ナイキ ダンクへのvacancyさんの投稿

2024/04/11

夜の連続スニーカー小説　長編

《MIP》

とある晴れた日の昼下がり。
この日はスニーカー好きのオニイチャン(と私が呼んでいる人)から、実物を見たいから一緒に見に行かないかとお誘いがあり、朝からウキウキで準備をしていた。

妻から見れば今にもシンバルをシャカシャカ鳴らしそうな猿にしか見えなかったと思うが、テンションが上がっていた私は、実際にそういったアクションを目の前でしていた。

実はこれ、そういう作戦なのである。

妻が私を鬱陶しく思って別室に移動したことを見計らい、私は自部屋からある物を取りに行く。

そう。
数ヶ月前に衝動買いしてしまった、シークレットスニーカーを回収するのだ。

前回オニイチャンと買い物に行った時、次回はこれを履いて行くと宣言した手前、履かないわけにもいかなかった。

妻の動向を確認しつつ、まずは部屋から持ち出すことに成功した。

まあ、もしも妻と鉢合わせるようなことがあれば、また全力で猿の真似をすればいい。
靴のためなら、私はいくらでもバカになれる。

曲がり角はモンキーターンで最速を決める私に抜かりはなく、全く無駄のない動きのお陰で、ついに玄関まで靴を運ぶことが出来た。

当然見送りなんかないため、ここまでくれば一安心である。

改めて見ても、なんとまあカッコ良いこと。
しかもほぼ人と被らないであろう初卸しスニーカー。

ちょっと自慢したい。

そんな気持ちから、投稿用に何枚か写真を撮った。
スニーカーも私もニッコリ笑顔だった。

最高の気分だったんだ、この時まではーー

続く

※諸事情により、画像はイメージとなっております。