1月29、31日にエアマックス95 OG ビッグバブル "グレープ"の発売を控えるなか、スニダン編集部の会議中に編集長がつぶやいた。「懐かしいな……。ヴィンテージデニム人気の再燃に、エアマックス95のリリース。なんだか、あのころの空気感に似てるんだよ」。噂には聞く1990年代のブームだが、その時代を実体験していない世代の視点から、当時の狂騒と現代のマーケットが共鳴する理由を探った。そこには今と通ずるアイテムの持つ普遍的な魅力やそこに惹きつけられる世相があった。
"あのころ"に通じるトレンドと、『Boon』が作り上げたAM95への憧れ
——2025年にはエアマックス95が発売から30周年を迎え、人気カラーの "イエローグラデーション"がビッグバブル仕様で登場したり、確かに1990年代のリバイバルを感じますね。
編集長: 去年あたりからエアマックス95の人気がまたじわじわと高まってきているのは、スニダンの取引を見ていても感じます。また、最近スニダンでは「リーバイス ヴィンテージ クロージング」も活発に取引され人気ですが、1990年代当時も今と同じようにデニムのブーム、特にヴィンテージへの注目が集まっていました。ヴィンテージデニムの何が特別か当時はよく分からなかったけど、とにかく「エアマックス95がイケてる!リーバイス501XXはレア!」みたいな情報は雑誌を通して、それを読んでいるみんなが知っている感じでした。今振り返ってもその影響力はすごかった。だって、この前までファッションに興味のない友達が、みんながこぞってエアマックス95を筆頭にエアジョーダン1の復刻版やリーバイスの501XXを欲しがっていたりしてね。
——当時はファッション雑誌全盛の時代でしたもんね。
編集長: 自分たちの世代にとってバイブルだったのが雑誌の『Boon』。それはもう必死になってページ横の通販広告欄まで読んでいました。当時はインターネットが一般的ではなかったので、情報源はすべて雑誌だったんです。当時『Boon』では「カッコマン」と呼ばれるオシャレな人たちが501XXなどのヴィンテージデニムにエアジョーダン1やターミネーターのデカサイズを合わせていたり、エアマックス95などのハイテクスニーカーをコーデに取り入れたりして誌面に登場していました。まさに今に通ずるトレンドを、雑誌が作りあげていたんです。
僕は地方出身で東京やファッションへの憧れがあったので、そういった注目のモデルを持っていれば「時代の波に乗れる!」とか「オシャレになれる!」と思ってたんですよね。恥ずかしいけど本当にそう思ってました。ある意味、ハイテクスニーカーやヴィンテージデニムは、承認欲求を満たすためのアイテムだったのかもしれません。芸能人に憧れるように"これを持っていること"に憧れた、まさにエアマックス95などのアイテムが時代のアイドルだったんでしょうね。
——1990年代当時はハイテクスニーカーブームで、「リーボック」ポンプフューリーや、「プーマ」ディスクブレイズなどいろいろなモデルがリリースされていたんですよね。その中でエアマックス95だけは今でも別格な印象を受けます。
編集長: 僕よりも上の世代の方や地域によって違うと思いますが、当時の僕は学生で、スニーカーといえば"通学用の白い運動靴"やコンバースのオールスター、アディダスのスーパースターという感じだったんです。そんな中エアマックス95が現れた。ビジブルエアが前足にもどうとか当時はよく分からなかったし、理屈を飛び越えたビジュアルのインパクトがあった。理屈じゃなくて「なんかカッコいい!」と思いました、メディアでもやたら良いこと書いているし。時代に、そして『Boon』に教育されちゃったんですよ(笑)。
——それだけ90年代青春世代にとって特別な存在だったら、エアマックス狩りなど社会現象化するのも納得です。
編集長: 僕の周りでエアマックス狩りはありませんでしたが、95じゃない別のエアマックス系スニーカーのエア部分に画鋲を刺されたり、エアマックス95をフリマで手に入れた友達が、地元の古着屋の店員さんに「これ偽物だよ」と指摘されたり。エアマックス狩りならぬ、"エアマックス悪事"程度は身近でも起こっていました。当時、古着屋のバイヤーがアメリカに買い付けに行く密着取材をテレビでやっていて、現地で実際に履いている人へ売ってくれと交渉して、それを日本に持ち帰り数万円で売るみたいなのを見ました。ほんと手に入らない、プレ値がすごい、そんな時代でしたから。
絶対的OG"イエグラ"と、特別な5つのカラーウェイ
——ところで、「エアマックス95といえばイエグラ」というようなイメージがあります。やはり当時から絶対的な存在だったのでしょうか?
編集長: エアジョーダン1のシカゴやブレッドのように、スニーカーには「このモデルといえばこの色」というのが存在すると思うんです。1990年代半ばから後半のハイテクスニーカーブームを体験した人たちの中だったら、イエグラの認知度が最も高いと思います。 逆に、今はエアマックス95が多数リリースされていますけど、すべてに対してグッときているかというと、正直そうでもないんです。エアマックス95だから懐かしいとか、エアマックス95なら何でも良いわけじゃないぞっていうのは、世代的にやっぱり思ってしまう。
——そんな中で「グッとくる95」って何なんでしょうか?
編集長: やっぱりイエグラを筆頭にした、1995〜96年当時のカラーなんですよ。よく言われるのが、レッド、ブルー、グレープなどのグラデーションカラー、あとは昨年復刻されたブラックボーダーはすごく懐かしい。イエグラはもう『ドラゴンボール』で言うところの孫悟空みたいな圧倒的主人公で、レッドグラデがベジータやピッコロみたいな立ち位置ですかね(笑)。この5色に関しては、当時のブームを経験した人たちから圧倒的な支持があるカラーウェイだと思います。思い出補正は入りまくりだけど、本当に特別です。
——それだけ思い入れが強いのであれば、当然大人になってから5カラーとも揃えました?
編集長: イエグラは大人になってからオリジナルも手に入れたし、復刻モデルも買いました。ブラックボーダー以外は買いましたね。ただそれこそ加水分解やたまに訪れる断捨離タイミングで手放してしまったり、5つのカラーが一挙に揃ったことはないんです。もちろん揃えようと思えば揃えられるんですが、コンプリートしてしまったら思い出が終わってしまう気がして。手に入ってただの"モノ"になってしまうのが嫌というか。だから、"あのころ"を欲しいままにしておきたい気持ちもあるんです。 エアマックス95の思い出カラーに思いを馳せるのは、「あのころに浸っている」という感覚。ファッションアイテムとして欲しいというよりも、「あのころが欲しい」っていう感覚に近い。イエグラが復刻される度に話題になるのは、僕と同じように"当時の思い出や憧れを求めている人"が多いからなんじゃないかと思います。
あなたにとってAM95とは?
「あのころ」の熱狂を知る世代にとって、エアマックス95は単なるスニーカーの枠を超えた、青春そのものの象徴だ。 かつて雑誌のページをめくりながら溜息をついた少年たちは、いまや大人になり、当時より少しだけ自由に使えるお金を手にした。それでも、復刻のたびに心がざわつくのは、彼らが手に入れたいのは最新のテクノロジーではなく、あの日、手が届かなかった「みんなの憧れ」だからだろう。
初めて手に入れたときの感動や、偽物をつかまされた苦い思い出、欲しくても買えず代替モデルを履いた経験など、エアマックス95にまつわるエピソードはきっと読者の皆さんにもあるはず。
ぜひ本記事のコメント欄やSNSで、あなたの熱いエピソードを教えてほしい。次回は、皆さんから寄せられたリアルな声を基にトークテーマを広げ、あの90年代当時の熱狂をさらに深く、多角的に掘り下げていきたいと思う。
あのころ欲しくてたまらなかった!"カッコマン"胸アツのエアマックス95 〜令和にリンクする90年代のファッショントレンド〜の定価/発売日/品番
| ブランド | ナイキ(NIKE) |
|---|---|
| モデル | エアマックス95(Air Max 95) |
| 発売日 | 2015年8月6日 |
| 定価 | ¥16,200(税込) |
| スタイルコード | 554970-131、DH9792-100、HJ5996-100、HM4740-001、IM7409-100 |