「サングラスの選び方」に正解はある?人気ブランド「A.D.S.R.」が基礎知識から顔型別に似合うモデルまで徹底レクチャー|コラムについて
夏に必須のファッション小物といえば「サングラス」。ただこれは、初心者にとっては「選び方の基準が難しい」「自分に似合う形が分からない」など、最初の一本を買うまでのハードルが高いアイテムであるのも事実だ。
そこで今回は、人気アイウェアブランド「A.D.S.R.」にサングラスの選び方をレクチャーしていただくべく、2023年の6月にオープンしたばかりの「A.D.S.R. TOKYO」を訪れた。フレームの種類から顔型別に似合う形、レンズカラーの違いに至るまで、サングラスに関するさまざまな疑問について幅広く聞いていくので、サングラスを探している方はぜひ参考にしてほしい。

A.D.S.R.(エーディーエスアール)
児島 充により2010年に設立された日本のアイウェアブランド。従来の眼鏡ブランドとは一線を画す存在として、音楽を背景に様々なカルチャーを取り入れ、タイムレスでミニマルなデザインや現代的なアプローチを一貫して追求し、性別や世代を超えて圧倒的な人気を誇る。大阪の直営店に続き、2023年の6月には2店舗目となる「A.D.S.R. TOKYO」を東京・表参道にオープン。
音楽と密接に結びついた「A.D.S.R.」
「A.D.S.R.(エーディーエスアール)」――。ここ数年、サングラスを探しているとそのミステリアスなブランド名を耳にする機会が増えた。名前の由来は音をコントロールするパラメータ「Attack(アタック)」「Decay(ディケイ)」「Sustain(サステイン)」「Release(リリース)」の頭文字であり、デザインにおける様々な要素を繊細にコントロールし生み出していく思いが込められており、アイウェアの素材や色、フォルムを音作りの要素に重ねているのだとか。

今回は、そんな同ブランドのプレスを務める石川ふう氏に話を聞いた。
「従来、サングラスは眼鏡専門店で選ぶものでしたが、『A.D.S.R.』はアパレルショップで平行で取り扱ってます。よりファッションやカルチャーに寄ったアイウェアブランドですね。名前のとおり、音楽に強く紐づいたブランドでもあるので、うちに集まるスタッフはみんな音楽好き。東京店の店内にはDJ機材があって、うちのスタッフがプレイすることもよくあります。ここが他のサングラスブランドのショップとはちょっと違うポイントかもしれません(笑)」
サングラスのデザイン・ソースとして、ある音楽ジャンルの代表的なアーティストにフォーカスしてそこからイメージを広げていくのも「A.D.S.R.」の特徴だ。例えば「グランジを確立したカート・コバーンがかけていたモデルを『A.D.S.R.』らしくアプローチするなら?」などの発想から、シーズンのデザインが始まることが多いという。定番のモデルを残しつつ、春夏と秋冬に新モデルと新色をそれぞれ5型ほどリリースするのが毎年の通例。ちなみに今期のテーマは“ミクスチャーロック”だ。

素材×形状で整理。サングラスのフレームは6種類
シーンのトレンドをいち早く反映したシーズンモデルも気になるが、まずは一般的なサングラスの「フレームの種類」を押さえておきたい。フレームの素材や形はいくらでも細分化できてしまうものだが、石川氏によれば、3つの素材と2つの形だけ覚えればOKだという。
「アイウェアに使われる素材は主にアセテート(プラスティック)、メタル(金属)、コンビネーション(プラスティックと金属の組み合わせ)の3種類に分けられます。その素材と掛け合わせて考えるのがフレームの形状です。フレームの形はラウンド(丸い)、スクエア(四角い)の2種類。つまりサングラスのフレームは3×2の6種類が存在することになります」



「お客さんから『ウェリントンとスクエアの違いは何ですか?』と聞かれることがよくあるのですが、それらは“違う”ワケではないんです。スクエアというカテゴリーの中にウェリントンが含まれるイメージですね。大きく捉えれば、逆台形のウェリントンは四角い形のフレームですから。その一方、ラウンドというカテゴリーの中に含まれる代表的な形がボストン。丸みを帯びた逆三角形型が特徴的で、楕円っぽいオーバルや変形したティアドロップもラウンドと捉えると分かりやすいと思います」

卵型、面長、丸顔、etc… 顔型別の似合うモデルを検証
フレームの種類を把握したところで、自分の顔型に似合うモデルを把握しておこう。決して顔型だけが似合うか否かを決める要素ではないが、一般則としては知っておいて損はない。卵型、面長、丸顔に似合いやすいモデルを教えていただいた。
1.卵型タイプ
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「まず卵型の顔は、カバーすべきポイントがないので、基本的にどんなモデルでも似合います。強いて言えばサイズ感だけ気をつけたいですね。顔の横幅にフィットするものを選んでください。今回は『A.D.S.R.』らしい個性的なモデルをかけてもらいました。最近はオークリーのスポーツサングラスなどが流行っているので、その要素をアセテートで表現しています。ハイカーブと呼ばれる視界が広いタイプで、スクエアから派生した形ですね。海外ブランドだとどうしても鼻のフィットが合いづらかったりするのですが、これは日本人に合うサイズ感に調整してます」

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2.丸顔タイプ
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「女性の方は、一般的に丸顔に分類される方が多い傾向があります。丸顔の場合は顔の横幅をカバーしたいので、フレームのワイズ(横幅)が広いスクエア型が似合いやすいですね。逆に似合いにくいのはティアドロップなどの丸くて大きいフレームや、本当に真ん丸の玉型(レンズの形)。この『ANGELO』というモデルは一見丸く見えますが、玉型で見るとスクエア型に分類できます。スクエアとはいえ、角の部分に丸みを出しているので角ばった印象はなく、使いやすい一本です」

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3.面長タイプ
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「丸顔の方が顔の横幅をカバーするのに対して、面長は顔の縦幅をカバーするイメージです。似合いやすいのはウェリントンの形ですね。うちで大振りのウェリントンに近いのはこの『KEITH』というモデル。フラットトップと呼ばれるフレームの上部が直線に近いのもポイントです。サングラスはトップ部分がしっかり眉毛にかかるものを選ぶと、クールな印象を演出できます。フレームの縦幅があるタイプを選べば、ラウンド型のフレームも似合うと思います」

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眉毛と黒目のバランスにも要注目。万人に似合う形は"クラウンパント"
サングラスが似合うかどうかを決定づける条件は、顔型以外にも存在する。サングラスを違和感なく掛けている人は、その条件をクリアしたものを選んでいると言えるだろう。石川氏によると、フレームの上部と眉毛のバランス、黒目の位置がポイントになるそうだ。

「顔型に合わせて選ぶアプローチはもちろん有効ですが、眉毛とのバランスもすごく大事。というのは、眉毛のラインとフレームのトップの形が沿っていると、顔馴染みがぐっと良くなるんです。例えば、眉毛のラインがまっすぐな平行眉であれば、トップもまっすぐなラインに近いスクウェア型がかっこよく掛けられます。逆にやさしい印象のアーチ眉であれば、サングラスのトップに眉毛のラインが重なりやすいラウンド型が似合います」
「その際、眉毛とサングラスのトップの間隔は空き過ぎないものを選びたいですね。この着用スタッフくらいのバランスだと、男性でも女性でもきりっとして見えるはずです。あとは人によって、求心顔や遠心顔などで変わってくるのですが、黒目の位置がレンズの真ん中、もしくは少し上くらいに来るのが自然。瞳が透けない真っ黒のレンズを選ぶ際はそこまで気にする必要はありませんが、カラーレンズやクリアレンズを選ぶ際は重視すべきポイントですね」

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まとめると、サングラスを選ぶ上でのポイントは顔の形、眉毛とのバランス、黒目の位置の3点となる。それらを踏まえるべきではあるが、一方で比較的多くの人に似合いやすい形も存在する。それはここ最近、眼鏡屋やセレクトショップでもよく見かけるようになった“クラウンパント”と呼ばれる形だ。
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「クラウンパントはブランド問わず、リリース量が増えていますね。クラウンパントが万人に似合いやすい理由としては、トップの形が特徴的だからなんです。直線的なトップは平行眉の方に似合う上に、トップの角が取れているのでアーチ型の眉にも馴染みやすい。天地幅(レンズの縦幅)が広く、角ばった部分もあるので、面長の方にも丸顔の方にもおすすめできます。『A.D.S.R.』の中では、『SATCMO』がそのひとつ。うちでもシグネイチャーモデルみたいになってます。いろんな人の顔の要素をカバーできる上に、新鮮味もある。万人に合うユーティリティーな形なんじゃないかと思います」

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"天地幅"が狭いスクウェアがトレンド。レンズは薄めのカラーが継続して人気
ここからは、よりトレンドを意識したサングラスも紹介していく。アイウェアのシーンでは今どんなフレームが注目されているのだろうか?ひとつの流れとして、天地幅(縦幅)が狭いフレームのほうが今っぽく見えるのだそうだ。

「数年前まではボストンのようなラウンド型が主流でしたが、海外を中心にスクウェア型をちょっと下げて掛けるようなスタイルが広まってきています。その中でも大ぶりなものよりは天地が低かったり、フレームが細かったり、シャープな印象のスクウェア型が今っぽい雰囲気になると思います。ビッグシェイプも逆のトレンドとして存在するのですが、一般の方が手に取るのは少しハードルが高いかなと。こちらの『MASON』の着想元はリーディンググラス。新聞を読む時などにかける眼鏡をベースに作っています。純粋なサングラスというよりは、ちょっとファッションに寄せた雰囲気ですね」

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今回着用したサングラスを振り返ると、真っ黒のレンズよりも薄めのカラーレンズが多く登場した印象だ。レンズの色に関してのトレンドはあるのだろうか。

「シーズン通して言えば、カラーレンズはずっと支持されています。特に色が薄いものは人気がありますね。眩しさを抑えるというよりはファッションの意味合いが強く、アクセサリーの一種として掛ける方が多いです。帽子やマスクとの相性を考えた時に表情を隠している感じが出にくいのも、カラーレンズが売れる理由かもしれません。やはりマスクをしなければいけないシチュエーションだと、ブラックレンズは掛けにくい。ただコロナが収束するにつれて、ブラックレンズの売れ行きも徐々に戻ってきています」
確かに街中でも薄いカラーレンズのサングラスを掛けた人を見かける機会は多い。いかにもサングラスらしい雰囲気がある黒のレンズに比べて、薄いカラーレンズはどのような効果があるのだろうか。

「そもそもサングラスのレンズには『紫外線透過率』と『可視光線透過率』という2種類の要素があります。混同されがちなんですが、基本的に紫外線透過率はどのブランドも1%程度のレンズを使っています。つまりレンズの色に関わらず、紫外線自体は99%カットされている場合がほとんどです。一方で文字どおりレンズの見た目の濃さで判別できるのが、まぶしさの指標になる可視光線透過率。このケースの左から右に向かって数値が高くなるイメージです。例えば一番右の列のレンズで75%ほど。ほぼクリアレンズと変わらない使用感になりますね」
「ちなみに最も顔色がよく見えるレンズの色はブラウン。目のくまやシワも飛びやすいので、女性の方にはブラウンの人気が高いです。ブルー系統の寒色系のレンズは視界とのコントラストが付くので、動きのあるものが見やすくなるメリットがあります。男性に選ばれることが多い色でもありますね。最近増えてきたグリーンのレンズは目が疲れづらいので、ドライアイなどの方にもおすすめです。カラーレンズにはそういった医学的な背景もあります」
日々のメンテナンス方法。中性洗剤での水洗いもOK
日常的に眼鏡を着用する習慣がないと、意外と知らないのがメンテナンスのやり方。ケースにしまい家の中で保管した上で、定期的に水洗いをしてほしいと石川氏は話す。
「当然ですが、負荷がかかるとサングラスも歪んだり曲がったりしてしまいます。使用後はケースに収納して、熱や衝撃を防いでほしいですね。そもそもフィッティングの際も熱を加えて、幅を狭くしたり広くしたりして微調整しているので、熱には気を付けてほしいです。特にアセテートは柔らかいプラスティックなので、車の中に置いていると本当に変形してしまいます。猛暑日も多いので家の中で保管してほしいですね」
「汚れたなと思ったら、水洗いしていただいて構いません。夏に汗をかいたり、海に入ったりした後は定期的に水で洗ってください。メガネ専用のクリーナーがなければ、お持ちの中性洗剤でも構いません。拭き取る際は専用のクロスが望ましいですが、ティッシュでも大丈夫。その際は力を入れてこすらずに水滴を拭き取るようにしてください。あとは三ヶ月から半年に一度はお店にメンテナンスに来ていただくのが理想です。他のカラーや度付きレンズへの変更のご相談にも乗るので、購入後も気軽に遊びに来てほしいですね」
まとめ
フレームの種類から顔型別に似合う形、レンズカラーの違いに至るまで、サングラスに関するさまざまな情報をお届けした本記事。これを参考に、お気に入りの一本を見つけてほしい。
Shop Information

A.D.S.R. TOKYO
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目12-8 神宮前HAMAYAビル1階
営業時間:12:00〜20:00 ※不定休
TEL:03-6450-6567
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