"腕試し"のつもりで描き始めて19年。人気作家『BRIDGE SHIP HOUSE』の現在地とは?

発売前にXでお知らせ!

このスニーカーの追加情報や購入方法を発売前に公式Xでポスト中!

"腕試し"のつもりで描き始めて19年。人気作家『BRIDGE SHIP HOUSE』の現在地とは?について

ポップなタッチで描かれる"Matthew(マシュー)"などのキャラクターが人気を博す『BRIDGE SHIP HOUSE(ブリッジシップハウス)』。親しみやすさだけでなく、観た者にどこか消化しきれない違和感を抱かせるような作風がじわじわとクセになるアーティストだ。

高校2年生のときに「腕試しのつもりで応募してみた」というデザインフェスタに出品して以来、19年にわたり自身の方法論を模索してきた。10代で早々とアーティストを志した理由、そして代表作のマシューが生まれる時に考えていたこととは? 東京・拝島にあるご本人のアトリエで話を聞いた。

BRIDGE SHIP HOUSE

インディペンデントアーティスト。主にブラシを使い、オルタナティブコミックやアートトイに影響を受けた作風でインナーワールドを描く。都内のアトリエにてアートワークやグラフィックデザイン、撮影を一人で行っている。“Matthew”という4つ目のウサギが代表的なアイコン。
Instagram:@bridge_ship_house

  • ▶BRIDGE SHIP HOUSE×SNKRDUNKのPOPUP情報はコチラ

  • "絵を描く"と決めたときの原風景。「可能性が低いからこそ早く試したかった」

    「絵はひとりで描けますから。ひとりで決断してひとりで行動できる。当時の私にとって、絵を描くことは一番速く走れることのように思えたんです」。

    さまざまなペインティングやグラフィックデザイン、造形物まで幅広く手がけるBRIDGE SHIP HOUSEさんに、自身の活動を始めたきっかけを聞くとそんな答えが返ってきた。進路を決めたのは高校2年生の時。その選択には家業である和菓子屋の存在が関わっていたそうだ。

    「実は私はあんこが食べれないんです。なので、自分が和菓子屋を営むのは難しいだろうなと思っていました。親から店を継いでほしいと言われた記憶は特にないのですが、祖父や父も当たり前のように継いできたことを考えると、『自分も継がなきゃいけないよな…』と思う気持ちは幼少期からずっとありました。それをどこかで重荷に感じていた部分も正直あったのですが、高2の時に店を継ぐことを諦めた瞬間、やりたいことがバーっとあふれてきたんです。もう片っ端からやりたいことを試してみようと思いましたね」

    自身のアーティスト名である"BRIDGE SHIP HOUSE"は実家である和菓子屋の屋号をアレンジ。創作への憧憬と家業への思いが入り混じった当時名付けたものだ

    特に絵を描くことと音楽を聴くことが子供の頃から大好きだったと話すBRIDGE SHIP HOUSEさん。とはいえ、大学に進学して就職するという現実的な選択肢に比べて、絵や音楽のみで生計を立てるイメージは湧きづらいのも事実だ。まだ自分の適性を見極めづらい10代であれば、なおさらだろう。そんな中、BRIDGE SHIP HOUSEさんは実現する可能性が低いからこそ、挑戦するなら早いほうがいいと考えたのだという。

    「一回腕試しみたいな感じでデザインフェスタに出してみようと。そこで赤字になるようであれば、絵はスパッと諦めて違うことをやろうと思っていました。結果、出店してみたら楽し過ぎましたね。自分が作ったものを好きと言って買ってくれる人がいるし、その場をきっかけにして仕事を振ってくれる人もいる。黒字で終えられただけでなく、その体験は自分の中ですごく自信になりました」


    世にある無数の選択肢の中から"絵を描く"ことを自分の生業として選び取る。そんな決断をするためには、自分にとっての指針となるロールモデルの存在も欠かせない。BRIDGE SHIP HOUSEさんの場合は、高校の美術室で何気なく見かけた雑誌の中にその存在を認めたようだ。

    「当時見かけた美術手帖のバックナンバーの中に、カウズやグルーヴィジョンズの特集号があったんです。あんなポップなグラフィックを描いていて、しかもそれを職業にする人がいることに衝撃を受けました。当時大好きだったリップスライムのジャケットやPVの多くもグルーヴィジョンズが手がけていたことを知り、『あれもこれもグルーヴィジョンズじゃん!』みたいな。これまで漠然と捉えていたデザインやビジュアルはすべて誰かが作って世に送り出しているという当たり前のことが、自分の中ですごく繋がった感覚がありました。自分もそんなモノを作る側になれるかもと思ったら、すごくワクワクしたのを覚えています」


    "ひとりでいる"ことへの肯定。代表作マシューが生まれるまで

    そんなBRIDGE SHIP HOUSEさんの代表作と言えるのが4つ目のウサギを描いたキャラクター"Matthew(マシュー)"だ。単にかわいいという言葉だけでは形容しきれない何かを感じさせるマシューは、一朝一夕で生まれたキャラクターではない。ずっと好きだったと話すディズニーのアニメやカートゥーン、オルタナティブコミックなどから受けた影響を咀嚼しながら長年描き続ける中で生まれたのだという。そのトンネルのような時間の中で、アーティストは何を考えているものなのだろうか。

    BRIDGE SHIP HOUSEの代表的なアイコンであるマシューは、ペット以上友達未満であるサボテンの"Morris(モーリス)"とともに街から外れた丘に住み、屠殺を生業としている異形の静かな労働者。本来群れて暮らす生物であるウサギが誰とも関らず独りに没頭する姿を描いている。

    「単に誰かの依頼を受けて描くだけでなく、自分のアイコンになるようなキャラクターを作る必要があることはずっと考えていました。それこそカウズの"コンパニオン"もそうですよね。ひと目見ただけでその作家の個性がすぐに伝わるようなキャラクター。そんな存在を生み出すためには、作家である私自身が10年や20年の年月を経ても変わらない部分を抽出して形にする必要がありました。その変わらない部分を見極めるのに7、8年くらいかかりましたね」

    「分かりやすく言えば、パッと見は人気者のミッキーを思わせるようなルックスだけど、実はそっち側じゃないキャラクターを形にしたいなと。その理由としては『人は常にみんなに囲まれている状態こそが幸せなのか? いや、そんなことは絶対ない』と私自身が普段から強く感じていたからです。誰かと楽しく過ごせる自分がいる一方、やりたいことを貫くために孤独になってしまう自分も経験してきました。"ひとりでいる"という状態は、決して寂しいことや惨めなことではないと思う気持ちがすごく強かったんです」

    アトリエにはこれまで製作されたマシューのフィギュアの数々がディスプレイされている。本来は多頭で生活するうさぎはフィクションにおいても家族などの集団で描かれることが多いが、マシューはあくまで"ひとり"だ

    作家として大事にすること。誰かの「どうしてだろう?」と向き合い続ける

    鑑賞者に単なる愛らしさ以外の印象を感じさせるマシューの存在の奥に見えるのは、BRIDGE SHIP HOUSEさんの作家としてのあり方そのものだ。さまざまな受け取り方をする鑑賞者と作品を通じてコミュニケーションが取れるように、その細部まで考え抜いているのだとか。

    「ちょっと分かりづらいですが、マシューが右腕にコーンブレスを付けているのは彼に人格があるからです。装飾品があれば、本人の意志によって望んで付けているという解釈ができるようになりますよね。また足にスネ毛を描き込むことによって、彼が子ウサギではなく成人していることも示せます。マシューは子どもなのか、大人なのかと疑問に思った人がたどり着くためのディテールですね。『どうして自分はこのキャラクターに惹かれるんだろう?』と誰かが一歩踏み込んで考えてくれた時にちゃんと答えられるものを作りたいんです」

    以前リリースされたフィギュアにも思わず見入ってしまうマシューのディテールは再現されている

    デフォルメされたキャラクターながら、マシューのどこかに人間味を感じるのはそんなディテールを丹念に積み重ねているためだろう。観賞者が自分と重ねて捉えることができるキャラクターを生み出すために、BRIDGE SHIP HOUSEさんはその独特の"テンション"も大事にしている。

    「一般的に目がたくさん付いたキャラクターはモンスターとして描かれることが多いのですが、そうなると別のレイヤーになってしまう気がするんです。嫌いなテイストではないのですが、自分としてはやや居心地が良くないなと。自分にとってはモンスターではなく、あくまで変わり者のひとりとして描くほうが心地いいんです。ペットでもなければモンスターでもない、あくまで人間と同じ誰かとして見てもらえるようなテンションは意識しています」

    「そういったことが観た人すべてに伝わるのは難しいと思います。それでも作家側がどういうつもりで描いているのか、そしてどれだけその意図を貫けるかはすごく大事だと思いますね。ブレてしまうとキャラクターを描くだけの人になってしまいますから。そこを大事にすることこそが『自分は作家なんだ』と踏みとどまっていられるラインなんだと思います」


    BRIDGE SHIP HOUSE POPUP EXHBITION "ashidan"が8月31日(土)から開催!

    そんなBRIDGE SHIP HOUSEさんのポップアップ展「ashidan」がスニーカーダンクの各ストアにて開催される。今回のポップアップはスニダンに因んで足にフォーカス。"ウサギの足ダン(スタンピング)"をテーマにした新作原画を展示販売する。


    また期間中は実に4年ぶりとなるマシュー&モーリスのソフビのブラックカラーを再販する他、今回のために製作したスニダン別注カラーやExclusiveアイテム3種も販売する予定だ。ポップアップはスニダンフラッグシップストアを皮切りに、スニダン名古屋店、スニダン南堀江店の3店鋪を巡回するので、チェックしてみてはいかがだろうか。

    ポップアップ情報

    開催場所:SNKRDUNK FLAGSHIP STORE
    〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-32-13 JPR神宮前432ビル1F・B1F
    開催期間:2024年8月31日(土)〜9月8日(日)
    営業時間:11:00〜20:00
    Instagram:@snkrdunk_flagship_store

    開催場所:SNKRDUNK NAGOYA PARCO
    〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄3丁目29-1 名古屋パルコ西館 2F
    開催期間:2024年9月14日(土)〜9月22日(日)
    営業時間:10:00〜21:00
    Instagram:@snkrdunk_nagoya_parco

    開催場所:SNKRDUNK MINAMIHOIE
    〒550-0015 大阪府大阪市西区南堀江1-25-1 Wave on Horie Tower 1F
    開催期間:2024年9月28日(土)〜10月6日(日)
    営業時間:11:00〜20:00
    Instagram:@snkrdunk_osaka_minamihorie

    BRIDGE SHIP HOUSE POPUP EXHBITION "ashidan"をチェックする

    新着投稿

    みんなの投稿をもっと見る

    写真や雑談を投稿

    今日の人気記事

    新着記事

    この記事を見ている人は、こんなスニーカー・アパレルも見ています