今年も残すところ、あと数日。これを読んでいる中には「みんなはこの一年でどんなスニーカーを手にしたか?」が気になる人も多いかもしれない。そこで本記事では、スニダン原宿店・タフケンに「2025年にゲットした『Best エアジョーダン』」を5足ピックアップしてもらった。年末のこのタイミングで、ともにスニーカー界隈の一年を振り返ってみよう。

「ジョーダン好きの僕からしたら買うことが"使命"だった」という1足

── もうすぐ今年も終わりますが、スニーカーシーンを振り返るとどんな印象の一年でしたか?

タフケン: 僕としては一年通してかなり盛り上がったんじゃないかなって思ってます。というのも、エアジョーダン1が40周年、エアマックス95が30周年をそれぞれ迎えましたよね。それだけじゃなく、ジョーダン5のアニバーサリー(35周年)もあったりして。そういったものが重なった結果、過去の名作やOGカラーが復刻したり新たなコラボモデルが出たりした一年だったんですよね。それらを考えると、世間では「スニーカーブームは落ち着いた」なんて意見もありますが、僕は盛り上がったんじゃないかなって思います。

── なるほど、ありがとうございます。今回はそんな盛り上がった2025年にタフケンさんがゲットされた「エアジョーダン」について、5足をピックアップしていただきました。1足目から紹介してください。

タフケン: まずは「Nike Air Jordan 1 High 85 "Bred" (2025)」です。

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これはリーク情報を目にしたときから「絶対に買うぞ!!!」と意気込んでました。というのも、このモデルって実は特別で。今回の「"Bred" (2025)」はNikeが「1985年当時のディテールを完全再現」したモノなんです。

そして僕、これを買うために発売日に並びにいったんですよね。早朝7:00ごろから並びはじめて、買い終わるまで10時間くらいかかりまして。発売が2月だったんでめちゃくちゃ寒かったんですけど、お世話になってる先輩とか仲間たちとみんなで並んだっていう思い出もあって、1足目にこれを選びました。僕は正直、AJ1の"Bred"って2016年モデルの「Nike Air Jordan 1 Retro High OG "Bred/Banned" (2016)」も持ってるんです。それって普通の人たちからしたら「まったく同じ靴じゃん」って感じなんですけど(笑)。でも「1985年当時のディテールを完全再現」ってところで、ジョーダン好きの僕からしたら買うことが"使命"でした(笑)。

── そちらって実際に履いてらっしゃるんですか?

タフケン: まだ3〜4回ですね。僕は本来、スニーカーってガンガン履く人なんですけど、これに関しては「ここぞ!」って時に履く「勝負靴」みたいな。気合い入れてる時に履きたいなって思ってるんです。

── 2016年モデルとの履き分けってあったりしますか?

タフケン: 2025年モデルが「80年代のディテール」なので、僕が集めてるヴィンテージのアパレルと合わせるようなときにそちらを。 2016年モデルはそういう系統の服装じゃないときに。みたいなイメージでニュアンスの違いを出そうかなって思ってますね。

というのも2025年と2016年ってぜんぜん違っていて。比べてみると、色も素材感もシルエットも踵部分の傾斜もシュータンのフォントも違う。2025年は「40年間をタイムスリップしてきた」みたいな雰囲気で。2016年の方は現行品というか、マイナーチェンジを繰り返してデザインが徐々に変わってきた結果というイメージ。だからそういった履き分けになるんです。

── ちなみにその2足だと、どっちがお気に入りってありますか?

タフケン: それは難しい…。でもやっぱり、40周年を迎えた今年に「1985年当時のディテールを完全再現する」っていうNikeからの"メッセージ"を受け取るとすると、2025年モデルの方がお気に入りですかね。

"Shattered Backboard"は「2足買ってもいい!」くらいおすすめ

── では2足目の紹介もお願いします。

タフケン: 「Nike Air Jordan 1 Retro High OG "Shattered Backboard" (2025)」です。

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これには本当に強い思い出があって。僕がこの業界で働きはじめたのが2015年で、元からスニーカーは好きでしたけど、当時リリースされた「Nike Air Jordan 1 Retro High "Chicago" (2015)」を買えたことがきっかけで"沼"にドップリとハマったんですよね。で、その少し後くらいに出たのが「Nike Air Jordan 1 Retro High OG "Shattered Backboard"」(2015年モデル)だったんです。でもその時の僕はそれを買えなくて、どんどん値段が上がっていっちゃったんですよね。 "Shattered Backboard"ってOGカラーではないので、当時は「復刻する」って概念があんまりなかったので「復刻なんてしないだろうな…」っていう気持ちで、自分の中でどんどん憧れの存在になっていったんです。

でも、それと同様の方向性のカラーブロッキングの「Nike Air Jordan 1 Retro High OG "Taxi"」が発売されたときに「あれ?なんか"Shattered Backboard"っぽいヤツが出たじゃん」って思って買ったんですけど、それで逆に「やっぱり"Shattered Backboard"が欲しい!」って気持ちになっちゃったんです。

── なるほど。

タフケン: そういう流れもある中で、10年ぶりに復刻されたのが今回の2025年モデルなんです。まぁ2015年モデルとは色味やシルエットが若干変わったりはしているんですけど、それでも"Shattered Backboard"には変わりない。でもなんと今回のモデル、現状だと定価割れしてるんです。僕、これって発売日に定価で買ってます。だからこれを読んでいる皆さん。いまなら僕より安く買えますよ(笑)。

── ということは、本当に超おすすめですね(笑)。

タフケン: 超おすすめです!捉え方や価値観は人それぞれで違うと思うんですけど「定価割れ=不人気なんだ」って考える人もいると思うんです。でも、僕はそれは違うと思っていて「生産数が多かった」ってだけなんですよ。それはつまり作り手側であるNikeの「たくさんの人に履いてほしい!」って意味があるはずなんです。それを「人気ないんだ」って捉え方はしてほしくないし、逆に定価割れしてるいまがチャンスです。

もしこの復刻モデルが2〜3年前に出ていたとしたら。仮定の話なので実際のところはわからないですが、初動で5〜6万円とかの高値が付いていた可能性はあったんです。そんなレベルのモデルが定価割れで買えるなんて、これはもう「2足買ってもいい!」くらいおすすめですね。

あと、僕はこれを履いて読売ジャイアンツの試合を見にいったんですけど、これって「ジャイアンツカラー」ですよね。2015年モデルが出た時も同じようにしてる人たちが居て「うわ〜いいなぁ…」って思ってて、ようやく念願叶いました。それで球場を歩いてたら「あ!タフケンさんだ!」って、ウチのお客様に出会うことができたってエピソードもあって、今年の思い出の1足になりましたね。

オリジナルを大事にしながら、それを再解釈して再構築するようなUNION

── じゃあ続いてもお願いします。

タフケン: こちらは「UNION × Nike Air Jordan 1 Retro High OG "Chicago/Shadow"」です。

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元から「UNION」が大好きなんですよね。AJ1にはいろんなコラボモデルがあるんですけど、その中でも一番好きなのがUNIONのやつなんです。というのも、以前に出た「UNION × Nike Air Jordan 1 Retro High OG NRG "Storm Blue/Varsity Red"」も持ってまして。オリジナルを大事にしながら、それを再解釈して再構築するようなUNIONのデザインテーマが大好きなんです。

この2足はどちらも、AJ1のOGカラーを尊重しつつ、それらを分解&合体したようなイメージ。僕はオリジナルが大好きな人間なので、そういったところの考え方も大好きなんです。だからこちらの "Chicago/Shadow"は今年にゲットした中でもかなりお気に入りの1足ですね。

── そうなんですね。

タフケン: こういうのって他にあまりないんです。というのも、例えばTravis ScottコラボとかだとOGカラーにはないような、これまでなかったような斬新な色使い・デザインがポイントで。そういう「いままでにないモノを創造して作り上げる」ってコンセプトももちろん素晴らしいとは思うんですけど、僕は歴史とか伝統に惹かれるタイプなので、それが込められたUNIONのデザインの仕方が秀逸に感じますね。

再構築して合体してるのに、どこか懐かしい雰囲気もある。そして、そのうえでいまのトレンド感もきっちり押さえたヴィンテージっぽさなんかも出してる。さらになによりお気に入りなのが、途中で色が切り替わってるシューレースで。ChicagoとShadowの2つのカラーを合体しているというコンセプトが、こういったところにも落とし込まれてると思うんです。このステッチを見て欲しいんですけど、分解したものをもう一度合体して縫ってるっていうのを表現してるんですよね。

── こちらはどのくらいの頻度で履いてますか?

タフケン: これはゲットした直後、週に2〜3のペースで履いてました。やっぱりお客様にもおすすめしたいってのがあって、ヘビロテしまくってましたね。それもあって、最近はちょっとお休みしてるんですけど(笑)。

「歴史は絶やしちゃいけないし、風化させちゃいけない」

── そして次が4足目ですね。

タフケン: 4足目は「Nike Air Jordan 5 Retro "Tokyo 23" (2025)」です。

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これってじつは14年前の"伝説的モデル"の復刻版なんですけど、たしか40〜50万円くらいした記憶があるんですよね。当時の僕はこの業界に入ってきたばかりの新人で、その現物を見たことがあったし相場感も知ってたしっていうのもあって、自分の中ではこれって本当に伝説級なんですよね。それがなんと復刻した、と。僕の中では"憧れ"であり"神話"みたいな存在のモデルだったんですけど、やっぱり復刻したら神話じゃなくなっちゃうんです、良くも悪くも。だから、ちょっと寂しいなって気持ちもあります。ただ、当時の僕に「復刻するぞ!」って教えてあげたい1足ですね。

これは"Tokyo 23"って名前がついてる通り、2011年当時は日本限定でリリースされたんですけど、デザインには「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」のXBSさんが関わってたといわれてます。なのでこれは日本発で世界的に伝説になったモデルで、今回の復刻を店頭で購入されている方のほとんどが海外のお客様です。

── それは知らなかったです。

タフケン: 何度も言いますが、これってやっぱり神話・伝説だなと思っていて。今回の復刻みたいなことって、今後はなかなかないと思うんです。当時を知らない人からしたら「なんのこっちゃ?」って感じだと思うんですけど、僕や僕より上の世代からしたら、次の若い世代に引き継がないといけないなって。スニーカーヘッズの"たすき"を繋ぐというかね。歴史は絶やしちゃいけないし、風化させちゃいけない。だから「昔、日本限定の伝説的なジョーダンがあったんだよ」「でもそれが14年ぶりに復刻したんだよ」「そして伝説が復刻することなんて、まずないんだよ」ってことを繋げていきたい。

当時のモデルは現物を見たことはあるけど触ることすら恐縮しちゃうようなモノだったんです。それが今回の復刻で、みんな手に取れるようになった。それが、正直寂しい気持ちもあります。でもそれに触れることができるのが、どれだけ幸せなことなのかって。今後、このようなことってなかなかないですからね。なので「AJ1じゃないジョーダンがほしい」「AJ5が気になるな」もしくは「黄色のスニーカーがほしいな」「派手な靴がほしいな」って人に、ぜひおすすめしたいです。

── これはどういった感じで履いてますか?

タフケン: 僕、じつはまだゲットしてから2回しか履いてなくて(笑)。でも色合わせのコーデが好きなので、キャップとかトップスとかボトムスとかにワンポイントで黄色のアイテムを入れるときに色を合わせて履いてます。あとは全身暗い色にして、足元が主役のコーデもしてみたいなって思ってます。

シンプルにスタイリングのしやすさの面でもおすすめしたい

── では最後の1足を紹介してください。

タフケン: 最後は「UNDEFEATED × Nike Air Jordan 4 Retro "Deep Green" (2025)」です。

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いまも履いていますが、先ほどの"Tokyo 23"と話の内容はほぼ同じになると思います(笑)。というのも、これも同じく伝説なんですよ。元は2005年にリリースされたモノなんですけど、とんでもないレアアイテムで。一応、世の中に流通はしてたんですけど、当時の相場ってたしか200〜300万円とかだったんです。だから、それがまさか20年の時を経て復刻するなんて思ってなかったんですよね。

AJ4ってジョーダンシリーズの中でも人気が高くて、日本ではおそらくAJ1の次くらいのレベルじゃないかなって。だから4を手に取る人ってめちゃくちゃ多いんです。そういった人たちに僕は「伝説的なモデルが復刻したんだよ」って、その歴史なんかを次世代のスニーカーヘッズにつないでいきたいです。

── そういった強い思いがあるんですね。

タフケン: あとは単純に、この配色って渋いですよね。超かっこいい。迷彩に合わせてあげたりすれば、秋冬のスタイリングにめちゃくちゃバッチリはまるんです。というのも、このカラーリングってMA-1ジャケットのイメージですよね。オリーブにオレンジの掛け合わせ。

あとはシュータンのジャンプマンロゴ部分のパーツが取り外しできるのもおもしろい。僕はあえて剥がして履いてますね。というのも、これは購入を検討されてる人への豆知識なんですけど、このパーツの素材がかなり強くて、シューレースに被るように履いてしまうと紐がボロボロになる可能性があります。僕の私物、デフォルトの黒紐はすでにボロボロです(笑)。

── そうなんですね(笑)。

タフケン: でもやっぱり、これは配色がとにかくかっこいい。オリーブ色をまとったジョーダンって、ゼロではないですがほぼないんですよね。でも冬のスタイリングに間違いなくはまるし、夏のコーデにだって合わせられると思うんですよ。例えばオレンジが主体のコーデに合わせるとかね。だから伝説の1足っていうことはもちろんあるけど、シンプルにスタイリングのしやすさの面でもおすすめしたいです。

当時は「絶対に手に入らない」と思っていたモノが手に入れられた、幸せな一年

── この記事を読んでくれた人へのメッセージはありますか?

タフケン: スニーカー好きな人たちだけじゃなく、日本中の人たちに伝えたいんですけど「スニーカーブームって最近はちょっと落ち着いてきてるよね」って言葉がいろんな方面から聞こえてきますよね。でもトレンドやブームって回るものなので、絶対にまた訪れるんですよ。それが何年後かはわからないですけど。例えば洋服のサイジングでも、オーバーシルエットでもスキニーめなシルエットでも流行り廃りを繰り返してますよね。ということは、スニーカーブームだって間違いなくまたくるんです。そのころになったら今回紹介したモデルたちってどうなっちゃうの?って話なんですよね。いま現在、定価割れしてるモノだってまた注目されるはずなんです。ということはブームが落ち着いたいまがチャンスなんですよね。

だからブームやトレンドで(そのモデルの良し悪しを)判断するとか、それで買い控えするとか。「いまは流行してないから買わなくていいや」ではなくて。僕は、真のスニーカーヘッズこそ、いま買ってるんじゃないかなって。来年はどうなるかわからないですし、いまがチャンスだと思います。

今年は本当に豊作でしたしね。僕はこの業界で10年以上は働いてますけど、過去の伝説モデルが復刻するなんていままでなかったですよ。例えばAM95のイエローグラデなんかは、95年当時から存在していて、定期的に復刻されているんです。要は「復刻するのが当然」みたいなモデルでもある。あとはAJ1の"Bred"だって同じで、仕様はいろいろ変わりますけど歴史あるモデルだから絶対に復刻するんです。

でも"Tokyo 23"とかはそうじゃないはずだったのに、異例の復刻を遂げた。今年はそういったムーブメントがあったんです。だから2025年は歴史と伝統が復刻されて、当時は絶対に手に入らないと思っていたモノが手に入れられた、幸せな一年でした。

タフケンが2025年にゲットした「Best エアジョーダン」5足をピックアップ!の定価/発売日/品番

ブランド エアジョーダン(AIR JORDAN)
モデル エアジョーダン1 ハイ(Air Jordan 1 High)
発売日 2025年7月29日
定価 ¥26,950(税込)
スタイルコード DZ5485-008、HV6674-067、HV8563-600、IB1519-200、IO3372-700

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