ナイキ ダンクへのvacancyさんの投稿

2023/09/27

本当にあったら怖い話

「靴の持ち込み」

私の趣味はスニーカー集め。
しかしながらここのところ、随分と数が多くなってしまい妻に怒られる始末。
散乱しているわけではなく、全て玄関のシューズボックスに収納しているのだが、いよいよ埋まってきていることを指摘された。
確かに履く頻度に差があるのは事実だし、そろそろ厳選する時がきたのかもしれない。
思い返せば色々なストーリーがあるこのスニーカー達。
だが、今は履くか履かないかで判断しないと結局意味がない。
泣く泣くながら手放すスニーカーを決めた私は、近くのスニーカーショップへ持ち込むために数足車へと運んでいた。
今日は天気もいいから1番お気に入りのスニーカーを履き、準備を進める。
ところが、あと何足か積むだけで出発、というタイミングで急に気持ち悪くなってしまい、脱いだ靴はそのままに、急いでトイレへ駆け込んでしまった。
中々吐き気も治らず、かと言ってこのまま車を運転するのも危険だと判断し、スニーカーショップは妻に行ってもらうことにした。

「悪いけど、玄関に置いてある靴車に積んで、持って行ってくれない？」

「わかった、ゆっくり休んでね」

ある意味、最後の最後で急に名残惜しくなって結局売らなかった、なんてことにならなくてよかったのかもな。

ようやく吐き気も治り、薬を飲んで仮眠を取っていたところ妻が帰ってきた。

「大丈夫？」
「うん、だいぶ良くなったよ」
「それならよかった」
「それより、靴はどうだった？」
「無事に売れたよ。想像以上の金額でびっくりしちゃった。スニーカーってすごいんだね」

値段だけで価値が決まるわけではないが、妻に認められたような気がしてすごく嬉しかった。

「じゃあこれ。お金と明細書ね」
「うん、ありがとう。へー、これ意外と値段付いたんだ。それでこっちは…」

1番高く売れたスニーカーの明細を見て、私は再度トイレに駆け込むのだった…。