギミック付き。その日のコーデに合わせ、アシックスラインの色遊びを楽しめる一足だ。
■Kiko Kostadinov × Asics Gel-Quantum Zientzia "Dark Grey/Blue"
ブルガリア出身の若手デザイナーKiko Kostadinov(キコ・コスタディノフ)は、今や近年のアシックスを語る上で欠かせないコラボパートナー。彼が得意とする「機能性を兼ね備えたデザイン」は、最先端のテクノロジーを追求し続けるアシックスの方向性と合致している。
アシックスのスポーツ工学研究所にも足を運ぶキコ・コスタディノフは、これまでも多くの機能美を追求したコラボモデルをリリースしてきた。2023年には、彼のセンスが光るGel-Quantum Zientzia(ゲル クォンタム ジエントジア)が登場。同モデルは、アシックスを象徴するブルーをブラックベースに合わせた、スタイリッシュ顔の一足となる。モードファッションとも相性の良さそうなモデルは、またもや感度の高いファンの争奪戦になるやもしれない。
■Awake NY × Asics Gel-NYC "Pure Silver/Gothic Grape"
シュプリームの元ディレクターであるAngelo Baque(アンジェロ・バク)が立ち上げたブランド「Awake NY(アウェイク・ニューヨーク)」。彼らとのコラボでは、レトロモデルのアッパーに最先端のソールを取り付ける"ハイブリッドスニーカー"が人気を博している。
彼らの結びつきは強く、なんと本コラボ用に新たなモデルを作ってしまうほど。彼らが共作した「Gel-NYC(ゲル-ニューヨーク)」では、ゲルニンバス3、Gel-MC Plus 5(ゲル-MCプラス5)、Gel-Cumulus 16(ゲル キュムラス)の要素を掛け合わせた。世界中の若者がどのようにアシックスのコラボスニーカーを履きこなしているかに着目したデザインは秀逸で、インラインではなかなか見られないカラーパレットを採用している。
おわりに
世界各国で人気を獲得するアシックススニーカー。
感度の高い業界人が履いていることは、デザイン力の高さの証明でもあるだろう。
しかも、アシックスは研究所を構えるほどテクノロジーにもこだわるブランド。
デザイン性と履き心地を長く追求してきたブランドだからこそ、ストリートでも多くの期待に応えているに違いない。
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