バンズの歴史が詰まった「オーセンティック」とは?おすすめモデル10選とコーデを紹介|コラムについて
スケートボーダーを筆頭に多くの人に愛されるブランド、Vans(バンズ)。様々なモデルが人気を博してきた名スニーカーブランドとして、よく知られている。
彼らの定番スニーカーの1つ、「Authentic(オーセンティック)」はブランド創設当時からリリースされている看板モデルだ。
今回は、このオーセンティックの普遍的な魅力に迫りつつ、おすすめ10モデルやコーデ例を紹介していく。
バンズとは
via:Vans
オーセンティックを知る前に、バンズが一体どのようなブランドなのか、歴史をおさらいしておこう。
「バンズ」は、1966年にPaul Van Doren(ポール・ヴァン・ドーレン)とその仲間達によって設立されたカリフォルニア州・アナハイム発祥のブランド。
実は、設立当初はカスタムオーダーのみ取り扱っていたのをご存じだろうか? その受注生産式の販売では、ベーススニーカーの希望サイズと色を選んでもらい、オーダー後にスニーカーを作成する方法をとっていたそうだ。ちなみに、オープン初日の朝には、12人の顧客が購入し、その日の午後にはシューズを受け取れるようになっていたんだとか。
非カスタムオーダーモデル発売後の1970年代後半、徐々に人気を博し、南カリフォルニアの至る所でバンズを着用するスケートボーダーが出現することに。1977年には、定番モデルの一つ"Old Skool(オールドスクール)"が登場し、アッパーに刻まれる波打つようなサイドライン"ジャズストライプ"が誕生している。
via:Vans
スケートボーダーからの人気も相まって、店舗を徐々に拡大。そして、1980年代に映画「Fast Times at Ridgemont High(ファーストタイムズ アッド リッジモンド・ハイ)」での着用などを通じ、国際的な知名度を獲得するに至った。
via:Vans
その後、バンズはスケートボードやBMX、サーフィン、スノーボードなど、世界をリードするアクションスポーツでリードをとり、有名選手のシグネイチャーシリーズなども発売。また、アジア圏を含めた世界進出を続けることで、ファッション業界や音楽業界に大きな影響を与える人気ブランドとなった。ここ日本でもABC-MART(エービーシーマート)系列店を中心に、オールドスクールやオーセンティック、Era(エラ)、Slip-On(スリッポン)など、多くのバンズ商品が流通しており、ストリートの若者に着用されている。
バンズ オーセンティックの知っておくべき特徴
設立した当初、バンズでは、#44というモデルをベースとしたカスタムモデルを受注生産していた。そして、この#44は、現在「オーセンティック」と名前を変えリリースされ続けている。
しかも、このオーセンティックは、リリース当初から現在に至るまで、ほぼ変わらないディテールを持つ稀有なモデル。先にお伝えしておきたいのが、バンズのアイコン「ジャズストライプ」が入っていないモデルであること。バンズを象徴するそれが生まれる以前に誕生したモデルのため、そのディテールが逆にオーセンティックの特別感と普遍性を強調している。
世代を超え愛され続けた、このバンズスニーカーの普遍的な魅力や特徴を見ていこう。
■シンプルなデザイン
via:Vans
デッキシューズスタイルを採用しているバンズ オーセンティック。このデザインは装飾がほとんどないシンプルなものとなっている。
シューレースや、ステッチ、履き込んでいくと表れる履きじわなども、シンプルなデザインによって醸し出される魅力だ。
■バルカナイズド製法
via:Vans
オーセンティックは、バルカナイズド製法でアッパーとソールを接着している。
バルカナイズド製法とは、アッパーとソールを定位置にセットしたのち、その間に固まる前の生ゴムを流し込んで接着。さらに、硫黄で満たした釜で熱と圧力をかけることでアッパーとソールを隙間なく圧着するという技術のこと。
この技法を取り入れることで、ソールがしなやかで柔らかく、丈夫で壊れにくい仕様に。また、美しいシルエットが保てるという特徴を持つ。
■ワッフルソール
via:Vans
次に紹介するのは、ワッフルソール。
文字通り、食べ物のワッフルを思わせるアウトソールを採用している。 これによって高いグリップ力を保持。アクティブなユーザーにもってこいのソールとなっている。
■特徴のまとめ
via:Vans
ここまでお伝えしてきた、バンズ オーセンティックの特徴をまとめてみよう。
オーセンティックの特徴
・装飾がほとんどないアッパー
・ソールの耐久性をあげるバルカナイズド製法
・グリップ力に優れたワッフルソール
これら3つから、オーセンティックは、シンプルかつ機能性も兼ね備えたモデルであると言える。
ちなみに〜ERAとの違い〜
Authentic |
ERA |
ここで一つ皆さんに知っておいてほしいのが、バンズの定番モデルの一つ、ERA(エラ)との違いについて。
よく似ているモデルだが、履き口のパットの有無に違いがある。
パットがないオーセンティックはすっきりした印象、パットがあるエラは少し丸みを帯びた印象を持つ。一見ほぼ同じモデルに見えるため、購入の際は、どちらのモデルなのか注意して選ぶようにしよう。
知っておいた方がいい日本企画とUS企画の違い
実は、バンズには日本企画とUS企画の2バージョンが存在する。それでディテールが変わるため、バンズのスニーカーにこだわりたい方は、この違いも押さえておこう。
ちなみに、日本企画はABCマートが商標登録しているもの、アメリカ企画はそうでないものを指している。
【横幅の違い】
日本企画 |
US企画 |
まず注目したいのは、シューズの足幅。
日本企画はシューズの幅が狭め。対して、US企画はシューズの幅が広めになっている。
【アッパーの違い】
日本企画 |
US企画 |
続いてアッパーを見てみよう。
掲載した画像は、ABC-MARTとバンズUSオフィシャルサイトの同じ価格帯(日本定価:¥6,600、US定価:$60.00)のオーセンティックを比べているが、日本企画の方が丸みが強調された作りになっていることがわかる。対してUS企画はよりシャープな印象を強める作りを採用している。掲載画像は違いがわかりやすいが、すべてのモデルにここまで大きな差が出るとは限らないことも知っておこう。
【つま先の違い】
日本企画 |
US企画 |
つま先の反り方にも違いがある。
掲載画像のトゥ部分の影で比べるとわかりやすいが、日本企画はトゥ部分の"反り"が強く、US企画はフラットな作りとなっている。
【品番の違い】
また、日本企画とUS企画の判断材料として役に立つのが品番の違いだ。
品番とは商品を判別する英数字の文字列のこと。US企画は「VN」から始まるのに対し、日本企画は「V」の次にNが来ない。
違いをまとめると
日本企画 | US企画 | |
シューズの足幅 | 狭め | 広め |
アッパーの作り | 丸みを強調 | シャープな作り |
トゥの反り具合 | 強い | 弱い |
品番 | Vで始まる | VNで始まる |
違いをまとめてみると、日本企画はカジュアルな印象を強めたモデル。アメリカ企画はシャープな印象を強めたモデルと言えるだろう。
特にオーセンティックは企画に応じて雰囲気が大きく異なるので、購入時にはどちらのモデルか気に掛けることをおすすめする。
編集部おすすめの10モデル紹介
オーセンティックの普遍的な魅力をより知るため、これまでどんなバンズ オーセンティックがリリースされてきたのか見ていこう。
今回は、スニダン編集部が厳選した、おすすめのバンズ オーセンティック10足を紹介する。
王道カラー
「バンズ オーセンティック "ブラック/ホワイト"」
まずは、定番カラーのブラック/ホワイト。
シンプルな色味だからこそ、その普遍的なシルエットが目立つモデルになっている。 初めてのオーセンティックとしてもおすすめのモデル。
バンズらしいチェッカーボードパターン
「バンズ オーセンティック 44 DX アナハイム ファクトリー "ブラック/チェッカーボード"」
バンズの有名カラー"チェッカーボード"を採用したプロダクト。
それぞれのプロダクトに用いられている人気の柄をオーセンティックに採用することで、各パーツが際立っている。 クリームホワイトとブラックの色合わせとチェッカーボード柄がほどよく足元を主張してくれる。
ヴィンテージ感際立つ
「ビアンカ シャンドン × ボルト バイ バンズ オーセンティック VLT LX "ネイビー/ホワイト"」
ビンテージ感際立つBianca Chandon(ビアンカ シャンドン)とのコラボ。
ビアンカ シャンドンは、 70〜80年代後半のサブカルチャーの感性からインスピレーションを受けたファッションブランドだ。このコラボプロダクトでは、味のあるデザインを採用しており、何年も履いたかのような豊かな風合いを醸し出している。
コラボらしい柄を採用
「ワコマリア × バンズ ボルト OG オーセンティック LX "クラシック ホワイトレコード"」
「女・音楽・酒・ハット・を愛するルーディーな大人」をコンセプトにするブランド、WACKO MARIA(ワコマリア)とのコラボモデル。
アッパーにはワコマリアのアパレルにも使われるレコード柄を採用。カラーがホワイトではなくクリームホワイトになっているのもポイントだ。
ソールにデザインを施した
「ダブルタップス × バンズ ヴォルト バイ OG オーセンティック LX "オリーブ ドゥラブ"」
ミリタリー感溢れるファッションブランド、WTAPS(ダブルタップス)とのコラボ。
ワントーンカラーとしてカーキ色を採用することで、ソールのダブルタップスロゴが目立つデザインに。 ミリタリーファッションにも取り入れやすいモデルだ。
インパクトのあるルックス
「コムデギャルソン × OG オーセンティック LX "CDG プリント - ブラン デ ブラン"」
川久保玲が設立した日本のファッションブランド、COMME des GARCONS(コムデギャルソン)とのコラボ。
CDGロゴをアッパー全体に施した、インパクトのあるルックスを持つ。シンプルな作りだからこそ、そのデザインがより映える一足だ。
キュートなデザインを採用
「ヴィヴィアン・ウエストウッド × バンズ オーセンティック "ブルー"」
パンクファッションを背景に持つイギリスのファッションブランド、Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)とのコラボ。
同ブランドを代表する王冠と地球をモチーフとしたロゴや、稲妻を想起させるデザインをアッパーに配置し、ポップなカラーでまとめている。 アッパーに刻まれた「V.W」の文字もポイント。
人気ドラマとのコラボ
「ストレンジャー シングス × バンズ オーセンティック "ストレンジャー マルチ"」
Netflix(ネットフリックス)の人気ドラマ、Stranger Things(ストレンジャーシングス)との異色コラボモデル。
自然に色褪せたような黒と白、赤と白のチェッカーボードを各パーツに採用。 ピザや漫画の落書きをデザインに取り入れ、劇中キャラクターArgyle(アーガイル)を連想させるデザインになっている。
温かみのあるプロダクト
「ペンドルトン × バンズ アナハイム ファクトリー コレクション オーセンティック 44 DX "レッド"」
ウールウェアやブランケットを取り扱い、"アメリカの良心"と讃えられるブランド、Pendleton(ペンドルトン)のファブリックを使用したモデル。
温かみのある素材を活かしたオーセンティックで、レッドをベースに様々なカラーを格子状に採用。キュートな印象を強めている。
アメリカンな雰囲気漂う
「ベドウィン アンド ザ ハートブレイカーズ × バンズ OG オーセンティック LX "バンダナ/マルチ カラー-A"」
2004年にスタートした日本ブランド、BEDWIN & THE HEARTBREAKERS(ベドウィン アンド ザ ハートブレイカーズ)とのコラボ。
アメリカ製のバンダナをカットしたテキスタイルを採用し、アメリカンな雰囲気を漂わせる。 アクセントとして、ソールに赤いラインを用いているのもポイント。
バンズ オーセンティックを使用した足元コーデ
ここまで、10足のバンズ オーセンティックを見てきたが、その普遍的な魅力が伝わっただろうか?
最後に、このスニーカーをファッションに落とし込むとどうなるのか、今回の紹介プロダクトを使った足元コーデを紹介する。
■シンプルなデッキシューズスタイルを活かした足元コーデ
シンプルなデニムと合わせた、コラボロゴを活かした履きこなし。オーセンティックのデッキシューズスタイルとも相性の良いコーデとなっている。
■モードファッションと合わせた足元コーデ
ブラックのソックス、パンツに合わせた足元コーデ。 モードなスタイルとCDGロゴがピッタリ合っている。
■太めのパンツと合わせた足元コーデ
ミリタリー感溢れるダブルタップスとのコラボモデルを使った足元コーデ。太めのパンツとも相性が良く、ルーズファッションにも映える一足だとわかる。
おわりに
シンプルだからこそ、愛され続けるバンズ オーセンティック。
カラーやデザインによって表情を変えるスニーカーのため、それぞれのオーセンティックが魅力に溢れている。
ブランド創世記からバンズを支えたモデルをぜひ堪能してみてほしい。
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