ユーズドのSB Dunkに特化したスニーカーショップ「askate」がオススメする7足とは?について
スニダン初のユーズドイベント「USED FASHION MARKET」が、2025年2月22日からオンラインとフラッグシップストアで開催される。このイベントの開催を記念し、スニダンメディアでは今回出店する3ショップにインタビューを敢行。第1弾は、NikeのDunkに特化した人気リセールショップ「askete」の店主である奥山恭氏。askateの成り立ちや、Nike SBにハマったきっかけ、今回出品するおすすめのスニーカーについて話を伺った。
プロフィール
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Kyo Okuyama / askate 店主
Instagram:@kyo_okuyama、@askate_shop
学生時代からストリートカルチャーに熱中し、社会人になってからはスニーカー業界などを経験。2019年、原宿にDunk、SB Dunkに特化したリセールショップ「askate」をオープン。2024年中頃に「自分の地元にお店を出す」という夢を叶えるため、原宿店をクローズ。2024年12月に練馬に移転オープンした。
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フィジカルで知識を蓄えた生粋のSB Dunk好きがオープンしたリセールショップ
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ーはじめに、askateについて教えてください。
お店としてはリセールショップで、二次流通の商品を扱っています。一応古着だったり、アパレルだったりもあるんですけど、大半はシューズ。メインは「Nike(ナイキ)」のスニーカーです。中でもモデル的にはDunk(ダンク)、特にSB Dunk(SBダンク)が人気ですね。
ーなぜ、askateではDunkが人気なんですか?
オープンのときからDunkのSBシリーズに力を入れているんです。中でも古いライン。いわゆる現行で出ているところではなく、SBができてすぐの2002年、2003年のモデルとかですね。もっといえば、SBができる前、SBになる直前のプロトタイプのようなモデルも置いていたりします。
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ーそこまで古いSB Dunkを取り扱っているお店は珍しいですよね。
古いDunkはお店をやる前から、元から好きで集めていて。2010年代のスニーカーブームのとき、バッシュや、オフホワイトのコラボ、イージーなどが流行っている中でも、自分はちょっと古い、当時ブームもきていない安いボロボロのDunkを履いていましたね。あと、その頃はDunkに限らず、古いAir Maxや、加水分解ぎりぎりのジョーダンとかも履いて。古いものが好きなんですよね。
ーSB Dunkは発足当時から履かれていたんですか?
実は僕がスニーカーを好きになったタイミングが大体2012年くらいなので、SB Dunkがスタートした2002年当時のことはリアルタイムでは知らないんです。だから、SB Dunkを好きになってからは10年遡って勉強しました。今となってはウェブで品番やモデル名を入れたらすぐに情報が出ますが、当時はもう全然でなくて。だから、海外の雑誌とか、自分が横ノリ好きなのでスケートビデオを見たりして勉強しました。あとは地元にある古着屋さんにたまたま置いてあった見たことない古い品番を調べて、写真を撮って、自分で探して、みたいなのを繰り返して。本当フィジカルで何年もかけて知識を蓄えていった感じになります。
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古いSB Dunkは化石探し?歴史が"地層"のようになっている
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ーそこまでハマるSB Dunkの魅力とは何だと思いますか?
まず古ければ古いほど珍しいこと。去年、一昨年のモデルが落ちているのは当たり前として、10年前、20年前のモデルがあるっていうのがやっぱりすごいなって。だから、最初は化石探しじゃないですけど、できるだけ古くて見たことがないものを安く集めるってところから始まっています。一足だと分からないんですけど、年代順に追って集めていくと、その地層が厚いことが分かる。本当に歴史が地層のようになっているというか。それを見ていくのが、個人的には一番面白いところかなと。例えば年代によって箱が違うとか、作りが違うとか、仕様が違うとかですね。
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ーaskateがオープンした2019年には、SB Dunkに特化したリセールショップは少なかったように思います。
実際に少なかったと思います。原宿でも当時は古いDunkにスポットを当てて出しているお店はほとんどなかった。それこそ老舗のリセールショップとか、幅広く扱っているお店にちょこっと置いてはするんですけど、原宿にはHYPEなお店や流行りものを扱うお店が多いので、古いSB Dunkとか、昔のDunkは売ってなかったですね。当時は「大丈夫?」的な声も結構ありました。「こんなに変な靴ばっかり集めて、お店として平気?」みたいな。
ーSB Dunk自体がそこまで評価されてなかった頃というか。
されていないですね。とはいえ、2018年にはSBで明らかにHYPEなモデルが出始めていて。今みたいに何でも何万、何十万になるわけではないけど、少しずつ、流行りものが好きな客層にSB Dunkに目を向けさせるようなアプローチが進んでいたなのかなと。流行る前兆というか、これから来るんだろうなという確信はありました。
古いモデルの魅力は実際に触れてみてこそ伝わる
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ー今回「USED FASHION MARKET」に参加されることになったきっかけは何だったんでしょうか?
スニダンのアプリやサービスはもちろん自分も目にしていて、すごく良いサービスだなと思っています。ただ、新品の流行りものには強いけど、ユーザーが多いわりにユーズドだったり、昔のモデルだったりの取り扱いはまだ少ないのかなと。個人的にはそれがすごくもったいない気がしていて。だから、そっちのジャンルに強い自分が一緒にやれば、かゆいところに手が届く感じになると思ったんです。
ースニダンのユーザーにもユーズドの良さを知ってほしいと。
新しいモデルしか知らない人でも、実際に触れてみると古いモデルの魅力も意外と伝わるのかなと。そこからハマる人も多いですし。うちのお店には流行りものが好きで集めている人はなかなか来ない。流行りものが欲しい人は僕らのお店じゃなくて、他に行くと思うんです。ただ、わざわざ自分のお店に来てくれるのは、そこでは扱っていないモデルが見たい、触りたいという人が多いと思うので、そういう人たちが飽きないようにモデルを探しつつ、求めつつ、一緒に楽しめるようにやっているので、今回のイベントでそこがうまく噛み合えば面白いですよね。
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USED FASHION MARKETで買える、おすすめのユーズドDunk 7足
Dunk Low "CITY ATTACK"
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今回は90年代後半のDunkや、SB初期の2002〜2003年とかの古いものから、2018年くらいまでに絞って出品します。まず今回一番古いモデルはCity Attackシリーズからリリースされた、通称「裏ダンク」と呼ばれる、99年のモデルです。元々ダークカレーというカラーがあるんですけど、このモデルはその配色を反転させています。26年前のモデルがこの状態で出てくるのは奇跡に近いというか、すごくラッキー。最近また復刻が出ましたが、復刻はヒールのNIKEロゴが刺繍になっていたんです。でも、オリジナルはエンボスだし、革質やシュータンに使われている素材、シューレースの素材感とかも違う。僕は同じデザインが再販されただけで、物としては全く違うと思っています。
あと、当時のボックスにも注目です。これはSBではない通常のレギュラーのNike Dunk Lowなんですけど、この箱が使われている時代は割と限られています。古いDunkといったら茶色とオレンジのイメージですが、それより前なのがこれです。おそらく98〜99年まで使われていたもので、赤黒でブレッドカラーみたいな。当時DunkはジョーダンみたいにHYPEなシューズとして扱われていなかったこともあって、箱や本体がボロボロで出てくることが多いんですが、これは箱も本体の状態もかなりいいですね。
商品ページはこちらDunk Low Pro B "Light Stone"
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次に紹介するのは、通称"プロB"と呼ばれているシリーズです。これも最近SBから出ていましたね。プロBっていうのは、SB Dunkができる前にリリースされていた、通常の紐ではなくオーバルの丸紐で、シュータンが厚いDunkのこと。後にSB Dunkでオーバル、厚タンが出てくるので、SBシリーズのプロトタイプというか、第0世代みたいなものかなと思っています。
作られているモデルと期間が限られているので、数も少なく、マニアからするとちょっと熱い一足です。このシリーズは2〜3年くらい出てたんですけど、その中でも丸紐もあれば平紐が使われているタイプもあったりと、ちょっとややこしいんです。ただ、これはSBができるぎりぎり一歩手前で出ていたモデル。本当にプロトに近いモデルです。
商品ページはこちらDunk Low Pro SB "Supreme"
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モデルの品番が「Nike Dunk Low Pro」から、正式に「Dunk SB」に変わるようになったのが2002年です。その一発目として日本でリリースされたのが、SupremeのDunk。今ではコラボモデルとなるとブランド名や、柄、品番などがバンバン入りますが、当時はなかなか入っているのがなかったんです。一発目に出たSupremeでさえも、みんな「Supreme Dunk」として知っているからこそ分かるだけで、箱にも品番にもSupremeなんて文字は入っていない。知らない人から見たら、レギュラーのDunkに見えるってところがすごく好きなところの一つですね。
あと、この黒いセメントは多分2002年まではジョーダンブランドにしか使われていなかったと思うんですけど、それがDunkに落とし込まれたのも面白い。さらに最初に落とし込んだのがSBで、Supremeっていうのも良い。手探りの状態で始めたSB Dunkの第一世代というのも含め、カルチャーとしてもすごく大切にしていかなきゃいけない一足だなと。今となってはとんでもない金額になっていますが(笑)。
※FLAGSHIP STORE店頭で展開される商品となります
Dunk Low Pro SB "BISON"
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バイソン、通称"つま赤"も自分が大好きなモデルです。今だからこそバイソンという名前で呼んでますけど、当時は色で呼ぶことが多かったんですよね。カレッジーカラーも今だとミシガン、アイオワとかって呼ぶけど、当時は紺黄とか黒黄とかって呼んでいて。それでバイソンも当時は"つま赤"って呼んでましたね。あと、これはSBラインとして初めてのオリジナルボックスであるシルバーボックスに入っています。通称"銀箱"と呼ばれているのですが、これは大体2003〜2004年に流通していたもの。この頃のモデルは、品番にSBとは入っているけど、本体にSBのアイコンなどは使われていないんですよね。
商品ページはこちらDunk High Pro SB "KENTUCKY"
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"銀箱"の次、2004〜2005年に流通していたピンクボックスの時代から、ようやくDunkのタンに、今では当たり前になっているスウッシュの右下にSBと入るアイコンが使われます。この時代でおすすめなのが、2005年にDunkの誕生20周年を記念して発売されたカレッジカラーシリーズ。これはケンタッキーですが、当時はシラキュースやアイオワなども出ています。レギュラーのシリーズで出ていたモデルが20周年を記念して、初めてSBで登場したっていうメモリアルな一足ですね。カレッジカラーが正式にSBで出たのは唯一このシリーズのみ。このモデルの発売からさらに20年経っているというのも面白いポイントです。ただ、さらに面白いのが、この時代はまだ箱にはSBのロゴが使われていないところ。
商品ページはこちらDunk Low Pro SB "MEDICOM 4"
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2006〜2007年くらいには、黒紫のボックス(現在は通称ブラックボックス)が流通します。この黒箱時代になってやっと箱にもSBのロゴが入ってくる。年代別の箱だけ見ても、ラベルの印字されているシールや、色、表記方法も全然違っていて面白いし、自分からすると白米食えるレベルです(笑)。
で、これはおもちゃのベアブリックなどを作っているメディコム・トイの10周年を記念して作ったコラボモデル。当時からメディコム・トイとSBはちょくちょくコラボしていて、この時点で4作目になります。今だとヒールサイドにベアブリックのマークが入っていたりするけど、これは外聞からでは誰がデザインしたかは分からない感じが良い。インソールだけは特別仕様で10周年の「X」が入っているけど、箱にはメディコムって入っていないし、デザインもメディコム感はあまりないんですよね。当時のこの匿名性が良いなと。
商品ページはこちらDunk SB "PUSHEAD"
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最後は、スペシャルボックス仕様になっているパスヘッドのDunk。デザインアーティストのパスヘッドが2作出しているうちの1作目、通称パスヘッド1です。ピンクボックスの時代に出ているモデルなんですけど、さきほども言ったように、当時はボックスやモデルの柄を変えるっていうのは珍しかったんです。これは箱からパスヘッドデザインのスペシャルボックス。インソールも梱包紙も全部デザイン入り。付属のタグカードもパスヘッドのデザインで、今までにはない落とし込み方をしている。あと品番も「Nike SB Pushead」になっているんですが、当時デザイナー、もしくはメーカー名が品番に入るなんてなかなかなかった。この時代の中では異質というか、すごすぎる一足です。作りももちろんなんですけど、デザインも好きですね。
商品ページはこちらShop Information
askate
住所:〒176-0021 東京都練馬区貫井1丁目37-4
営業時間:12:00〜20:00
定休日:火、水、木
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