Travis Scott、Moncler、UNDERCOVER、スターバックス...今年も多くのブランドや企業、アーティストなどとコラボレーションを展開し、シーンの話題をさらった藤原ヒロシ氏が主宰するデザインプロジェクト「fragment design(フラグメント デザイン)」。膨大なアーカイブ知識と時代感覚で既存のアイテムを「編集」し、新たな価値を吹き込むその手法は、現代のコラボレーション文化において特別な位置を確立している。本記事では、最新のトラヴィス・スコットコラボから、「Nike(ナイキ)」との歴代名作、そしてアパレルまでを厳選して紹介。多くの人々を惹きつけてやまない、そのクリエイションの背景を紐解いていく。
プロダクトを再定義する「編集」の美学
via:fujiwarahiroshi
「フラグメントデザイン」は、1990年代から日本のストリートシーンを牽引してきた藤原ヒロシ氏が、2003年に始動させたデザインプロジェクトだ。特定の店舗や自社ブランドとして決まったラインを持つのではなく、あくまで「デザイン・プロジェクト」として活動。「ナイキ」や「スターバックス」といった世界的な企業から、「ルイ・ヴィトン」や「モンクレール」などのラグジュアリーブランドまで、多岐にわたるコラボレーションを主軸としている。
1. 「サンダーマーク」が持つ意味
象徴的な一対の稲妻、通称「サンダーマーク」。このロゴは藤原氏の審美眼によって「今、これがクールである」と再解釈された、一種の品質証明に近い役割を果たしている。既存のアイテムの良さを引き出しつつ、絶妙なカラーパレットやディテールを加え、現代的な文脈へと「編集」するのがフラグメントのスタイルだ。
2. コラボレーションの先駆者
今日では当たり前となった「ブランド同士のコラボレーション」という手法を、世界的なスタンダードとして定着させた背景には、藤原ヒロシ氏の功績がある。 90年代の活動や、2000年代初頭のナイキ「HTM」プロジェクトなどを経て、その手法は「フラグメントデザイン」で洗練されていった。アーカイブへの敬意とミニマリズムを融合させたデザインは、流行に左右されないタイムレスな価値を築いている。
3. デザイン哲学:ミニマリズムと文脈
フラグメントのデザインは、シンプルであることが多い。派手な装飾ではなく、「知る人が見ればわかる」という抑制された表現が特徴だ。一見すると微差に見える変更点にこそ、文化的な背景や意図(コンテクスト)が込められている。その控えめなアプローチが、プロダクトの本質を際立たせ、支持され続ける理由となっている。
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おわりに
フラグメントデザインの魅力は、単に「ロゴが付いていること」ではなく、そのロゴの背景にある「徹底したこだわりと編集力」にある。今回紹介した歴代のアーカイブは、どれもストリートカルチャーの歴史を語る上で欠かせないものばかり。流行が激しく入れ替わる現代だからこそ、フラグメントデザインが提示する「タイムレスな美学」を、ぜひ自身のスタイルに取り入れてみてはいかがだろうか。